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夏とセミ
さすような、鋭い夏の日差しが心憎い。
うだるような暑さに拍車をかけるような、五月蠅いセミの声。
声。
声。
7日間しか生きられないとしても、もっとクールに鳴けよと思ったり。
セミが風鈴みたいな音を奏でてくれたら、夏はこんなにサイケデリックでもないだろうになぁ、と、とりとめもないことをうだうだ考えてみる。
…いや、でもあれかな。風鈴も、一つ二つが軽やかに鳴るからいいのであって、たくさん一気に鳴られたら、騒々しいのは変わりないか。
……。
…あー。
夏休み終わった瞬間に秋休みに突入すればいいのに。
暇で暇で死にそうとか言ってごろ寝したいなー。
メロン片手にロボットダンスおどりたいなー。
あー、頭痛いぜー。
あー……。
………………。
…ばっ! と目が覚めた。
あまりの寒さにありもしない夢を見ていたらしい。
足が一本取れているセミの脱け殻をつつきながら、真冬の山小屋で一人、救助を待つ。