異世界は一瞬の煌き (第3部)
楓は窓に触れるとあの感触を感じた
窓を通り抜ける…こちらの世界は夜の様だった
街灯等は見当たらないが…
明かりが空中に点在している
螢の様な柔らかい灯りで…それがフワフワと
浮きながら上下左右に揺れ光っていた…
かなえ「今日は凄く特別な場所へ行くね」
楓「何処?…どこへ行くの?」弾む声で聞いた
かなえ「ちょっと遠いけどね」
楓「早く…行きましょう」
体調の悪さも何処かに消えたように楽しみが先にたった…2人は歩き出し以前きた街を通り抜けた…
淡く柔らかい光が夜空に点在し上下左右にユラユラと漂っている
どれほど歩いただろうか?柔らかい灯りの中で
薄っすらと見えてきた影の形は…湖の様だった
かなえ「楓!…着いたょ…ココ!」
楓「コレって…湖?」楓がかなえに尋ねると
かなえ「湖?そっか楓の世界ではそう言うのね?こっちに来て見て」
楓はかなえに促され湖に近づいた…
かなえと並んで湖面を覗き込む
楓は湖面だと思ったが柔らかな灯りのもと
よく見ると…それは湖ほどの大きさの鏡だった
楓「これ鏡だね?」
かなえ「ちょっと…違うかな…見てて」
かなえがその鏡に手をかざしそっと触れる
触れた場所から波紋の様に広がっていき
まるで画面の映像の様に無数に幾つも
映し出されていく…
映し出されているのは総て楓だった…正確には
楓の子供の頃から現在までの姿だった
一つ一つの映像それらは楓にとっては
まるで宝物の様だった
かなえ
「驚いた?初めて会った時の言葉覚える?」
楓「あっ…初めまして…かな?…だったね」
かなえ「良かったー!ずっと見せたかったの」
楓
「1つ聞いていい?…
もしかしてこの世界に
鏡や窓が無いのって…」
かなえ「そうなの!…この世界では鏡も窓も
全部…楓がいる世界に繋がるのょ、だから
ここに来てこの場所でTVを見るように見てたのょ」