閑話 夜中に叩き起こされると突然リア充一家の面倒を見るように言われた件
俺は寝ているところをクロムに起こされた、どうやら隊長が何やら送るから広い場所へ移動して欲しいらしい。
「ではリーフムーン様の所へ戻りますのでよろしくお願いします」
クロムは俺なんかに律儀にお願いして隊長の場所へ転移していった召喚らしいけどかわんねぇよな、正直伝説の魔法だと思うんだが隊長は普通に使ってる、これが生前なら大魔法使い様だろうけど本人は興味無いだろうな。
はあ、何で俺は上手くやれなかったんかね、お、帰ってきたな……ブォンと耳障りな音と共にクロムが帰って来た、おう、荷馬車ごととは隊長も無茶するねえ、クロムには小さい女の子が二人しがみついていて、荷馬車にその両親か…俺も隊長と、いや、そばにいられるだけで満足しちまってるかな。
「荷馬車ごととは隊長やりやすね」
「戻りました、リーフムーン様が戻るまでご不便でしょうがこちらでお過ごし下さい」
「お世話になります」
「ここどこー」「しらなーい」
なんかクロムの奴毛をむしられてないか?おっと母親が薄着で気を失ってるな、どっか部屋に寝かすかね。
「とりあえず部屋に案内しやす」
旦那が嫁さんを抱き上げる……まだ若い嫁さんだ、二人の子持ちとは思えないな、こんな格好ってことは襲われた所を隊長に助けられたってことか、旦那もかなり出血してたみたいだな。
「ありがとうございます」
「さあ、寝ましょうね」
「はーい」「あーい」
四つベッドがある部屋に案内する、クロムが二人の女の子にベッドに連れ込まれる、まあ、羨ましくは無いんだがね、旦那は目が覚めて動揺してる嫁さんと同じベッドに入って寝かしつけてやがる、解る、解るんだがなんだこの敗北感は、俺はどうしようも無い敗北感に包まれる。
「じゃあ好きに使ってださいや」
逃げた、俺は逃げた、部屋に帰ってドアを閉める、もう駄目だ、隊長に貰った酒を飲もう、隊長、これはかなり強い蒸留酒じゃないっすか、リムルリリムさんと飲み空かしてた奴じゃ?そりゃあこんなのグイグイ飲んでたらああなるよ、クソッあんな可愛い隊長また見たい、あんなにルーナに抱き付いて、まるで甘えてるみたいに……クソッ、変わって欲しかった。
「グルダン様」
「ああ、クロムか、嬢ちゃんらは寝たのか?」
「はい、大変な目にあったのでしょう、なかなか寝られませんでした、親御さんもお休みです」
「クロムも飲むか?隊長から酒を貰ったんだ」
「いえ、私はご報告に参った次第ですので」
「まあ、付き合えよ、クロムも子守りで大変だっただろ」
「お優しいんですね」
「お前が独身だからだよ」
「酔われてますか?普段とお言葉使いが違いますよ」
「あんなもん演技だよ、ちょっと落ち目の役でもしなきゃやってられんからな」
「私にそんな秘密をお話しになられて宜しいので?」
「ああ、なんかクロムは一緒にいて落ち着くからな」
「ありがとうございます」
「まあ、飲め」
「酔ったら申し訳ございません」
「おう、面倒見てやるぜ」
「ではご一緒させていただきます」
朝になったがいつの間に鎧を着たのか覚えが無い、クロムは寝ないから俺が潰れたらどっか行ったんだろうけど、まあ、朝飯の準備かね、六人分か、別にいつもと変わんねえな。
「おはようございますグルダン様」
「おう、クロム、おはよう、悪ぃな先に潰れちまって」
「いえ、それよりその鎧」
「…………見たのか?」
「まるで生命体の様な」
「見た目も知ってるのか」
「まるでリーフムーン様のっ」
「皆には、隊長には黙ってて欲しい」
「そんな、話しませんから土下座は止めて下さい」
「………」
「グルダン様」
「黙っててくれるか?」
「そう申しております」
「そうか、コイツ一回隊長に粉砕されてるからな」
ポンポンと鎧の胸元を叩くと隊長のゴーレムに姿を変えた、そうしないと着替えらんねえからな。
「昨夜はどうも」
ゴーレムに話し掛けるのも律儀だねぇ、しかしコイツいつもは俺の着替え見てるのになんでクロムの方を向いてるんだ?まあいいか。
「さて、朝飯作るかね」
「お手伝いします」
さて、子供向けのメニューなんか知らねえぞっと。
「クロムは火ぃおこして鉄板な」
「畏まりました」
まずは保存食中心の砦にあったらおかしい取れたての新鮮野菜をしかも洗ってある、アンデッドが管理してるとか言わなきゃバレねえよな、トマトはダイスカットで軽く塩をふって器に……隊長のアドバイスだよ、塩をふったら味がしまるって、その通りだったけど。
レタスは適当に小さく千切る、オニオンはスライスして水にさらす、まあ野菜はこれくらいでいいかな、あとは最近在庫が増えたリザードマンの燻製肉を薄切りにして、「鉄板温まりました」丁度いい、焼こう。
「後は卵割って混ぜといてくれ」
「お任せ下さい」
焼けたら味見だな、うんイケる。
「終わりました」
「おう、ほらクロムも食え」
「ありがとうございます」
卵は適当に炒めて一塊に、専用の取手付き鉄板が有ればフワッと出来るんだが無いもんはしょうがねえ。
最後にパンのスライスを軽く炙って完成だな。
「よし、クロムも運んでくれ」
「畏まりました」
俺が隊長に助けられた一家の部屋に入ると肩を抱き合いまだ寝ている子供二人を眺めていた、大丈夫、昨日の酒で全部流した、うん。
「朝食ですぜ」
「私らの為にありがとうございます」
「あ、あの私」
「ああ、気が回りやせんでした、男もんしかありやせんが服をお持ちしやす」
「いいにおい」「ごあん」
クソッ、声も可愛いいじゃねえか、酒が、夜まで我慢だ、クソッ。
「ではごゆるりと」
俺は適当な服を嫁さんに渡してクロムと二人自分らの朝飯を食いに食堂に戻った、隊長、トマトに塩をふりすぎやした。




