アンデッドは空から訪れる編15
「ふむぅ」
「どうしたフロラ?」
「今行きましょうか」それは良いが…
「ミチュアはどうする?」
「タマさんにはアレを使います」
「アレとは?」
「タマさーん」だからアレとはなんだ?
フロラは口論を続けるミチュアの後ろからしがみつくと同時にミチュアの荷物を漁る。
「なに、フルフロラ今、むぐ」
フロラは取り出した赤い実を無理矢理ミチュアに食べさせた。
フロラそれって確かマタタビでは………
「ねぇふるふろらららどーしたにょ、あしょぶにょはあとれ…」
「ではキャッセさんよろしくお願いしますね」
いきなり大量に食べた為かべろんべろんなミチュアをフロラはキャッセに押し付けた。
「見事なもんだ」
「えへへ」
「いや、フロラそれはスリだろ、ミチュアの姉ちゃん後で怒らないか?」
「さあ?わかりません」
「まあ、ルル、ミチュアに見付かる前に片付けてこの国は危険だから引き取ると連れて帰ったら大丈夫だろ」
「………リーン様は雑」うぅ…
「駄目ですよ思っても言ったら」やっぱり雑なのか…
私が意気消沈と一人暗い感情を持て余しているとフロラが名無しと呼ぶ獣人が此方に来た。
「助かったよフルフロラ、陛下が思ったよりしつこくてね」なんか馴れ馴れしい奴だな。
「まだまだ子供なんですよ」そうかもな。
「フルフロラはいくつなんだい?」私も少し気になる。
「百歳からは数えて無いですね」
「ふざけんじゃ無いよアンデッドじゃ在るまいし」
「私アンデッドですよ」教えていないのか。
「………冗談だよね」
「へ?なんでです」
「あんたらフルフロラの連れだろ知ってたのかい?」狼狽えているな。
「私もアンデッドだが?」
「オレも」
「なんてこった……死人に媚びてたのかあたしゃ」
「そうですよ」
「フロラもズケズケと言い過ぎじゃ」
「とにかく今日中に終わらせるぞ、案内を頼む」名無しはもう放置してアンデッド獣人二人に向き直る。
「……リーン様おんなじだった」
「フルフロラ様もルル様もですよ」
「ああ、長い付き合いになりそうだな二人共」
「………フルフロラ先輩はアンデッド歴百年以上なら享年いくつ?」お前どれだけマイペースなんだ。
「リーンさんこの黒いモフモフさん聞けない事を普通に聞いてくるんですけど」
「ま、まあ、いきなり環境や状況が変わったんだから」
「……先輩のお歳聞きたい」お、おう。
「だから百歳からは数えて無いですって」ん?
「なあフロラアンデッドになってから百年以上だよな?」
「もー、リーンさんまで、私は魔女として数百年生きてからアンデッドになったんですよ」………?
「……先輩すごい」
「魔女ってフロラ肉体派じゃないか私も殴り倒されたし」
「魔法とか危ないじゃないですか」それはそうだろう。
「なあリーン、フロラって魔法使った事有るのか?」
「私の心臓を潰した時かな」こうパンッとな。
「……だからリーン様は控え目、なぅ」首の皮を掴む、猫つまみと言うやつだ。
「いや、フロラは外傷無く潰したぞ、後で確認させてやる」
「え?そんな高度な魔法をフルフロラ様は使われるんですか?」
ニコニコと黙って聞いていた多色の体毛、確かサビという模様あまり人気の無い色柄だったか、が話しを挟む。
「そうなのか?」
「そうですよ、普通ですよ普通です」フロラだしな。
「いえ、差し出がましい事を言いました、申し訳ございません」
「問題無いですよ」
「そうだな」
こちらフルフロラ、魔法ですか、下手に使うと地形が変わるんですよね、昔は湖ができたり森が砂漠になったり…
「そんなの使うなよフロラ」わかってますよリーンさん。
「……リーン様独り言?私話相手する」
「いや、フロラに言っただけだ」
「……先輩は何も言ってないリーン様疲れたなら休みましょう」
「そうじゃ無いんだ、後で説明する」
「……わかった」
あの私のテリトリーがもうフリースペースなんですが、鎧さんといい皆さん自由過ぎですよ。
「鎧?」
「……そういえば鎧葬してた過去の敵対英雄が無い」うちにいますよ。
「そうか」
まあ、今回は魔法を使う必要が有るかもしれませんがね。
「すまないな」いえいえ。
さて、フロラの生前が魔女らしいが、盗賊の様な手技や戦士の様な武技、装備、まだまだ解らない事が有るな、考えが読めても心は読めて無いのだろう、騒がしい毎日だが一度フロラと二人で話し合うかな。
「リーンさん腕を組んで何を考えてます?」ああ。
「一度フロラとゆっくり話しをしようかと」
「怒るんですか?」
「なんでそうなる」
「難しい顔してましたから」
「まあ、お互いに知らない事が多いと思ってな、二人で……いや、家族で話し合うかと」
「そうですか、なんかいいですね昔の私を覚えている人はもうほとんどいませんし」
「まだ居るのか」
「そうですねー、魔族の長命な人とか、師匠とか、神聖王国の聖職者の上層部ですかね」
「……先輩なんだか危険な情報流してる」
「そうなのか?」
「……アンデッドは神聖王国が根絶やしにしようとする存在」
「そうですね…」は?
「おいフロラ本当なのか?」
「………」ふむ、そんな顔をするな。
「フロラはフロラだ、私が敵対する事は無い心配するな」
フロラの肩を抱く、やれやれ、神聖王国の聖職者とやらが自覚していないアンデッドだとは、百年以上も死なないなら解るだろうに、自覚させて無いだけかもしれないか、なぜフロラが遠方の国を意識しているのかと思ったら、アンデッド知識を持つ私らはターゲットになるか。
「……先輩ずるいリーン様私も、なぅぅ」
マイペースな、名前を早く決めないとな、こいつを猫つまみで黙らせて、私達アンデッド五人と名無し達処刑待ち五人は目的地に着いた。




