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心底面倒ですが神様救ってみました  作者: 市川 春
◇蛇の塒にて◇
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肩乗りマスコットは肩こりをもたらす

 


 夜が明けてから、私と白蛇は蛇の塒の奥にある洞窟に向かっている。



 そこに神がいるらしく。手入れなされてない森を奥に向かって歩くのはかなり嫌だし、かなり面倒なのだが、()()()するかしないか決めるにも、一応会ってからにしてくれとしつこく白蛇に頼まれた為、仕方なくだ。まぁ、楽に生きる為にあわよくば都合のいい能力を手に入れたいとか考えていたりもするのだけど。



 でも、そんな事考えているのが白蛇にバレてるのはなんとも言えない気分だよね。まぁ、心のなか読んじゃうのが悪い。



 セコイ奴ですみませんね。そんな私を選んだのは白蛇なんだから仕方ないけどな。なんて、考える。


 白蛇がどんな表情してるかは、全くわからない。白蛇の感情は話している時の声色で判断するしかないのだ。



 今いる森には、昨夜の話に出たように魔物が存在するということで、白蛇が結界を張ってくれている。


 私を先導するように前をスイスイ左右に体を滑らせながら前進している白蛇は、どんなに会話ができると言っても、やっぱり蛇なので近くにいると非常に不安になる。言葉を選ばなければ非常にキモい。



 木の根のボコボコも難なく超えて行く白蛇。意外と速度が速い。申し訳程度に道があるとは言え、私にとっては険しい道だ。


 素足なので何か踏んで痛かったり、気持ち悪かったりで涙が出そうだ。足元だけでなく木々の枝からも攻撃を受けるし、キャミと短パンという軽装備じゃ乗り越えられない。しんどい。辛い。苦しくないように殺してほしいくらいしんどい。



「!!」



 急に白蛇が動きを止めたので、私の足も止まる。



 コチラを向き直して私の側まできて言う。



「魔物に、存在を気付かれたようです。様子を見るようにコチラを追いかけてきています」



 ?! え。


 結界機能してないの?

 役立ってないの??



「移動しながらの結界の展開は範囲が広くないので、時々貴女が結界からはみ出したりはしていたのです。それを気付かれたみたいです。今は、魔物は私達の姿は見えて居ないので、しばらく休憩も兼ねて、魔物が離れて行くのを待ちましょう」



 まぁね、虫とか木の枝とか気にして白蛇との距離が開いたりしてたものな。そこは、自業自得で申し訳ないと思いはするよ。


 しばらく待ってやり過ごしたとして、この後も結界から出ちゃう可能性あるよな。見つかるよね。美味しく頂かれちゃうよね?



「私を中心に結界は展開されますので、私の側から離れなければ問題はありませんが……」



 問題ないとか言われても、あんまり近いとキモいんだもん。や、蛇だよあんた。神の使いとか言っても爬虫類なんだよ。見た目がもう受け付けないんだよ。



「例えば、貴女が私を運んでくださるのなら結界から出るような事はないのですが……」



 と、白蛇が言った瞬間だった。



 ガサガサと落ち葉を踏む音がして息を飲む。


 木の幹に背を預けて休憩していた私たちの目の前に狼の様な獣が現れたのだ。


「……」



 音は遮断されているとわかってるけれど、本能的に息を潜めてしまう。


 見えないし、聞こえない。でも、臭いは??



 何かを探し回る様にして、地面の匂いを嗅ぐ狼。

 赤毛だし、この狼も魔物の一種なんだろう。


 とにかく怖い。心臓がバクバクなってる。



「匂いが漏れることもありません。ただ、この魔物の視認出来る位置で、もう一度結界から出たらマズイです。一瞬で距離を詰められます」



「…………」




 え、怖い。怖くね??

 ヨダレ垂らして獲物探してる狼に食べられるのはゴメンだ。マジで怖い。


 別に死んでもいいんだけど、痛い死に方はしたくない。


 背に腹は変えられない……。と、白蛇を掴んだ。



「これで安心?」



 掴んだ腕から駆け上がる様に鳥肌が立った。ダランと白蛇の尾が重力に従い下に落ちる。



「その、握り締められると苦しくて結界に集中できません」


「……でも仕方なくない? 他にもどうしようもなくないか?」


「貴女の肩に乗せていただければと」




 肩……だと?

 や、無理だろ。無理だよ。

 私。キャミソールなんだから。素肌に蛇とか無理だよ。無茶苦茶脳内で抗議していた時……



 ガサガサ



 !!?



 白蛇の運び方について考えていた間、その存在を忘れかけていたが、問題の狼がすぐ目の前、およそ5M先まで近づいて来ていて、ヒヤリとした汗が噴き出してきた。


 それを見た瞬間、私は白蛇を担ぐ様に肩に乗せた。


 もちろん鳥肌立ってるけど。狼の方が怖いです。



 ずっしりとした重みと蛇のひんやりとした感触はなんとも言えない不快感。背筋が伸びて自然と姿勢が良くなってしまう。



 あー、あー、あー、あー。



 何も考えない。

 何も考えたくない。



 狼は、数分間目の前をウロウロして、少しずつ遠ざかっていった。


 胸をなでおろすが、肩には白蛇の不快感。

 神のところまで後どれくらいかかるんだろう?



 さっさと白蛇を肩から降ろしてしまいたいので、この苦痛がどれくらいかかるのか聞いてみると、「貴女の足であと一時間くらいでしょうか」とか言うんだよ。



 この苦痛があと一時間……。

 なにそれ、しんどい。



 私は一時間後、白蛇を地面に叩きつけているかもしれない。


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