アンデッドは空から訪れる編4
黄昏の光に紛れ私達はランクス国に入国した、時間帯からか、何なのか人通りは少なく、違和感を覚える。
「皆、単独行動はしないようにしよう、フロラが捕まったんだ、何かあるかもしれない」
「わかった」
「わかりました」
「リーンさん大丈夫ですよ」いや、フロラは捕まったんだろ。
「なんで不審そうなんです」
「フロラが捕まった場所だろここは」
「あれは蜘蛛さん達がいるから下手に動けなかっただけです」
「ふむ、フロラは単独でやる事があるのか?」
「いえ、別に無いですね」
「そうか…」ホントに無い様だ。
私はフロラにキャッセ達の宿泊する宿へ案内してもらう。
さて、キャッセ達だが、無事に合流できた、本人達は謁見できないまま待っていただけらしいのだが。
「こちらがキャッセ様とマルシェ様ですね」
フードを被ったミチュアがまじまじと二人を見たり、握手をしたりしている。
「リーフムーンこの同胞は?」
キャッセはよくわからんといった顔で見てくる。
「ああ、こちらはミチュアへ」
「ミチュアとお呼び下さいキャッセ様」話すなと言うことか。
「わかったミチュア、けど様は止めてほしい」
「はいキャッセ」
「ねえリーフムーン、ちょっと」マルシェが顔を寄せ、耳打ちをする。
「なんだ?」
「私の勘違いじゃ無かったらミチュア女王陛下だと思うんですが?」マルシェは知っているみたいだ。
「ああ、そうだ処刑前にフロラが助けたらしい、身分を隠したいんだろうからマルシェも付き合ってくれ」
「わかりました」
「マルシェ様」
「にゃい」動揺しているな。
「マルシェ様は乱暴されてお怪我をされたそうで、痛んだりしませんか」
「だ、だいじょうぶですにゃす、リーフムーンに救われていにゃす」マルシェが変な語尾をつけるキャラになるほど動揺している。
「マルシェなんか変だな」キャッセは急変したマルシェを心配そうにみている。
「そういえばリーフムーン、その子は私らは知らないんだが、紹介してもらってもいいか?」
「彼女はルルだ」
「おう、オレはルルだよろしくな」
オレ口調に静観していたリュシオルが眉をひそめるが何も言わなかった。
「では戯れは終わりにしまして、お願いがあります」ミチュアが様子見を止めて畏まる。
宿の一室が静寂に包まれる。
「私はミチュア・タマ・ランクス、処刑前にフルフロラに助けられた者です」ねっとりと絡まれスキンシップを取られていたキャッセは目を剥いて驚く。
「見つけたぞ偽物が」
監視されていたのか不作法にドアが蹴られる。
「くそ、バリケードか」
ガンガンと蹴りつけられているが、びくともしない。
「リーン外に八人中に四人いるぞ」ルルは監視をしてくれている。
この部屋は一階の一番奥でドア一つ窓一つベッドが四つ、ベッドで手狭だが、こんなものだろうか。
「私はこのように追われる身の上、お騒がせいたします」
「早く脱出を陛下」
「私が囮に」
脱出を促すキャッセに続きマルシェは犠牲になると言う。
「やはりこの二人は素敵ですねリーフムーン」
「そうだな」
「そんなことよりリーフムーン、どうするんだ」リュシオルは狼狽しながらも、まだ冷静にしている。
「そうだな、一旦引こう、ルル逃げ道を作ってくれ」
「おう、フロラ、床板剥がしてくれ」
「私が力仕事なんですか」言いながらも床をベリベリ剥がすフロラ。
「では私とマルシェが囮になりましょう」
「はい」
「なりません、一緒に引きます」
「しかし陛下に何かありましたら」
「私はここでは偽物、どうせなら奴らにつき出せばお二人は助かりましょう」
ミチュアが試す様に追い詰めやれている今、甘い誘惑のある言葉をかける。
沈黙の中でガンガンとルルが土壁で押さえるドアが蹴られる音が響く。
「斧はまだか」と騒ぐ刺客、窓から逃がして八人で襲うつもりだろうか?
「あの様な連中より私は偽物でも陛下を守ります」
「不作法な連中よりは私らの恩人といる陛下のために」
聞いたことはあったが獣人は忠義に熱いらしい、目の前の二人は村のため、陛下のためと命を差し出せる、当たり前の様に、私はどうなんだろうな。
「準備できたぞ」とルルが下から出てくる、フロラは先行している様だ。
「では逃げるか、キャッセ、マルシェ陛下を頼む、リュシオルは次、私はルルと最後尾を行く」
ルルが作ったトンネルをルルが塞ぎながら進む、明かりを忘れていたが、青白い炎が追従してくれる、リュシオルの悲鳴はこれのせいか。
出口は宿から離れた物陰で、月明かりに黒い影が宿を囲むのが見える。
「さて、どこへ行こうか?」
「リーン、皆、こっちだ」
ルルに連れられて奥まった場所へ、ルルは無造作にそこの家に入る。
「誰の家だ?」
「ついでに作った」
「じゃあ私の別荘にします」フロラ…
ぞろぞろと皆が中に入ると入り口が消える、なるほど、これなら壁と変わらないから調べられもしないか、明るくなったら入り口の無い家とか目立ちそうだが。
「ねえリーフムーン、私この二人ほしい、リーフムーンからも言ってよ」いきなり素に戻るなよミチュア、二人とも呆けてるじゃないか。
「まあ、キャッセ、マルシェ、ミチュアは二人を気に入ったらしい、良かったら仲良く…」私は何を言っているんだ。




