大改築プルミエ砦編4
「えーとですね、キャッセさん達の集落についたら、この化け物がって矢の雨を降らされまして」パキンと私の持っていた木製のコップが割れた。
「中でトカゲさんに襲われてたマルシェさんの妹のナーレさんを助けて、皆さんでトカゲさんを食べました」溢れた水をグルダンが拭いてくれる。
「で、一泊して森に入ったらルルさんにあいましたね」ウンウンとルルのツインテールが動く。
「そのあと皆さんと森を進んでウサギさんを捕まえたら蜘蛛さんにあいました」いつの間にかフロラの肩にいる、グルダンがなにやら青い顔をしている。
「一回お別れしたんですが、どうやらお母さんが死んだらしく四匹に増えました」そのお母さん見たことある気がするんだが?
「それから鳥さんに囲まれて大変でしたね」先日活躍した人面鳥達なのか?
「家まで追いかけたら大きい鳥さんのほねと、この人達がいましたね」フロラが青い炎の松明を取り出す、美しい青に見とれていると、いくつもの顔が浮かび上がる、ミチュア陛下が尻尾を太くしている、断尾されたのでは?
「そのあとは皆さんでモフモフの国に入って、私は蜘蛛さん達と見て回ってたら捕まりましたね」
「で、牢からミチュア陛下を救出したと」私がまとめる。
「一晩泊まりましたけどね」ミチュア陛下の尻尾がパタパタと動いている、大方マルシェの様に扱ったのだろう。
「で、翌朝キャッセさん達の宿屋に行ったら、しばらく謁見できないらしい、村の避難の許可も取れないから私達は滞在する、私はどうするって聞かれたんで、一回帰りますってタマさんと飛んで帰ってきました」おそらくミチュア陛下の処刑だろう、すげ替えて何をするやら。
フロラは話し終えてコクコクと水を飲んだ。
「ありがとうフロラ、とりあえず矢を放った連中を殴りに行こうか」大丈夫だ、手加減できるさたぶん。
「もうキャッセさんがボコボコにしてましたよ」
「ふむ、そうか…今度にしよう」それは仕方がないな。
「いや、隊長やめてやって下さいよ」
「フルフロラ様とリーフムーン様は仲がよろしいですね」ミチュア陛下が混ざる。
「私の恩人に対する不敬は私にとっても許しがたいですね、私も折檻には参加させていただきますね」コロコロと笑い冗談を乗せてくる。
此方フルフロラ、私平気なんですがね、あのムキムキさんどうなるんでしょうか?
「ふむ、主犯は筋肉質な者らしい」私はニヤリと笑っていたらしく、グルダンが横で顔を引き吊らせていた。
「はて、リーフムーン様、フルフロラ様は何もおっしゃられてませんが?」ふと、我に帰ったがもう遅いだろう。
「なんと言いますか、私はフロラと繋がりを持った様で」つい私は、一部プラチナに変化した髪を触る。
「フロラの考えが聞こえるんだ」怪しい敬語はやはり上手く使えなかったなと、諦める。
「なあ、リーフムーン」沈黙の中でルルが聞いてくる。
「どうした?」
「オレは、フルフロラの視界が見えるんだが」白銀に変化したルルの瞳を見て、なんとなく納得した。
「ふむ」
「ふむぅ、ルルさんも混じったんですね」………そんなドヤ顔でチラチラ見ないで欲しいんだが、いや、真似はわかったから、あと何か背後に蜘蛛の気配を感じるんだが、まさか私に登るつもりなのか?
二匹背中に登ってきた、いや、ジッとしてるだけなんだが、なんだろうか、プレッシャーがな、凄く見られているのが気になるんだが…
「なんでフロラがやってないのに混じるんだ?」私は素直に聞いてみる。
「わかりません」わからない様だ。
「次はリーンさんが話して下さい」
「ルルの事か?」
「そうです」
「……フロラが旅立って数日は何事もなく、数日して、ルルがあらわれたんだ」私は鉛を飲み込む様に嫌な記憶を思い出す。
「様子を探りに接近したら開戦となった」細かいやりとりまではいいかな。
「ルルさん一人でです?」
「あ、ううん」チラリとミチュア陛下を見る。
「私は黙秘しますのでお話していただけませんか?」まあフロラが連れてきたんだしいいか。
「ルルは土を操るんだ、ルル、一体だけ出してもらえるか?」おうと、むき出しの壁からゴーレムを召喚してくれる。
「こいつら百体ほどで攻めてきた」フロラが立ち上がり、パンパンと叩いている、蜘蛛達も興味津々とゴーレムをはい回る。
「ゴーレムを百体ですか、我が国にも欲しい戦力ですね」ミチュア陛下は素直に称賛している。
「で……限界までルルを追い込んでしまった訳だ」心配そうにしてルルが横にいたので頭を撫でた。
「そのままルル亡骸に接触していたらアンデッドにしてしまった訳だが」
「なるほどー」フロラがルルの反対から手を取る。
「そんなに思い詰めないで下さいリーンさん」………
「気にすんなってリーフムーン」………
「………わかった、二人ともありがとう」やれやれ、フロラの考えが読める私が見透かされているか。
「ところでルルさん」
「なんだフルフロラ」
グググとお互いに力比べをするように場所を争いながら二人は話し合う。
「いろいろ作れるんならお風呂が欲しいんですが」
「もうあるぞ、リーフムーンがフルフロラの為にってな」
バッっとフロラが此方を向くので頷いておく。
「だいたいオレは風呂嫌いなのにリーフムーンが無理やり入らせるから」
「リーンさん」フロラがジッと見てくる、いつの間にか蜘蛛達もフロラの肩から私を見てくる、見えないが背中からも蜘蛛達の視線を感じる。
「な、なんだフロラ」少し気圧されてしまう。
「お風呂に入りましょう」ふむ、どうしてだろうか、そんな時間では無いが断れ無い雰囲気が流れている。
「そうだな、背中でも流させてくれ」私は久しぶりにフロラと風呂へ向かった。
ミチュア陛下も興味深そうにしているのでルルに風呂を大きく改造してもらった。
悪いとは思っているが、便利だと常々思ってしまう。




