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異世界は一瞬の煌き   作者: 肥後 椿
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異世界は一瞬の煌き

主人公が体験した異世界

その世界に触れながら

主人公に心境の変化も

訪れるストーリーです

楓は眠い目を擦りながら窓を開けると冷たい風が頬をなでる

「うっ…寒い…」もうこんな時間急がなくちゃ、時計を横目に見つつ急いで支度を済ませ玄関の鍵を閉めた…

初冬の朝

何とか電車に間に合いホッと息をつく、いつもの車窓からは

変わりない風景が流れて行く…

チラリと目の端に何か見えた気がしたが

会社に着き1日の仕事が始まると忘れていた

「んー今日も1日終わった〜」椅子にかけたまま背伸びをする、同僚の佐藤と田中が声を掛けてきた

「楓先輩ー今から僕ら飲みに行くんすけど先輩も行きませんか?」

楓「ウ〜ン…今日は止めとく…ありがとね」

田中「そうすっかじゃお先に〜」2人が出ていくと静かな社内

窓には自分の姿が映っている…さぁ帰ろぅデスクの上を片付けながら窓にフッと目を向けた

そこには自分が映ってる…けれど違和感を感じた

楓は今朝の車窓から見えた風景を思い出す…「あっ…あれって?…」ゆっくりと窓に近付く…「えっ!…キャー!…」悲鳴をあげた、と

同時にその場にしゃがみこんでしまった震えながらも

もう一度窓をみる…そこには、もう一人の自分の姿がこちらをじっと見ていた

楓は気を失いそうになりながらも何とかその場から逃げ出した…「何?…何だったの?…」恐ろしさに震えながら電車に飛び乗った


全身の震えが止まらぬままやっとの思いで帰宅…玄関の鍵を開けた…部屋に入り照明を点けるペタンとその場に座り込んでしまった震える体を両腕で抱きしめるようにしたまま暫く動けずにいた

時計の針の音だけが部屋に響く1時間…2時間経った

その時物音がした

「トントン…トントン… 」

ビクッ!…ベッド脇にある窓からだ…怖い…が勇気を振り絞って

窓に近付く「トントン…トントン…」カーテンを開いた、そこには会社の窓から見えた自分がいた「…!!」

あまりの恐怖に声さえ出ない…すると…窓に映った自分が…

窓を叩いてる「トントン」楓は動けずにいた…

窓の向こうにいるもう一人の自分が「窓に触れて」

と言った

楓は恐怖の中で困惑していた

「窓に触れて?…えっ?窓を開けてじゃないの?…」

もう一度よく見ると確かに「窓に触れて」と言っている


楓は迷ったが…

恐る恐るそっと窓に触れた…グニャリ…窓ガラスがまるで飴のような感触に感じた「えっ?!」…

そう思った瞬間に楓の姿は部屋から見えなくなった…


誰かに腕を掴まれているそう感じた

ふと顔をあげるそこにはもう一人の楓がいた

あまりのことに楓は気絶した、どれくらいの時間が経ったのか?


目を覚ますと…やはりそこにもう一人の自分がいる

「あなた…誰?!」楓は振り絞るような小さな声で聞いた、

「初めまして…かな?私…かなえ」

「かなえ?…」困惑がさらに広がった


どういうことなのか?自分は夢をみているのだろうか?

楓は自分の中の整理しきれない気持ちを抱え震えていた、

かなえ「あっ…そうだよね…わかるよ…うんうん…」

楓「…あなた…誰なの?…此処はどこなの?」

そこには見渡す限りの緑豊かな平原が広がっている

それにかなえと名乗るもう一人の自分…

彼女の姿は見たこともない変わった服装を纏っていた

かなえ「ここはね…こっちに来て」グイと楓の腕を掴み走り出した


楓はこの状況に戸惑っていた、数分程走った先に見えてきたのは

まるで未来の様な都市だったが何処か違うように感じた、

かなえ「ここはね…楓が住んでる所とは重なってるけど違う世界ょ」

かなえはさらに続けた

「ねぇ…聞いたことない?もう一つの世界が存在してもう一人の自分がそこに居て…」

楓「…パ…パラレル何とか?…」

かなえ「うん!…そう!」

楓は言葉が出なかった頭の中で整理はできていない

心の中では、

あり得ない…きっと夢ょ私は夢を見てるんだわ楓はそう思うしかなかった

楓「そんなわけ…そんなことあり得ないょ!…だって窓だょ窓ガラスに触れただけなのに…」

かなえはクスッと笑みを浮かべながら

「じゃあ…もっと見てみる?この世界…夢だって楓が思うんならそれでもいいよ」

楓は夢だわきっと夢ょ…だったら…

怖いけどもう一人の私、かなえに着いて行ってみよう…

かなえに連れられながら初めて見る世界は自分がいる世界とは

まるで違っていた人々の服装、食事、そして何よりも違っていたのは…

窓が無い

総ての建物に窓が無く鏡さえない

自分の姿が映るはずのもの総てがなかった…楓が初めに感じた違和感はこれか?

楓にとっては自分がいる世界と似てるけれど全く違うこの世界

そしてかなえも姿形はそっくりだが自分とはまるで正反対の性格だった…

楓にとっては夢の世界の出来事もう少しだけここに居てみたい

そんなふうにさえ考える様になっていた

楓は長い夢だわ

もう何日くらい経ったのかしら?夢だものいつか覚めるわよね…

そんなことを思ってた…

それから更に数日が経過したころ

かなえが訪れた

「ねっ?いいでしょうこの世界、楓もずっと私と一緒にいない?」楓は返事に困った…内心はここの生活も楽しい、

しかし

夢の中いずれ覚める長い夢なのだ

楓はかなえに「もしも…ずっと居れたら素敵ね…だけど…」と話した所でかなえに遮られた…


かなえ「そっか〜…じゃあさ、送ってくょ…また会おうょ…ねっ!」

楓「ええ…素敵な所だもの…また来てみたいわ…」


2人は少し惜しむようにゆっくりとあの平原に戻ってきた

見渡す限りの緑豊かな平原がどこまでも広がっている

その平原の先に見えたものは楓が住むマンションそして部屋の窓

不思議な感覚だった

何故そこに自分の部屋とマンションが見えているのか?

しかし何故か…違和感は感じなかった


2人は窓まで戻ると…かなえがそっと窓に触れる

飴のようにグニャリと柔らかい感触に変わった

楓がその窓に触れるとゆっくりと体が引っ張られるように入って行った

楓が部屋に戻り振り返るとかなえが笑顔で大きく手を振っている

「じゃ…またね…」かなえの声が小さくなっていった

楓も「じゃぁ…また…」そう言ってゆっくりと小さくかなえに手を振った


楓は長い夢たったな…そう思っていた…

部屋に戻り…掛け時計に目をやった

その時

トンドンドン!ドンドンドン!

玄関の扉を大きく叩く音がする

後輩の田中と佐藤だった「先輩!先輩!…」

ゆっくりと玄関を開けると

2人の後輩が青ざめた顔で立っている


佐藤「先輩…大丈夫すっか?…」

楓「えっ?…」

田中「えっ?って楓先輩…」

後輩2人…顔を見あわせている

田中「先輩に仕事の事で電話したんすけど…」

佐藤「何度掛けても出なくて…何かあったんじゃないかって」

田中「心配して来てみたら部屋から変な音がして…」

楓「えっ!?…音?…えっ?…今…何日?…」

佐藤「何日?って…先輩!…どうしたんすか?…変すっよ」


楓は2人の話で悟った…まだ今日なのだと…

やはり夢…だったのか?

あんなにハッキリとした夢を見たのだろうか?と

楓は心配して来てくれた後輩達に下手な誤魔化しかたをして…

「ありがとう…」と…何とか2人を帰した


部屋に戻り

もう一度掛け時計を確かめた

後輩の話によれば…

まだ今日だ…

何日か経っていると思っていた

異世界にいた数日間は数時間だと楓は知った
































序章

読んでくださりありがとうございました



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