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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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閑話 ルルの休日

「強引だなリーンは」

「……リーン様は自分より周りが気になる人」

「そうだな、まあ」

「……呼ばれたから帰る」

「あ、ルーナ………いっちゃったか、姉ちゃん探すかな」


 一回来ただけだからわかんないよなぁ、明るい時間は初めてだし、しかしどうしようかな、まあ歩くんだけど。


 それにしても手薄だよな、入り口に見張りがいるくらいで中にいきなり来たオレは見つかりもしないし、ん、なんかブンブン聞こえるな、小さい子が剣振り回してるな、オレは力が無いから持つのも辛いけど、まあ、姉ちゃん知らないか聞いてみるか。


「こんにちは、オレはルルって言うんだ、お前は?」

「………」

 無視?、いや、身振りで?


「………」

「………」

 うーん、喋れないのか……


「言葉は解るんだよな」

「……」

 うんうんと縦に首を振ってる。


「字は書けるのか?」

「………」

 書けないみたいだな。


「字が書けるんなら粘土板でも使えば会話になるんだがなぁ」

「………」

 首を傾げてる、まあ見せたらいいかな。


「これだよ、あげる」

「………」

 硬い枠組みで囲った柔らかい粘土板を渡す、そこらの枝で字を書いてみせる。


「こんにちはって書いてあるんだ」

「………」

 興味深く触ったり書いてみたりしている、もちろんオレが作ったから粘土が乾いたりしないし消そうとしたら新品の様に綺麗に整う、ん?そんなめんどくさい事しなくても思った事が文字になる様にしたらいいんじゃないか?


「うん、ちょっと返して、使いやすくするから」


 うん、触ってる人が思った事を文字になる様にして、あとは使える人をオレとこの子だけにしよう、盗られたらかわいそうだしな、すぐ作れるけど。


「………」

 (思ったら文字になる様にしてみたどうだ)と粘土板に文字を浮かばせて渡してみる、首を傾げてる、あ、オレの字が消えてなんか出てきた(読めない…)そりゃそうか。

「そりゃ字が書けなかったら読めないよな」

「……!」

 なんか驚いてる、(なんで思った事が解るの?)説明してないもんな、リーンに雑だとか言っといてオレも駄目だな。


 一通り説明する、この子はイールという名前らしい、喋れない、剣の訓練をしていた、ってとこか。


「うん、じゃあ相手を用意するよ」

「……(相手?)」

 おう、と、イールより少し大きいゴーレムを用意する、出来るだけ人に似てなくて人形な形にして、イールとオレに忠実で危ない時は土を取り込んで大型になって……


 まあ、うん、こんな感じかな、イールといつでも訓練できる感じで。


「……(ありがとうルル)」

「おう、気にすんな、またな」

 手を振るイールとゴーレムに見送られてオレはまた探索を続ける事にした。


「嬢ちゃん見ない顔だな」

「おっちゃんは顔が無いな」

「おう、見付からなくてな、てか怖く無いのか?」

「オレもアンデッドだしな、仲間だよ」

「そういやそうだな、フルフロラさんにアンデッドにされたんか?」

「いや、リーン、リーフムーンにだ」

「そうか、俺らはリーフムーン隊長に殺されてフルフロラさんにアンデッドにされたんだ」

「へ?なんでリーンが人殺しを?」

「俺らがこの村を襲ったからだろ」

「ふうん、リーンは誰も殺さないのかと思ってたな」

「皆殺しだったぜ、俺ら、まあ仕方ねぇけどな、ん、嬢ちゃんは隊長に殺されたんじゃねえんか?」

「オレは魔法の使いすぎだよ、リーンと戦って力尽きたんだ」

「へえ、嬢ちゃんかっこいいな、隊長強かっただろ」

「おう、ゴーレム四体で捕まえられなかったからな」

「嬢ちゃんゴーレム使いか」

「いや、土ならなんでも使えるぜ」

「ほお、………うん」

「どおしたんだおっちゃん?」

「まあ、子供に頼む事じゃねぇんだがな」

 要するにこの村にしっかりした囲いが欲しいらしい、リーンに殺されたアンデッド達で防備しているが、まあ限界はあるそうだ。


「やってやるぞ、任しとけ」

「すまねえな」

 話したら普通なのになんで村を襲ったんだろう?命令?今はなりたいと思わないけど兵士ってそんな事もさせられるんだな、ここらに見張り塔も作ろう、囲いは高さ三メートルで、壕はまあ村だし二メートルもあればいいかな、出入口は二つ、別途畑にも囲いを作って…


 そうそう、避難用に地下室と地下道も作って、なんか子供が集まってきたな、危ない時はここから逃げるんだぞ、うん、防衛用にゴーレムも入れとこう、何ヵ所か隠し部屋に二百もいたらもつかな、そのうちルルイエまで繋げとこうかな、あんまり子供が入らない様に近くに遊べる場所も作ろう、足幅くらいの細い道、浅い砂溜まり、小さい山にトンネル、あれ?なんかやってる事が変わってきたな。


「すげえな嬢ちゃん」

「おう、おっちゃん村の出入口は門にするか?」

「頼むは」


 ついでに囲いの上にも緊急時に動くゴーレムを置いとこう、まあ、こんなもんか、襲われてもかなりもつだろ。


「ありがとよ嬢ちゃん」

「おう」

「これはどうしたんだ?」

「こりゃあカルムのだんな、フルフロラさんとこの嬢ちゃんに壁を作ってもらったんでさ」

「あ、カルムの兄ちゃん、姉ちゃん知らない?」

「あ、ああ、ルルだったか、リーンは元気か?ルルの姉さんならフルフロラ様の家だったかな」

「わかった、じゃあ行ってくる」


 走ったのはいいけど場所わかんないや、仕方ないから戻るか、しかし相変わらずカルムの兄ちゃんの首は気になるな。


「場所わかんないや」

「ああ、案内するよルル、お礼もしたいし、説明もして欲しいからな」

「おう、忘れてた」

 案内されながら地下室に地下道まで説明しとく、まあ、ルルイエまで開通させる予定とかゴーレムが待機してるとかはいいだろ、遊べる場所は喜んでくれたし、囲いもお礼を言われたし、もう忘れて無いよな。


「あれ、ルル来てたの、お帰り」

「姉ちゃん」


「じゃ、じゃあこれで」


 カルムの兄ちゃんは気を使ってくれたのか直ぐに出て行った、オレは久しぶりに姉ちゃんと一晩中話していた、後で思ったけど眠かっただろうな、明日には迎えに誰か来てくれるんだろうか?リーンは忘れてもルーナが言ってくれるか、まあ地下道掘りながら帰ってもいいんだけどな、しかしだんだんにぎやかになってきたな、苦手な人もいるけど慣れなくちゃな、まあなんとかなるか。


 次の日オレは眠そうな姉ちゃんに見送られてこの村を後にした。

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