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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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プルミエ砦編8

 駆けるリーフムーンの視界に映るのは、地面に腰を落とし、ガクガクと杖を前に突きだし泣きそうな顔で、仲間を喰らう魔物を見ている少年兵だ。


 腰が抜け、立ち上がれ無いのを理解している様に魔物達は仲間だった物を喰らう、自分はデザートだ、生きたままの方が美味しいのだろう、「カチカチ…」歯が恐怖に動く顎に連動して音を出す、チラリ、と魔物の目が此方を見る、水中でも生活する為か瞼の動きが人とは異なるが、目だけで自分の危機は理解出来てしまう。


 魔法が使えるというだけで戦力に数えられる、年齢など考え無しに、安全圏から射つならそれで良いが、こうした状況において、役に立たない。


 恐怖のあまり使い慣れた炎の弾を放つ、魔物の、リザードマンの胸元に着弾し、燃え弾ける。


 厚い皮に阻まれるのか、怯む様子さえ無い、ただ怒りを買うには十分であった。


「カチカチ…」少年を掴む為に丸太の様な腕が伸びる、指先で少年に穴を空ける事も簡単だろう、「カチカチ…」ブンブン振り回していた杖はリザードマンの指先に当たり、反動で跳ねていった。


「ドスン」という音と軽い揺れを目を塞ぐ少年は感じる、「ふむ、リザードマンは丈夫だな」リーフムーンは勢いに任せ、リザードマンの頭部に膝蹴りをねじ込み、横転させる。


「おい、リザードマンに放つなら、氷がいいぞ、爬虫類だからか、冷やしたら目に見えて鈍くなる、逃げるにしてもな」呆然とする少年にリーフムーンは指導するかの様にいい放つ。




 此方フルフロラ、リーンさんがまたショタ攻略をしてる気がします。ガタガタしてます、乗り心地最悪ですよリーンさーん




「さあ、やってみろ」リーフムーンは適当に落ちている主なき武器を拾いながら少年に言う。


 横転したリザードマンは、まだふらつく様子で足に力が入らないようだ、やや遠方の数体が此方に気付き、雄叫びをあげ、向かって来る。


 少年は、腰が抜けたまま「フリーズ」と、氷弾を幾つか放つ、動けない横転したリザードマンには三発、遠方には一発か、周囲に着弾する。


「なかなか出せるじゃないか」リーフムーンは空いた手で少年の頭をポンポンと撫で、立ち上がる様にとその手を差し出す、少年は恥ずかし気に頬を染めながら「救援ありがとうございます」と答えその手を掴む。


「うん?先に言うが、私も敵だぞ、この砦を貰いに来たんだ」……手の力が抜け沈黙する少年を、リーフムーンは一先ず放置して、目に見えて緩慢な動きになったリザードマンに拾い集めた武器を構える。


 一方的であった、先にトゲが生えた金属の鈍器で、近くのやや氷ついたリザードマンの頭を粉砕し、戦意が衰えながらも、向かって来るリザードマン達に、弩を放つ、目に、口に刺さり、さらに戦意を低下させる。


 射ち尽くした弩を棄て、鈍器で頭を砕く、あり得ない跳躍力に、少年も、リザードマンも呆気にとられ、固まっていた。


「さて、私の槍は回収されているだろうかな」砦の中に進もうとするリーフムーンに少年は、「待て」と静止を掛ける。


「なんだ」リーフムーンのぞんざいな態度に、ビクッと少年が震える。


「やる気なら、仕方無い」リーフムーンの声音が先程の氷魔法より冷たくなる、「ちが、」ギュッと鈍器を握る音がする。


「なんだ」返答を冷たい声音で促す。


「て、敵と言われたが、恩人の貴女の名を教えていただきたい」少年の言葉にリーフムーンは迷う、名を教えて、フルフロラの不利益にならないだろうか、始末するべきか、散々に殺した後だが、死人を増やしたい訳ではない。


「駄目だろうか」少年は、食い下がる。「昨日、リッチに敗北していた奴だよ」リーフムーンは、それで解るだろうと、踵を返した。


 砦の内部は、まだ争う音が聞こえる。「倉庫当たりかな」リーフムーンは、勝手知ったる様子で、リザードマンと兵の死体を無視して奥へ歩く。


「誰だ」物陰に隠れる兵には軽く手を上げ、素通りする、「シャ」不意に現れるリザードマンは、頭を粉砕され、静かになる。


「さて、どうしたものか…」倉庫についたリーフムーンが見つけたモノは…


「……」怯えと敵意の視線であった。


「獣人か、奴らは見境なしだな…」「死ね…」拘束されながらも、まだ若い獣人の女性は殺意を言葉に出す。衣服は剥がされ、普段見ることの無い獣人の裸体に、リーフムーンは観察的に見てしまう。


 全身が体毛で覆われ、人に近いサラサラとしたショートヘアに猫科動物の様な耳がビクついている、抵抗したためか、右耳は半ばで千切られ、痛々しい、顔の掘りは人に近く、そこから胸部、腹部、恥部に至るまで、淡い色の体毛が女性らしいラインを際立たせる。


 よく見ると、少し奥の獣人を庇っている様に見える。


「死ね」その視線を自分向ける為か、先程の言葉を繰り返す、「もう死んでるさ」リーフムーンは奥の獣人に近付く、「止めろ、私が代わりにやるから」ややヒステリックに庇いだした。


 明るい毛並みの女性的ラインに、刺し傷が数ヶ所腹に多い、腕は折れているのか、前腕が異様に腫れ、意識は朦朧といった様子だ、恥部の様子から慰み物にされたのだろう。


「そういえばアンデッドになってから使って無かったな」リーフムーンは騒ぐ耳欠けを無視して、手当てを試みる。


「え?」耳欠けは予想外の行為に固まる。「ふむ、魔力が強化されているな…」高位の治療魔法並みに傷が塞がり、骨折は感知し、意識が戻る。


「どこか痛みは?」リーフムーンは、優しく抱え、完治した獣人を座らせる、「無いです」惚けた様にそれだけ告げる。


「次はお前か」耳の欠けた獣人にも魔力を流す、耳は再生しなかったが、目に活力が戻る。


「なんで助けた」耳欠けはやや、殺意を納め、リーフムーンに問う、「……」しばし沈黙し、「なんとなくだが」あり得ない答えを返す。


「ふざけっムグ」「助けて頂きありがとうございます」耳欠けの口を塞ぎ、弱っていた獣人がお礼を言う。


「気にするな」リーフムーンは、言いながら獣人達の拘束を引き千切る、「な、」「凄い」思わず声を漏らす二人、「お前らだけか?」リーフムーンの問いに、「ええ、私らを囮に他は逃がしましたので」弱っていた方が答える。


「ふむ、襲ったのは、私らと、リザードマン、獣人か」ポツリと呟くリーフムーンに、「私も連れてけ、ここの奴らを皆殺しにするんだろ」「でしたら私も」回復したのか、獣人二人は殺意を顕に示す。


「まあ、良いんだが、皆殺しはしないぞ、リザードマンに襲撃されているし、そのうち奴らも逃げるだろう」聞いてしばし考える二人、「何でもいい、連れてけ」「お礼もしたいですし、何か欲しい物はありますか?」付いて来るのは確定している様だ、フルフロラに任せようとしていたリーフムーンだったが、聞きそうに無いなと、そうそうに思考を切り上げる。


「解った、礼は生きて帰れたら何か頼むさ」リーフムーンは、そう言い、拾っていた武器の幾つかを並べる。


 耳欠けは、剣と小剣を、弱っていた方は弩と矢に、ナイフを装備する。


 服は無かったので、其処らの布を巻き付けた。


「誰か来た」耳欠けの耳がビクッと揺れる、「足音は小さいですね」「まあ、捕らえて生存者の情報でも聞いてみるか」リーフムーンは、獣人の感覚の鋭さにやや感嘆を示す。


「なんだ、さっきの奴か」リーフムーンの視界に、先程の少年兵が映る、「あ、」何か言おうとする少年をリーフムーンは組伏せ、口を塞ぎズルズルと、奥へ連れ込む。


「ンー」少年兵は、よく解らないまま、武器を構える獣人二人とリーフムーンに囲まれ、涙目になる。




 此方フルフロラ、ショタっ子の貞操は如何に…あ、グルたんさんが落ちた、走って来ます、速いです、必死ですね、あとちょっとですよー、骨さんが手を伸ばします、あ、取れた…




「さて、話をしようか」少年は現在の状況を理解できないまま、怯えていた。

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