アンデッドは空から訪れる編1
おぞましい光景を見た気がしたが、気のせいだろう。
なぜかルルがしょんぼりしているが、なぜだろう、私には先程の記憶は無いのだから気にする必要は無い。
「リーフムーンも怒るのね」なんの事かとしょげているルルの頭を撫でながらミチュアの言葉を無視する。
「リーンさんなんで怒ってるんです?」何も知らないからな私は。
こちらフルフロラ、リーンさんが怒るのがわかりませんね、ルルさんのゴーレムに一晩中抱きついてたのは見てなかったはずですし、胸を触って固くてがっかりしてたのも見てませんし、なんでしょうね。
私もリーンさんゴーレムを、「あぅ」
「やめてくれ」私は知らない、見ていない、聞いていない…
「では行きますよー」私はスケルトンバードを呼び出す、フロラも一体呼び出した、二体いたのか、フロラとルルが私の後ろを争うが、「フロラは一体操らないとダメだろ?」と、諦めてもらう、ルルがご機嫌で私の方を見ると、ミチュアが座っている。
「私もリーフムーンの後ろに乗りたい」ルルは渋い顔をしていたが、フロラに捕まり、フロラに包まれる様に座らされた。
…グルダンに見送られ、飛び立つ。
一度行っているフロラに追従する形で私とミチュアは飛行する、前を飛ぶルルははしゃいでいる、かなりの速度だが風を感じない、自分が駆けるときはある程度防ぐがこうも無風だと飛んでいる感覚が薄い。
「リーフムーン何を考えてるの?」
「自力で飛べないかと思ってな」不意打ち気味に出てきたミチュアの言葉にポロリと口が滑る、笑われるか?
「ふーん、飛べそうなの?」笑わないのか?
「無理だな、試していないができて空中を踏んで駆けるぐらいだろう」最近のイメージでは、足場を作りながら走るのはできそうと感じている。
「十分凄いんだけど」そうか?ルルにも勝てないぞ私は。
「二人に比べたら私なんかたいしたこと無いさ」勝ちたいわけでは無いが肩を並べるには私は弱い。
「そういえばリーフムーン、馬より速く走れるらしいけどどうやってるの」前にもキャッセに聞かれたな。
「筋力と魔力を合わせて走るんだ」
「アンデッドって無茶苦茶ね、普通そんなことしたら千切れるのに」ん?
「私はフロラに挑んだときから使っていたが?」
「アンデッドになる前に?」
「ああ」
「………」
沈黙がやけに長い。
「何か悪かったのか?」
「いえ?リーフムーンはもしかしたら天才かもって…」
「そんなわけ無いだろ」
「リーフムーンもしかして一回見た魔法とか真似できたりするの?」
「できないのか?」
「……まさか私が乾燥に使った風も?」
「髪を乾かすのに便利でな、真似させてもらったが?」
「…………」
………沈黙が長いんだが。
「何か悪かったのか?」同じセリフを繰り返す。
「あれって死ぬほど繊細な操作で殺傷性を消してるのよ、一目見て真似されたらどんだけプライドが傷つくと」
「すまん」
「ああ、もう、詫びるくらいなら私に仕えてよもう」
「すまん…」
沈黙のなか眼下に村が見えてきた、フロラが休憩のためか、降りるようだ、私も後に続いて降りる。
一応ミチュアにはローブを着せ、フードを被ってもらう。
村というより集落の規模か、フロラに続き、入り口につくと。
「フルフロラお姉ちゃんだ」と、マルシェに似た小さい獣人の子供がフロラに抱きついた。
「お久しぶりですナーレさん」マルシェの妹だったかな。
「貴女はネクロマンサー様、ようこそおいで下さいました」老年の獣人が迎えてくれる。
ネクロマンサーね、フロラのことだから自分がなんだと言わないだろう、勘違いもされるか。
「この人たちだれ?」ナーレがフロラの影から覗いている。
「リーンさんとルルさんとタマさんです」フロラが紹介するなかルルがキョロキョロと辺りを見ている。
「何か見えるのか?」ルルに尋ねる。
「いや、周辺の確認だよ、一応な」任せよう。
「タマさんはどこからきたの?」ナーレは同じ獣人が気になるようでミチュアに話しかけている。
「ランクス国でフルフロラに助けられて同行してるの」流石に子供相手に硬い口調は使わないか。
「そうなんだ、私もフルフロラお姉ちゃんにリザードマンから助けてもらったんだ」そのあと食べたらしいな。
「おそろいね」
「だねー」
まあ、いいか。
「そういえばフロラ、なんで寄り道を?」
「あれ?リーンさんが来る予定があるって」
別に予定など…犯人を殴りに来るのはいつでもよかったが?
「そうね、リーフムーン、折檻しませんと」ミチュアは冗談ではなかったのか?
「あの、何かありましたでしょうか」老年の獣人が怯えながら聞いてくる。
「ああ、主人のフルフロラに矢を射掛けた者が居るそうでな、少し挨拶をと」
「私の命の恩人のフルフロラ様に無礼を働いた者をここへ」ミチュアが女王陛下口調で威厳を出して命令する。
「へ、陛下!わかりました、ですが他の者には御慈悲を」ミチュアを見て老年の獣は気がついた様子だ。
「よろしい」ミチュアはフードさえ取らずにすっかり女王陛下だ。
筋肉質の獣人が縛られ怯えながら一軒の小屋に放り込まれた。




