スタンピードカードMiki 《END of The WORLD~星が終わる夜~》
《END of The WORLD~星が終わる夜~》✝
ギア6イベント サイサンクチュアリ HP100000
【イベントはマシンゾーンに置く。攻撃を受ける度に相手のPOWの分HPを減らし、0になったら破壊する】
【レクイエムキーパー(自分が敗北する場合、その前にこのイベントを展開しても良い。他の方法では展開できない)】
【ルーザーズ・ハイ(このカードが場から離れた時自分は敗北するが、その他一切の方法で敗北しない)】
【このマシンの登場時】ターンを終了する。その後相手は追加で二度自らのターンを行う。
【相手ターン終了時】相手は自分の場の表になっているマシンカード二枚を破壊する。この破壊に失敗した場合、相手はゲームに負ける。
STPDー03で登場、かつサイサンクチュアリのイベントで先行配布されたカード。本ゲームに登場する初めてのイベントカードとなる。
【レクイエムキーパー】と【ルーザーズ・ハイ】という二種類の新カテゴリ能力と、ターン中断とエクストラターン提供が一体化したCip、そして特殊敗北を含むターン終了時効果を持つ。
■概要✝
第一の能力【レクイエムキーパー】によって、このカードの登場は敗北時に限定される。
このため呼び出すための手段で苦労することは無いが、いかんせん史上初のギア6と恐ろしく重いのが難点。
相手に遅さを期待するのは無謀なので、自然と入るデッキは低速デッキに限られる。
天下の【ラバーズサイバー】でも遅さが足りないため、ロックが持ち味の【シュガーマウンテン】なら投入の余地があるか。
そして第二の能力【ルーザーズ・ハイ】によって敗北を回避し続ける。
上記の能力と連動しており、ゲーム結果による敗北を拒否できる。
効果の構成は 《豪鬼の狩り手ルイズ》に似ているが、あちらは四ターン目以前の安全も守ってくれるのに対しこちらは五ターン目までに使ってしまうとルールに従い手札へ帰還→即時デメリットが起動して敗北する。
使い勝手は別物であり、ここぞのタイミングでぶつける切り札として認識した方がいいだろう。
第三の能力はターン中断及びエキストラターンの強制。
相手はこのイベントを倒さなければ勝利できないので、終盤まで積み上げた全戦力を以て攻撃を仕掛けてくる事となる。まさしくレイドイベントさながらの光景を再現するである。
HPは100000、エキストラターンは二回あるので、一ターンにつき50000の攻撃を受けなければ倒されることは無い。
実際にそれだけのダメージをたたき出すマシンは 《勝利の導き手チエカ》など極小数の攻撃型マシンだけなので、このイベントを着地させる前に極力除去したい。
そして最後の能力が、除去と特殊敗北を兼ねたもの。相手は自分のマシンを破壊し続けなければ強制的に敗北する。
敗北を回避するだけならまあまあ簡単なのだが、このイベントを攻略する手数を減らす事になるのでかなり効く。
相手が苦労してこさえた破壊耐性持ちマシンも、このイベントが相手では寧ろ破壊できないデメリットとなり、破壊できる対象を先に潰せばこの効果で強制敗北に追い込む事もできる。
だだしマシンカードをアシスト化している場合は、それも破壊対象になるためスケープゴートに使われる場合がある。これは【マギアサークリット】や【サムライスピリット】のお家芸なので対面時は注意。
これらを相手にするなら事前に 《ガイルロード・ジューダス》などでアシスト化したマシンカードを一掃しておくとより効果が出やすい。
上記の効果を以て相手の総攻撃を耐えきった場合、無茶な攻撃と四枚のセルフ除去で疲弊しきった相手にトドメを刺しに行ける。
ただしこのイベントがセンターにあるため、使えるマシンゾーンは左右の二箇所のみ。もちろんデミゲストカードでは走行できないため、別の走行手段を用意した方が良いだろう。連続行動可能なマシンを採用すると良い。
■そもそもイベントとは✝
マシン、アシストに続く第三の種別のカード。マシンゾーンに設置する。
共通してHPを持ち、相手マシンの攻撃を受けることでPOWの数値分減少、0になった時破壊される。
当然ながらマシン用のバフデバフ、除去の類いは通用しない。よって登場時点では、この種別のカードを効果で除去できるカードは万能盤面リセットカード 《マスター・フォーミュラ》をおいて他になかった。
■挙動✝
既存の踏み倒し型マシンカードと同じく、【レクイエムキーパー】によって自身のギア数値以前に繰り出すことは可能。しかし上述した通り、場に出た瞬間にルールの力で手札に帰還し【ルーザーズ・ハイ】のデメリットで敗北する羽目になる。
また、ゲーム中最高ギアであることが災いして、センター以外では基本的に維持できない。一部マルチギア持ちマシンと並べたところで、そちらが除去されてはこちらも芋ずる式に場を離れるため現実的ではない。
ただし自身の効果で『一度に複数枚使う』ことは可能なため自分同士なら横に並べられるし、二重に重ね出しすることも可能。ちなみに二枚並べた場合相手は『合計200000のHPを削る』と『ターン終了時に自分のマシンカード四枚を破壊』を同時にこなす羽目になり、特に後者は真面目に特殊敗北を狙えるようになる。事故率は上がるが、狙う価値は大きいだろう。
このカードを手札に戻す効果に対しては実質無敵。このカードが手札に戻ることによる敗北にさえ【レクイエムキーパー】が反応するからである。
同じ理由で、一枚目のこのカードが破壊された時に二枚目以降を出すことももちろん可能。ただしその場合再び二度のエキストラターンを与えるため効率は悪い。
マシンカードではないが、マシンゾーンには存在するためゾーン指定の効果は有効。もっとも相手のマシンゾーンをいじくるカードは今のところ手札に戻す 《超越・エボルアルジャーノン》くらいなので問題ないが。
■対策方法✝
まずは二ターンで殴り倒すことを目指す場合。
前述の 《チエカ》を二体並べれば14000の二回行動×二体×二ターンで112000ダメージとなり撃破となる。チエカは破壊された『後に』復活するためこのカードとの相性は総じて良好。
また、同弾の30000サイクルを使うだけでも二ターンで60000ダメージをたたき込めるだろう。特に 《原典妖-妲己威-》は三体連携攻撃以外ではバトルで破壊されない進路妨害ため、打ち漏らした場合も殴り返しの対策にもなる。
上記にある 《マスター・フォーミュラ》を呼び出す場合、このイベントの効果を逆利用できる。
ターン終了時の破壊効果を受けることで、盤面を開けて必要なマシンを並べやすくなるのだ。
もちろん事前にフォーミュラを呼んでも、ルイズと違い無限コンティニューは発生せず完封できる。
盤面が少ないのならと、脇に並んだマシンを 《試練の与え手ホムラ》で繰り返し戦闘除去してもよい。
ホムラの攻撃性能が貧弱のため4ターン以上の長期戦を覚悟することになるが、完封できるだけの用意があるなら狙う価値がある。
■環境にて✝
配布されるや否や、圧倒的なインパクトとドラマ性の高い効果で一気にプレイヤーに広まる。
まず目を付けたのは【シュガーマウンテン】のロックとの併用。経過ターン数を稼ぎやすいためにシンプルに相性が良かった。
さらに 《ルイズ》と防衛範囲が別れている事に着目した【ラバーズサイバー】がこの構築を取り込もうと画策。このカードを主軸とした【星終ラバーズシュガー】が生誕した。
これにより若干息を吹き返しつつあった【デットヒート】を相性の関係で再殺。仮にも元環境トップを土台としているために敵は乏しく、かつての切り札だった 《ZERO》もこのカードの維持のために再び活躍した。
その後は上方ナーフを受け復活した【ローズ積みチエカ】としのぎを削りあっていたが、ここで【アルジタンジェント】がまさかの天敵として殴りこむ。あちらは最短5ターンで強制特殊敗北を繰り出すためこのカードが間に合わないケースも多く、間に合ったとしても強烈なバフと連続攻撃コンボが供給されたために殴り倒されることが普通にありえたからだ。
また環境トップを取ろうにも相手が最悪のメタである 《マスター・フォーミュラ》を使っていた時点で死に札と化すため、それほど目立ちきれないという事情もあった。《原典妖ー妲己威ー》も手強く、メタの採用を強いられた。
しかし迎えたSTPDー3本格期。進路妨害持ちイベントが潤沢に供給されたことでイベントに特化したデッキを組む事ができるようになった。俗に言う【イベントラッシュ】の誕生である。
これにより 《フォーミュラ》の相手は他のイベントに任せる手ができた上、イベントを守るギア0イベント 《虚無の大陸》を上に乗せることで除去を凌ぐことすら可能になった。依然として厄介な敵である事に違いないが、今度こそトップを目指す準備が整ったと言えよう。
しかし今度は複数攻撃の鬼である【ローズ積みチエカ】が専用切り札 《最速疾駆チエカ・ブロンズコーデ》を引っさげて環境争いに再び参戦。優劣は五分であり、決着は今後に託されている。
そして運命のSTPDー3EXシリーズにて 《インフィニティー・エボル》が実装。
その効果は『山札から無限にマシンを出す』とでも言うべきおぞましいもので、自分のターンに使えば無限に近いマシン達の特攻でまず勝てる代物。
発動条件は『センターがギア5以上で』『サイサンクチュアリで』『往復8ターン目以降』と厳しいが、このカードで6ターン目と7ターン目を耐えるだけで全ての条件が満たされ、8ターン目にこれを着地させて勝ててしまえる。
『エボルではセンターにしかマシンを置けない』『敗北回避を持つこのカードが隠れると再び敗北する』という問題はあったものの、前者は横のマシンゾーンに自分の下になったマシンを出し入れできる 《フェルドスパー・ロード》で、後者は引き入れやすいギア1の 《アゲインスト・テンペスト》で相手の要走行距離を増やすことで解決できた。いわばこのイベントは、悪夢のコンボを成立させるための前座と化したのだ。
かくしてデッキ名を【青紫エボルフェルド】に改めた構築は環境で暴れに暴れ、回答手段のはずの 《マスター・フォーミュラ》すら即死避けの 《ルイズ》に弾かれる異常な光景が見られた。
一時は環境を一色に染めかけ『隕石落として進化を促すゲーム』『隕石レース・エボルフェルド』と揶揄されるほどの大惨事を招くことに。
またミラーマッチだと先にこのカードを撃った方が負ける(インフィニティ・エボルを後出しする権利が手に入り、その方が勝ちやすいため)ので、お互いに警戒しすぎてレースの名を冠するとは思えないほどターン数をかけるケースも見られた。
しかしここでライバルに、同じくインフィニティーシリーズの 《インフィニティー・アビス》が参戦。無限回の無差別除去によって、コンボ成立直後にこのカードを含む全てが一方的に破壊されるようになってしまった。
発砲役には自己蘇生ができる 《無限氷焔王シヴァ・ル・ウォー》が供給され、いくら盤面を整えようと一瞬で粉々にされるようになった。
こうなってはエボルで何を出そうと敗北回避は不可能に近く、よりシビアな対応が迫られるようになった。
またステアリング枠三枚を 《ルイズ》 《フェルドスパー・ロード》 《アゲインスト・テンペスト》で占領される、ラバーズサイバー軸なのに終盤だけサイサンクチュアリという盲点を突くように 《マスト・カウンター》を構えられるようになった。コレを置かれるとアシストと心中される上に、このカードを置いてる間に撃てるアシストが構築上 《エボル》と 《テンペスト》しか無いため、事前にドロー加速して複数枚抱えておくくらいしか手がなくなる。
他にも 《インフィニティ・メルト》で無限の攻撃力と化した量産兵に 《フェルドスパー・ロード》を殴られ続けても痛く 《インフィニティ・アクセル》の無限走行を喰らうとコンボの前提が死ぬため色々と警戒が必要。《インフィニティ・カースド》に呪われたら即死確定……などなど、以外とインフィニティ同士の抜きあいには弱い。
そもそもこのコンボはこのカードが追加二ターン目まで耐える事を前提にしており、一ターンで倒されると控えが居ない限りそのまま負ける。上記の通り攻撃的なマシンは少なくない上、あまりに有名になりすぎた反動で対策用の打点が飛びやすくなってしまった。
結果、コンボがハマりにくくなった【青紫エボルフェルド】はトップメタから陥落。このカードが規制される事態は回避された。
■余談✝
初のイベントであると同時に、このゲームに初めて登場したエキストラターンを発生させるカードでもある。
しかし他のゲームでエキストラターンといえば『何もさせずに制圧する』ものだが、このカードは『相手に必死で努力させる』カードなので真逆。
また撃破されると強制敗北となるが、そもそもこのカードが場に出るということは他の手段で使い手を倒せているはずなので勝手に自滅という状況は起こりえない。せいぜいが悪あがきに失敗した程度のこと。
これらは伝説のエンドメーカーたる某『無双の竜機』を反省してのことと思われる。秀悦なデザインには頭が下がるばかりである。
初めて配布されたギア6かつイベントという事で不安な声も多く見られたが、いざ実装されるや効果の連携やステータスが絶妙なバランスで完成されており、その仕上がりは芸術品にすら例えられる。
これにより後に続くイベントカードのための道をこじ開け、また自身は『最強最古のイベントカード』として君臨していた。
……のだが、他のイベントが多数出た結果、環境全体が低速化したために多くのプレイヤーがこのカードを雑に使えるようになって来てしまった。
もちろんゲーム終盤まで死に札と化すこのカードを抱えるリスクは中々に重いが、一度出してしまえば一枚で二枚分弱のアドバンテージを取りつつ敗北回避までするというのはあまりにも強く、ロマンよりも利便性が勝るようになった。
そのため、出てきては2ターン遅延していくこのカードは徐々にヘイトを集めるようになった。
更に前述のインフィニティー・エボルの登場でこのカードは切り札よりも座布団役になり、格も下がってきた。往復六ターン目ももはや終盤より中盤というべきまで速度が下がり、このカードはそこそこの難度で撃てる中継ぎとして認識されやすくなった。打点のインフレの加速により10万のHPも信頼できなくなってきており、別の手を準備する事が前提になってきてしまった。
盛者必衰、諸行無常……とはこの事だろうか。
■関連カード✝
《豪鬼の狩り手ルイズ》
《マスター・フォーミュラ》