フロラとリムルリリム編6
「さて、この近くだったな」
私はリシェスの家を訪ねる、まあ、念のために食糧をな。
「邪魔をする」
「あ、リーフムーンさん」
リシェスの家は様変わりしていて、革の加工場の様になっていた、ぶら下がっているのは、まあ、あれだろう。
「持ち込みですかリーフムーンさん」
「いや、食糧が大量に欲しいんだが、保存の効く物を優先で」
「戦争でも仕掛けるんですか?まあ、リーフムーンさんとこには最優先で回しますけど」
「すまないな、料金は」
「いえ、乱獲させて貰ってますし、この子も借りたままですから」ふむ、よくなついているな、……アンデッドはなつくのか?まあ、私達にも意思はあるんだから不思議ではないか。
「お言葉に甘えよう、終わったら何か土産を持ってくるよ」
「ところで本当に戦争なんです?」
「近いな、北でオークが五千ほど出たらしいから皆で援軍に行くんだ、砦は手薄になるからリシェスが行くなら気を付けてくれ」
「わお、ますますお金貰え無いじゃん、ちと周りからも奪って来るわ、リーフムーンは適当にお茶でも飲んでて」うん、言うや走って行った、ゾンビドッグもついていく、本当によくなついたな。
「ふむ…」
まあ、待つのも暇なので台所を覗くか、お、茶葉がある、ふむまあ最近誉められたのもあるからリシェスの分も用意しておこう。
「リシェスわしも一緒に茶を…」
「ふむ、邪魔している、茶も飲んでくれまあ、勝手に使っているんだが」
「も、申し訳ございません」ふむ土下座だな。
「何の事だ?」
「そちらから産出しましたリザードマンの革を勝手に販売しておりました」何か問題あるのか?
「自力で獲ているんだから問題無いだろう」
「え?」
「リシェスが狩っているそうだぞ」
「私を狩る訓練でしょうか?」普段何をしてるんだ。
「知らん身に覚えがあるなら慎め」
「畏まりました、ところでアンデッド様は如何様でしょうか?」
「北でオークが出たそうでな、現状が解らんから念のため食糧を用意して行こうかと、他は先行して貰っている」
「では武器も?」
「あるのか?」
「在庫にバリスタ等もありますねまあ運ぶのは無理でしょうから弩や槍なんか喜ばれるのでは?」
「ふむ、全部用意してくれ、バリスタと矢弾もな」
「解りました馬車も手配します」
「いらんよ遅すぎる」
「はあ?」と首をかしげるリシェスの父。
「用意できたら教えてくれ、まあ茶を飲んでからで構わん、せっかく用意したから冷める前に飲むといい」
「仰せの通りに致します、では頂戴します…これは」ふむ?失敗したか?無言になってしまった。
「リーフムーン、集まったぞ」おう。
「ああ、リシェス、お茶を用意してあるから飲んでくれ」
「ありがとう、でも火も起こして無いのにどうやって?」
「自前だ、まずポットに水を出現させて」
「そこからおかしい」
「茶葉を入れて沸騰しない程度に温めて」
「出来ないから」
「香りが漏れない様に空気を封印して蒸らす」
「さらっと人外アピールしないで」
「出来上がりがこれだ」
「すげぇ香り、そこらの売れ残りの茶葉だし、あ、苦味が無い、え?甘いんだけど」出来は良いみたいだな。
「昔、習ったお茶の煎れ方を自分なりにやってみたんだ」
「アンデッド様ー」お、復活した。
「どうした親父」
「なんだ?」
「く、国に献上するお茶を煎れて下さい」?
「いや、茶葉を献上するんならいらないだろ?」
「試飲用です、お願いします」
「今は忙しい」
「ご帰還されてからで結構です、お願いします」
「まあ帰ってからなら」
「ありがとうございます、お待ちしてます、ただいま武器もお持ちしますお代も結構です」あ、行ってしまった。
「リーフムーン、親父の手口にハマったね」そうなのか?
「仕方無い、持ち合わせでは足りなかっただろうしな」
「それ以上の利益があるんだろうな」
「まあ、言ったからには付き合うが私だとバレない様にしないとな」
「なんで?」
「私は元プルミエを守っていた騎士だぞ、今は裏切り者だ、即打ち首だ」
「もう死んでるでしょ」そうなんだがな…
「まあ、なんとかなるか?」
思ったより大量に食糧、武器が並ぶ、バリスタも十五台、矢も大量にある。
「なあリシェス、私はなんでこんなに握手をしているんだ?しかも女性ばかりに」
「なんでって女性の敵オーク狩りに行くんだよ、しかも女の身で、もう勇者リーフムーンだよ」
「はあ、終わったか、もうすぐ日が暮れそうだな」
「泊まってく?」
「別に睡眠は必要無いからな、早くフロラに追いつかないといけない」
「そう、でもどうやってこれ運ぶの?」
「多分入るだろう」
「何に?って…空間収納魔法、商人の憧れ魔法、親父ヤバいリーフムーンが拐われる」なんでそうなる。
「アンデッド様、御婚姻を考えられませんか?リシェスなんか気立てもヒャッホウで飽きの来ないパートナーかと」ヒャッホウってなんだ、普段のリシェスはまだ何かあるのか?
「リーフムーンさんならいいかな」やめてくれ。
「断る、リシェスも付き合わなくて良いから」
「そう?リーフムーンさんが男なら全然いいんだけどね」ふぅ…
「どちらにしてもアンデッドだ諦めてくれ、それに自分で覚えたらいいだろう私もフロラが使っていたから覚えたんだし」
「魔法って才能無くても覚えられるの?」荷物は全部入ったな。
「関係あるのか?」
「だって制御できなかったら危ないらしいし」……そういえば。
「そういえばフロラが私の真似をして脚が千切れたな」
「やっぱ危ないし……」そんな目で見ないでくれ。
「まあ、時間ができたら教えよう」
「私死なないよね」なんでそうなるんだ?
「まあ、全部帰ってからだ、邪魔をしたな」
と、私は魔力で強化しながら空中を足場に北へ走り出した。
「そりゃ脚も千切れるわ」と見送るリシェスが呟いたのが聞こえた。




