北の地にアンデッドが降る編1
「ふむ、私の負けだな」
流石に飛行を生活の主とする生物にはかなわないな、見た所ここがリミュの言うオーク達を迎え討つ防衛砦だろう、現に数十のオークが砦を壊そうと手に持つ木材や金属を打ち付けている。
しかし日暮れに着いたな、ルルイエ砦から二日か、わりと早かったな。
「しかしフロラに攻められていた光景を思い出すな」
「そうなのかリーン」抱えたままのルルが答えてくれる。
「ああ、アンデッドがずっと壁を殴って来るんだ、私でさえ参ったよ」
「よく平気だったな」
「何故か夕暮れには撤退していってな」
「へえ、なんでだろ?」
「まあ、結論から言えば悪さ出来ないように嫌がらせをしていたみたいだな」「リーンさん間違って無いですけどなんか言い方があると思います」
「分かりやすいからリーンの説明で大丈夫だぞ」
「……それより助け無くて大丈夫?」
「そうだな、私とルルで行こう五月雨は上で様子を見ててくれ、二人ほど戦闘不能だろうし」
「リーンさん私も行きますよ」ずっと運ばれてたのに、ミチュアなんかかなりぐったりしてるぞ。
「大丈夫かフロラ?」
「平気ですよ、さみだれさん私を放して下さいぃ……」落ちて行ったな、私も行くか。
「じゃあ、ルル行くか」
「おう」
こちらフルフロラ、絶賛落下してますよ、さあて、殺ります。
ミートクラッシャーを抜き放ち直下の豚を潰し切る、見た感じ捕まった間抜けはいない、私は振り返った豚面に一閃、事態を把握出来ない奴らに手当たり次第かち割って走る、十ほど始末した辺りで砦の方に魔力を感じる、どうやらゴーレムを召喚したらしい、と、車輪の付いた檻があった、中には戦って力尽きたらしい女が数人手足を折られて入れられていた。
「ふん、無事だな」
適当に檻を壊して周辺のオークにミートクラッシャーを投擲、三本投げたらとりあえず動く豚はいなくなった。
「だ、だれだ?早く逃げないとお前も」
「五人か、少ないな、回復してやるから砦に逃げろ、あと捕まった奴は他に知らないか?」
「あ、ありがとう、私は」
「礼は助かってから聞く、使え」
と、ミリオンランスの数本を彼女らに渡して自分は寄ってきた一体に投げつける。
早く逃げて欲しいもんだ、私が狩らないと……
ふむ、落ちたフロラがオークを撫で切りにしながら走っているな、私は先に砦に降りよう。
「誰だ」
「援軍だ、リムルリリムに誘われてな」
「まさかフルフロラ様?」
「違う、フロラならあの辺だ」
と、指を指すとオークの血が噴水の様に吹き上がる。
「あ、ああ、フルフロラ様がご帰還された、皆、フルフロラ様が来たぞ、奮起せよ」
絶望的だった砦に活力が湧いてきた様だった、しかし、女性ばかりなのが気になる。
「なあ、リーン、オレが防ぐから上手くやってくれ」
「わかった、久しぶりにルルの力が見られるな、おい、これから増援が出る少し下がらせてくれ」
「はい、フルフロラ様のお仲間の力是非ご助力お願いします、総員後退、防陣を作れ」
見事な軍だ、急な指示にも滞りなく動く。
「じゃ、いくぞ」
ルルの言葉に続いて砦にゴーレムの防衛線が引かれた、二百は出したのかな、砦の前に二重のゴーレムの壁が出来上がった、どうやら弱いタイプのゴーレムを出した様で動きは緩慢に見える、が、防衛線の内側にいたオークが凄まじい悲鳴をあげて死んだ。
「こ、これは、ゴーレム、しかしこの数は、それに何体か動きのおかしい黒いのが」
「味方だ、ゴーレムを壁に使え」
とは言ってみたが黒いゴーレム、まあ強い方だな、そいつらがオークに抱き付く様に掴んでそのまま絞り殺しているから味方の悲鳴が混じっている、私はアレをやられた事があるんだが、見たぐらいで恐慌しないで欲しいもんだ。
「すまんが、状況は?」
「はい、防戦中何人かオークに拐われましたが拮抗しておりました、が現在そちらのゴーレムにより圧倒しております」
「何人拐われた?」
「は、十三人です」
「ふむ、まだここらにいるか?」
「遠方に檻車が二台見えます、中にいなければ何処かで凌辱されているでしょう」
「ふむ、わかった、行ってくる、ルル、任せるぞ」
「おう、フロラが左の檻に向かってるぞ」器用なもんだ、ゴーレムとフロラの視界で把握してるんだろう。
「そうだ、ルル檻までゴーレムで道を作れないか?」
「できるけどどうしてだ?」
「逃がす道が欲しい、人数が多いからな」
「なるほど、二重槍を二本檻まで伸ばす、護衛は十づつでいいかな」もう私じゃルルに勝てないな。
「ありがとう、ルル」
ほう、ゴーレムが檻まで道を作ったな、流石だな。
「このゴーレムの中を進め、味方だ」
「はい、ありがとうございます」
やっと行ったか、向こうにも道が、行ってくれるみたいか、私は狩に専念できるな。
ふむ、間近で初めてオークを見たが、フロラが豚と言う様に人形の豚だな、顔は猪に近く、身体は肥満している、何より下半身をさらけ出して発情を見せ付けているな、不快だ、ん?フロラの武器が死体に刺さっている、ギロチンに持ち手を付けたような武器だな、少し借りようまともな武器では数匹で役に立たなくなりそうだしな。
「さて、使わせて貰おう」
私は武器の重さに任せ奴らの腰辺りの高さを駆け抜け様に振り回した、勢いそのままにオークの身体の八割程を両断した。
「いい切れ味だな」
私は迫る二体、一体目を踏み越える様に振り上げ上半身を両断、二体目に上段から斬り返し袈裟懸けに切り捨てる。
「ふむ、少し振り回されるがなかなか良いな」
私は檻までの道、オークをほふりながら向かった。




