北の地にアンデッドが降る編2
「ふむ、六人か、あと七人だな」
「あ、逃げ……」
「他人の心配か、立派な奴だ」
半死半生といった女性が六人息も絶え絶えに檻なかで呻いていた。
「今壊すからな」
フロラのこれは檻も簡単に切り開いた、フロラの様々な武器この日の為に用意していたんじゃないかと思ってしまう。
「ふむ、治療しよう、よく耐えたな」
「あ、ありがとうございます、あ、うし」後ろか。
振り返るとオークが数匹向かって来る、どうやら私が逃がしているのに気がついた様子だ、そこにゴーレムの道を足場に黒い影が降る、首を刈る様に巻き付き捻り千切る、ふむ、ルルはこれを千体出せるそうだが凄まじいな。
「ゴーレムが守ってくれる、砦まで帰れるか?」
「な、なんとか…」ふむ、六人共なんとか移動できそうだな。
「あと七人程だが誰か知らないか?」
「向こうの檻に五人先に連れて行かれました」あと二人か……
「あと二人だな、向こうはもう終わっているだろう」
「もう…」
「死んだのか?」
「解りません、連れて行かれました」ふむ急ぐか。
「どっちだ」
「あの森の方に、は、ハイオークもいました無理です」強いのか?
「ふうん、まあお前らは生還して皆を安心させてやれ」
「ですが、貴女が死んだら」
「これ以上は死ねんよ、では先を急ぐ」
私が森に近付くとオークより二回りは大きいオークがいた、これがハイオークだろう、木陰に小さな人影がいる、一人か、もう一人は……まあ、無駄に盛っているハイオークの背中を見たら十分なんだが、どうにかして無事に助けてやりたい、無力化したいんだが、ふむ、リミュの使った魔力の槍が良さそうだな。
私は無遠慮にハイオークの前に回る、犯されるのは少女、明らかにサイズがおかしい物が無理やり体内を抉っている、首も折られ事切れていた、遅かったと無念さを感じるが私は感情を無視してハイオークに魔力の槍を四方から襲わせる。
何か五月蝿いな喉も開くか、四肢は地面に張り付ける様に魔力の槍で貫く、少女の亡骸は木陰で気絶していたがまだ生きていた少女の側に寝かせた、……フロラには悪いが切り落とすには最適だった、後で洗おう。
さて、顔面を綺麗に剥いだがまだまだ元気だな、この面の皮はお土産にしよう、どうしたら苦しいだろうか、私にそんな知識は無いから困ってしまうな、とりあえず先から刻んだら良いかな。
ふう、次は足にしよう、そういえばミチュアのアレは風の盾にしたら使い出がいろいろ良さそうだな、……うん、飛び散るな、だがよく反応する、やって良かった。
あとは持ち帰って皆に恨みを晴らさせるか、さて、少女の様子はどうかな?
「ふむ、たいした外傷も無いな、おい、大丈夫か?」
と、私は少女の頬を軽く叩く、しかしエルフだったか、白い肌に尖った耳、ふむ、キャナやアルエとは肌の色こそ違うが似た雰囲気だな。
何度かペチペチと叩くと。
「あ、アァー」元気そうだな。
「大丈夫か?」
「あ、ファオ…」
「お前はファオと言うのか?」
「違う、ファオがハイオークに犯される」そこで気を失ったのか…
「ふむ、知らない方がいい」
「ふざけないでファオは、ハイオークは」ファオとは隣に寝かせたままの少女の死体だろう。
「ハイオークならそこに死にかけているぞ」
「え?ヒィぃ、いや、やだ、……あ」まあ、見てしまうよな…
「ふぁ、ファオ、ねえ、ファオ、大丈夫?ねえ、返事して」
「すまない間に合わなかった」
「いや、ねえ、あなた強いんだからファオも助けてよ」ふむ…アンデッドにするのか?
「もう死んでいる」
「なんとかしてよ……」
「生き返る事は無い」
「なんとかしろよ、私が何でもするから」ふむ、何でもするんだな、しかし胸ぐらを掴まれてしまった。
「ふむ、わかった」
「なんとか、な……え?」
私は首がおかしな方向に曲がり体液を撒き散らすファオの亡骸を抱え座り込む、そして治療の魔法を亡骸に込める。
「ねえ、何で死体に治療してるの?」アンデッド化しているんだが、それにしてもエルフは魔法に敏感だな。
「ふむ、秘密だ、この事は他言してはならない」
しばししてファオの外傷は無くなった、これからまた時間がかかる、まあオークはフロラが殲滅するだろうから大丈夫か。
「いつまで死体に治療してるのよ、ファオのお墓作るんだから返してよ」自分がなんとかしろと言った癖になんだろうこの仕打ちは。
「ローロまだ私埋りたく無いかな」ふむ無事にアンデッドになったな、エルフのアンデッドか、禁忌とかでは無いといいんだが。
「違うわよ、灰になるまで焼いて森にま……く…ば、ばぉぉぉ」
「ローロ、私はファオよ」ファオは花が咲く様に笑うんだな。
ローロとファオに呼ばれる生き延びたエルフの少女はファオに抱き付いて涙を流していた。




