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第1話 ゴミ屋敷
僕の家の近所にゴミ屋敷がある。
住んでいるのは老人が一人だけ。
その人はゴミを捨てない。
空き缶とかカラーボックスとか、そういう物を拾ってきては家の周りに積んでいく癖がある。
生ごみの悪臭もすごいし、空き缶やペットボトルが転がってくるし、新聞紙も飛んできたりする。物凄く迷惑だった。
でも昨日、その家に救急車が来た。そこの老人が精神科に入院したんだと聞いた。
その老人は以前からおかしかったのだけど、昨日、本当にキチガイになったと母が言っていた。
その家は他に誰もいなかったから、あのゴミの山はどうなるんだろうって思った。
今日の夕方、僕が学校から帰ってくると、その家のゴミはきれいに片付いていた。ペットボトルも空き缶も、新聞紙もカラーボックスもその他のよくわからない物も全部なくなっていた。
本当にきれいになってたんだ。
他に人がいないのにどうして片付いたのか不思議に思った僕は、その家を少し覗いてみた。
そのとき後ろから不意に声をかけられた。
「やあ、どうしたんだい。うちに何か用かな?」