閑話 雑草魂
ノール砦に帰還中にハイオークを含むオークの群れに襲われた、勇者とやらに付いて討って出た俺とカピンとノール砦の男達は無茶苦茶な行軍で疲労困憊、ノール砦から持ち出した過分な食糧や武器は捨てて後退し、事なきを得たが、そこにハイオーク付きの別の群れが迫って来た、これから何人死ぬやら……。
「おいカピン生きてるか?」
「『我が敵を貫き凍てつかせよフリーズランス』あ゛、帰ったらリムルリリムさんに癒して貰うんだ死ねるか」
「そうか『我が剣に宿りて燃やし尽くせファイアソード』そりゃ、クソッ、一撃で死ねよ豚が、死ねんな」
相棒は元気そうだ、ただハイオークの動きが無いのか気になる。
まさかこんな北でオークの群れが発生するなんてな、そういえば糞勇者は何処だ?
「おいカピン、勇者様はどこ行った?死んだか?」
アイツが原因で皆無茶をやらされたんだ、死体が有るなら焼き尽くしてやる。
「さっきノール砦に援軍を呼びに行くって逃げやがったぞ」
「ふざけるな、怪我人より先になんで逃げてんだよ」
「知らね、いねえ方が楽だろ、怪我人もアイツがおかしな命令しやがったからだろ、何だよ壁を作れって、自分より力が強い奴の攻撃受けさせたら持つわけねえだろ『我が敵を穿てアースキャノン』」
「ヒュウ、二枚抜きカピンやるな『我が敵を穿てアースキャノン』クソッ後ろは生きてるか」
「しかし後退もできねえな、ハイオークが隙を伺ってるのか動かねえ」
「全滅前に怪我人ぐらい逃がしてえな」
「グラース、アイツら囮になるってたからそんな事言ったらぜってえ犠牲になりやがるぜ」
「わかってるよ」
ノール砦の男達は勇敢で自分達が犠牲になるのもいとわない、めんどくせえ連中だ、糞勇者のお供の俺とカピンにも良くしてくれるし、はあ、砦の女連中なかなか綺麗だったな、あんな糞勇者いなかったら仲良くしたかったのに。
「なあ、カピンよ」
「なんだグラース」
「俺がハイオークを押さえるから怪我人と残りの連中逃がしてくれや」
「却下だ」
「なあグラース」
「なんだカピン」
「俺がハイオークを押さえるから怪我人と残りの連中逃がしてくれ」
「バーカ却下だよ」
「しかし限界だぞグラース」
「そうだなカピン」
深夜なのにオーク連中は引きもしねえ、俺らはもう限界、全滅待ちだな。
「なあカピン何匹殺ったよ」
「ん、七匹かな」
「勝った八匹だ」
「『我が敵を穿てアースキャノン』俺も八匹だ」
「クソッ『我が敵を…』限界か…」
「俺もな…」
どうすっかな…まだまだオークは居やがる、ハイオークも俺らが限界なのに気が付きやがったのか動き始めやがった、あーあ、砦の姉ちゃん誰でもいいから抱きたかったな。
「はあ、最後にリムルリリムさんとやりたかったな」
似たようなこと考えやがって。
「ふむ、リミュの知り合いか、よく耐えた、援護する」
上からの女の声に見上げる、ギロチンの様な刃物を肩に担ぐ女が魔力の槍でオークを貫いている、おい、一瞬で俺とカピンよりオーク殺してるじゃねえかよ。
「あの姉ちゃんが勇者なら良かったのにな」
「同感だよカピン」
ハハッ、ハイオークの首一撃で狩ってやんの、あの人を俺の勇者様にしよう、あの糞勇者なんかゴミだ、生きててももう知らん、ギルドの依頼なんか破棄だ破棄。
「俺、依頼破棄するわ」
「俺も」
勇者様はちげえな、ロック鳥に黒猫獣人連れて空まで走ってる、すげえわ、残りはオークばかり。
「行くかカピン」
「おうグラース」
俺達はノール砦の奴らと勇者様に混じって残りのオークを殲滅した、まあ、勇者様は強すぎて大半を一人で狩ってたんだがな。
ん?勇者様怪我人の治療までして下さる、駄目だ足向けて寝らんねえや、しかし助かった。
「カピン助かったな」
「ああ、リムルリリムさんにまた合える」
「お前はリミュの知り合いか?」
「リミュ?リムルリリムさんの事で?」
「そうだ」
勇者様が俺とカピンの方に来た、魔力の明かりがポツポツと照す勇者様は気高く美しかった。




