アンデッドは空から訪れる編7
「レジニアに聞いておきたいんだが」質問をしておく。
「た、体重は勘弁していただきたいのですが…」まあ二人抱えたくらい大丈夫だが。
「それはいい、一応聞くが性別は雌でいいのか?」
「はい、フルフロラ様」
「私はリーフムーンだ、フルフロラはこっちだ」担いだままのフロラをヒョイと下ろす。
「はじめまして、ぽっちゃりさんフルフロラです」?フロラが名前を言わない…
「レジニアと申しますフルフロラ様」
「シーツを使いぶら下げるか…いや、投げてから拾う方が楽か…」ぶつぶつと口に出していたらしい、レジニアが目を剥いている。
「できれば安全に…」
「わかったシーツでいこう」レジニアのベッドからシーツを拝借、よく見るとベッドの影に食事を配膳する小さい窓がある、本当に幽閉されているようだ。
「さて逃げるか…」レジニアをシーツにくるみ、フロラを担いで窓から夜空へ身を投じる、ジタバタ、ブラブラと二人が動くがまあ、問題は無かった、レジニアが動かなくなったが程なくルル達のいる隠れ家に戻った。
「ただいま戻りました」とフロラを先頭に中へ入る。
「お帰りフロラ、リーン」ルルの出迎えに残った皆の安堵の顔が見える。
「何も無かったか?」
「おう」
「お帰りなさいリーフムーンどうでした?」ミチュアに言われてぶら下げたままのレジニアを包んだシーツを下ろす。
ピクリともしない、「レジニア生きてるか?」シーツを剥がし軽く揺する。
「こいつ誰だ?」ルルが聞いてくる、ミチュアはレジニアの姿を見て固まってしまった。
スースーと寝息が聞こえる、あんな状態で寝ていたのか?
「ミチュアの偽者らしい」
「似てないな」
「ミチュアに謝罪したいらしいが」
「私は一言も話しませんでしたよ?」
「まあ、怪しいとは思っているが」
「どうするリーン」
「とりあえず檻でも作って入れておいてくれ」
「容赦ないわねリーフムーン」
「普通だろ?そういえばキャッセとマルシェはどうした?」
「向こうでフロラに捕まってたぞ」
「……そうか」
レジニアは朝まで起きなかった、ミチュア達は休み、意地で見張りをするリュシオルを眺めながらルルをかまっていた。
「おはようございます、久方ぶりによく眠れました、ここはどちらでしょうか?」些か場違いな言葉と共にレジニアが目覚める。
「ミチュア陛下がいる場所だ、詮索はやめろ、あそこの方が寝心地はいいだろう?」
「いえ、私が幽閉されておりましたのはミチュア陛下がご無事だったからでしょう、ミチュア陛下が処刑の折りには私は王座を譲らされ秘密理に処分されるか、崩御させられていたでしょう」
「リーン、水と食べ物持ってきたぞ」ルルの言葉にググーっとレジニアのお腹が鳴る。
「レジニア食え」
「これはお恥ずかしい、いただいても?」
「ああ」
「それではいただきます」
簡素な食事だがレジニアはペロリと平らげる、十分落ち着いている様子だが、一息ついただろうと尋問を始める。
「さて、レジニアに聞きたい」
「お食事までありがとうございました、私が解る範囲でしたら何なりとお答えします」
「まず、レジニアの目的はなんだ?」拉致され、牢に入れられた環境で落ち着いているのがおかしい。
「ミチュア陛下に謝罪する事です」
「他は?」
「私事以外は特に」
「それも話せ」
顔を落とし、俯いたままレジニアは続ける。
「あそこから逃げたかったからです、立場的には死ぬべき者ですし、ミチュア陛下に謝罪と共に処刑される者ですが私は一時でも自由になりたかったのです、毎夜毎夜にいつ処分されるかと怯えて過ごすのはもうたくさんなんです」
「ふむ、で私達ならあわよくば生きて逃がして貰えそうと付いてきたのか?」
「はい…」
「リーンだしな」
「まだ黙っててくれルル、ではレジニア、ミチュア陛下を害して入れ替わるつもりは無いのか?」
「はい、ありません」
「ふむ…」
「なあリーン、警戒しすぎじゃ無いか?」
「いや、フロラが名前を覚えていないからな、なんとなく安心できなくてな」
「すまんが、リーフムーンいいか?」
「リュシオル?」
声だけ聞いていたリュシオルが口を挟んできた。
「前にフルフロラに尋ねたんだが、どうやら死亡率が高い者の名前は覚えにくいらしい、昔いろいろあったそうだ」
「そうか…私はまだフロラとそういった話をしたことも無かったな」
「私死ぬのですか?」レジニアが目に見えて狼狽している。
「わからん」
「リーンももう少し包んで言わないと」
「リーフムーンらしいが」
年少二人にまで言われ、私はまた考えてしまう。
「ぽっちゃりさん起きたんですか?」フロラがなにやらご機嫌な様子で歩いてくる、チラリとキャッセが見えたが、なにやら毛艶がよくなった変わりに疲れているように見える。
「フルフロラ様、私死ぬのですか?」レジニアが動揺を顕にしたままフルフロラに尋ねる。
「なんでです?」フロラはキョトンとした顔になる。
「フルフロラ様は死に逝く者の名前が解らなくなると聞きまして、私はもう…」
「リーンさん?」
「いや、違うぞ、フロラが名前を覚え無かったから警戒していただけだ」
「なんか私のせいみたいじゃないですか」
「そんなことはない、で、フロラはレジニアをどう思う?」
「お腹とかやらかそうですね、あと嘘ついてます」嘘?
「フルフロラ様私はけっして嘘など…」
「あなたは男性ですね」雄…性別を偽るか。
「違うのです、皆様、私は幼い頃に虚性されて雌として生かされていたのです」
ミチュアに似た毛色から、かなり前から準備されていたのか、やや肥満した体型はその影響だろうか?
「ふむ、まあ大丈夫そうかな、ではミチュア、任せる」
「ありがとうリーフムーン、では、話しをしましょうか偽者」ミチュアはやや怒りの感情を顕にしたまま現れた。




