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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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閑話 留守番の男

「オッサン一人で留守番なんだな」食事の用意をする俺に、ルルの嬢ちゃんがツイテールをヒョコヒョコさせながらやって来た。


「寂しくないか?」

「まあ、騒がしい毎日なんで寂しいっちゃ寂しいかな」世間話のつもりだろうと、そんなふうにこたえた。


「わかった任せろ」そう言ってルルの嬢ちゃんはつまみ食いを終えて帰っていった。


 その夜、ルルの嬢ちゃんがわざわざ部屋まで来た、いや、連れて来た。


「隊長…」のゴーレム、光沢のある表面、磨かれた石像より滑らかで、土である事を除けば美術品と呼んでも差し支えない、顔の造形も素晴らしく、眼球はのっぺりとして石像の様だが差し引いても本人と思ってしまう。


 あの商人の姉ちゃんならいくらで買うだろうかと、ふと考えてしまう。


 問題は、柔らかなラインの双丘に引き締まった腹部、脚部に小ぶりな臀部…ルルの嬢ちゃんが実際見て再現された隊長のゴーレム、ゴーレムとはいえ全裸なのだ。


 見つかったら死ぬかもしれない。


「オッサンの言うこと聞くようにしといたから」俺の思い通りの隊長?


 しばらく頭の中が真っ白になった、いつの間にかルルの嬢ちゃんはいなかった、まじまじとゴーレムを見る、流石に局部はディフォルメされ、ツルリとしているが、柔らかな双丘の再現が素晴らしく、ついつい手が伸びる、もちろん固かった。


「座ってくだせい」命令しずらい。


 なぜかゴーレムはベッドに腰掛ける自分の隣に寄り添う様にぴったりと座る、思わず緊張し、膝に手を置くと、冷たい土の手を重ねてくる。


 ドキリとしながらも命令を出してみる、「笑ってくだせえ」バカな命令だと思いながら顔をみる、人形だとか作り物だとかゴーレムだとかどうでもよくなった、抱き締めた、花が咲いたように笑うゴーレムがいとおしく、いつまでも抱き締めた。


 我に返ったのは夜が開けてからだった、いまだに花が咲いたように笑うゴーレムに元の顔に戻ってもらい、考える。


 どうやって隠せば、とりあえず服を、服はある意味簡単である、モデルが身近にいるのだ、おそらく今日にでも出発するだろう、その間に拝借するか、商人の姉ちゃんに隊長の服を頼まれたと買えばいい、とりあえず自分の予備のシャツを着せる、女性の服を着替えさせるなんともいえない気持ちに、彼は意識を集中していた。


「グルダン今日しゅっ…」本人が現れた、後ろから袖を通していたので声しか聞こえなかったが、死亡フラグは十分である、ちょうど顔が通ったところだ、ゴーレムと本人の顔合わせも済んだ。


 本人がいつぞや大量のゴーレムを砕いていたメイスを持ち、無表情に近づいてくる、そのまま降り下ろされ、ゴーレムの頭が砕かれた、次は自分か…そう思っていると。


「私は見ていない、知らない」なにやら隊長は恥ずかしそうにまくし立てている。


「へ、へい」あわせると、「ルル、どこだ」ルルの嬢ちゃんを呼びながら去っていった、死ななくていいようだ。


 しばらくして隊長達は旅立った。


 砕かれたゴーレムを見ながらポツリ、「元に戻んねぇかな」くだらねぇと思いつつ顔を上げると、自分のシャツを着た隊長のゴーレムが座っていた。


「お前もしかして自由に姿が変えられるんで?」ゴーレムはコクリと頷きルルの嬢ちゃんに姿が変わる、そして次々と見慣れた人物に変わり、隊長に戻った。


 これなら隠すのは簡単そうだと思った。


 ………彼は気がついていない、命令一つで再生できる術者から独立しているゴーレムがもはや、生物に親い存在であると、彼は気がついていない、曖昧な命令でこれだけの事ができるゴーレムなどいないと、彼は気がついていない、虚ろなゴーレムに感情が芽生えてきていると。


 彼は色々試し、普段は鎧として身に付けることにした、心なし締め付ける鎧をつけ、皆の帰りを待つ。

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