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とある交換日記


――――――――――


最近、あまり僕の出番が無いから心配。

何かあったら言って。

いつでも助けるよ。


――――――――――


エト。

ありがと。

いつも甘えてばっかりだから大丈夫な時は頑張るよ。

私だってやれば出来るんだからね!


今日やっと懐かしい森に帰って来れたよ。

カミサマの弟くん、エトは覚えてる?

カミサマと同じ太陽みたいな金色の髪の毛と宝石みたいな綺麗な瞳にどきっとしちゃったけど、彼の方は私の事を忘れてしまったみたい。

私が彼を最後に見た時は血濡れだったけど、元気そうで良かった。

左目、ごめんなさい。

どうか幸せに。


スーシャ


――――――――――


彼、何故か今日も来た。

私に鍛えて欲しいらしい。

ほんとは少し嫌だけど、カミサマみたいに強くなりたいんだって。

カミサマの話をされると、どうにもなぁ。

手合わせしてみたけど運動神経の良さそうな普通の男の子と言った感じ。

ただ、集中力が高いのか、目が良いのか、あるいは両方か。

身体は上手く動いて無いけど、ちゃんと私の攻撃が見えてたみたいだった。

度胸も咄嗟の発想も良いと思う。

ただし仕掛けた後、次の一手を考えてなかったっぽい。

これが初めての戦闘らしくてびっくり。

武器なんて、使う事が無い方が良いのになぁ。


それにしても、あの左目はまずいかもしれない。

魔法道具の粒子を取り込んでる、のかな。

なんだかこわい。

あれ、エトなら治せないかなぁ?


スーシャ


――――――――――


話を詳しく聞いてみると、うっかり忘れたと言うより十年前の事をきれいさっぱり覚えていないらしい。

詳しく聞いてしまった事をすごく後悔した。

辛くて当たり前だよね。

ごめんなさい。

彼はもう私と関わらない方が良い。

振り回して、傷付けて、ごめんなさい。


スーシャ


――――――――――


眠れなかったせいか、色んな事があり過ぎたせいか、頭が上手く整理できない。

信じられないかもしれないけど、お兄と会ったよ。

ゴーレムなんだけど、本物のお兄みたいなんだ。

懐かしいって思っちゃった。

私ってこんなにつめたい人間だったんだなぁ。

あれは本物じゃないのにね。

あの人が送り込んできた何か、なのかなぁ?

それから彼まで巻き込んで危ない目に合わせてしまった。

疫病神って私みたいなのの事を言うんじゃないのかな。

こわいよ。


スーシャ


――――――――――


心配だったから見にきた。

大丈夫?

いつでも助けるよ?


――――――――――


エト。

ありがと。

私はまだ大丈夫だよ。

また頼っちゃうかもしれないから今のうちに休んでてよ、なんちゃって。

まだまだ頑張れるよ。

いつも心配かけてばかりでごめんね。


そう言えば、フェルくんに義理のお姉さんが居るらしい。

どうもすごい魔術師みたい。

フェルくんに仕込まれている魔法式、私には難しくてよく分からない。

片方は精神系列……かな?

もう片方が多分あの左目を抑えてるものだと思うけど、う〜ん。

エトなら分かるかなぁ?

フェルくんの身体について私の出る幕は無いのかもしれないけど、気のせいかほんの少し悪化しているようにも見えた。

あの右手も何か変な気がする。


スーシャ


――――――――――


ねぇ、フェルくん。

もし私が、貴方のお兄さんを殺した人間だとしたら、どうする?


なんて言いそうになって、ぞっとした。

私は一体これを聞いてどうするつもりなんだろ?

許してもらいたいのかな?

許されるわけ無いのに。

いつまで甘えているつもりなんだろ。

手を伸ばしかけて、自分の身勝手さに笑っちゃう。

あるさんにもいっぱい迷惑かけちゃって、だめだめだよ……。


スーシャ


――――――――――


色んな事ありすぎて、何を書けばいいかなぁ。

なんだか調子が悪くて、みんなにたくさんたくさん迷惑かけちゃった。

フェルくんも、あるさんも、お兄も、フロラちゃんも面白い顔して、私なんかの心配してた。

それでね、お粥ってやつ食べさせてもらったよ。

あるさんのお料理もすごく美味しいんだけど、フロラちゃんとフェルくんもすごくお料理上手なんだ。

エトにも分けてあげたいくらい美味しかったよ。


あと、ゴーレムのお兄と少し昔話した。

やっぱり本物みたいで変な感じだった。

へんてこな事気にしててさ、あったかくて、笑ってくれるの。

魔法道具に心なんて、信じる?

本物とかそうじゃないとか、気にしている私が一番ばかなのかも。


フェルくんもすごく疲れちゃったのか、幸せそうな顔して寝てる。

一人でいくって決めてた筈なのに……離れたくないって、一緒に居たいって思わせるフェルくんは不思議な人。

私、おかしくなっちゃったのかな?


スーシャ


――――――――――


あの人に見つかった。

十年ぶりだから忘れているかもだけど、もしもの為にここにこれと水晶を隠しておくね。

でも、フェルくんが居てくれるだけで絶望的な状況もどうにかなっちゃいそうなの、不思議。


スーシャ


――――――――――


色々あってなんとか捕まらずに済んだけど、酷い状況。

お兄、私が殺したよ。

私は本当に何も変わらなかったみたい。

フェルくんもいっぱいいっぱい傷付けちゃった。

フロラちゃんも泣いてたし、ルナさんも怒ってた。

どうしてこうなっちゃったのかな、なんて。


私がどうしようも無いくらいだめだめだからだね。

うん、もちろん分かってるよ。

出来る事なら今すぐにでもって思うけど、もう少し掛かりそう。

その為にも逃げなきゃいけないんだけど私はこうしてのんびりとこれを書いてる。


ここに居たら、またフェルくんが会いに来てくれるかもって思ったの。

こんな酷い事しておいて、私はまた甘えようとしてるの、笑っちゃうよね。

分かってても動かない私はどうしようも無いばかだと思う。

……いつからフェルくんの事、こんな風に見てたんだろうなぁ。


神様。

最後に一度だけ、フェルくんに会いたいよ。

なんちゃって。

……私、やっぱりおかしくなっちゃったみたい。


エト。

出来るだけ頑張るつもりだけど、もしかしたらまた押し付けちゃうかも。

その時はごめんね。


もう一つ。

もし私がだめだめになっちゃった時の話だけど、この近くの町にフェルくんって言う金色の髪の男の子がいるの。

彼の身体がどうなっているのか見てあげて。

お願い。


少し、こわいな。

じゃ、お互いがんばろうね。


スーシャ


――――――――――


挿絵(By みてみん)


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