大改築プルミエ砦編2
一戦終わり、私は砦内の確認や、戦地の確認、地形に変化が無いかなど、うろうろと砦を中心に歩き回っていた。
問題無しと、砦に戻るとルルがパタパタ、髪がヒョコヒョコと私の元に来る。
「どうしたルル」私はヒョコヒョコと揺れる髪をスルリと撫でる。
「なあ、リーフムーン、少し改築してもいいか?」ルルが聞いてくる。
「別にいいんじゃないか」私は軽く応じた。
先程リーフムーンは雑だなあと言われたのを思い出した。
「そうか、リクエストには答えるからなんかあったら言ってくれ」ルルは嬉々として動き始めた。
私は本当に雑だなあ…
まず、砦の規模が五倍ほどに広がった、千人は寝泊まりができそうだ。
外壁は、高さ十メートルは有ろうか、それが一周している、以前の砦を中心に土の建物が並び、外壁が組まれ、美しい正方形の要塞が生まれた。
「すごいものだなルル」
「へへ、リクエストは無いかリーフムーン」しばし考える、持久戦の負担は食事と睡眠にある、アンデッドな私とルルには不要だが…
「そうだな、屋上で自給自足ができる様にできたらいいな」チラリとグルダンを見る。
「そんなの要りやせんぜ隊長」お前はいるだろうがと半眼で見やる。
「オッサンが食う分はいるよな」ルルは解ってくれた様だ。
「あんだけ簡単に食糧奪えたら余裕っすよ」勝ち馬に乗り調子に乗っているなこいつは。
「まあ、すぐには必要無いか、建物が増えたがあれはなんだルル」簡素な住宅、兵舎、倉庫、大型の宿に、酒場かあれは?土でできた町のような建築物達が私達を、砦を取り囲む。
「とりあえず作ってみた」ルルはエヘンと言った感じで胸を張る、追従してツインテールが震える。
「せいぜい中に入った奴を閉じ込めたり、そのまま潰したりできるくらいだ」ん…あの大小様々な建物が全部罠になるのか?
「建物のゴーレムか?」
「そういやそうだな」
「何でもアリっすね」
「しかし、これだけの規模だと本格的に攻められそうだな」小さな砦一つだから百人隊ほどで攻めてきた、要塞になっていたら万軍で来るかもしれない、そんな規模で来られたら村も巻き込まれるだろう。
「じゃあ戻すか」あれほどの要塞が、僅かな時間で消失し、元に戻った。
「戻せるのか凄いな」正直唖然として物も言えない、要塞を召喚、帰還できるのか?
「おう、じゃあどうしようか、オレもなんか働きたい」
「じゃあ、砦の魔力強化と物見矢倉を四方に…」
「なあリーフムーン」
「難しいか?ルル」
「ついでにこの砦を支配下に置いてもいいか?リーフムーンの魔力強化は無駄になるけど」
「好きにしたらいい」……はて?私が気安く応じたこれは不味いのでは?
「わかった」ルルが元気のよい返事を返す………何も変化は無い。
「どうなった?」ルルを見る。
「終わったけどどうした?」
「代わり映えしないから変化がわからん」コンコンとそこらを叩いて見る。
「そうだな、中身を気にしないなら砦ごと移動もできるぞ」ん?
「消してから作り直すのか?」
「それもできるけど中にある物ごと動けるぞ」ゴゴゴ…と砦が揺れる。
地面が揺れるとは、初めてだな、グルダンが腰を抜かしているぞ。
「今はいい、すまなかった」そのうち機動要塞とか作りそうだ。
「魔王城になりやしたね」言うな。
その日は、何事も無く逃げるルルを捕まえて風呂に入り、日が暮れていった。
翌日私とルルは、物見矢倉に登って辺りを見渡してみる。
ルルが要塞を作った影響で平原の草が剥げ、土がむき出しになった場所が目立っている。
そのうち戻るだろうが、目立つのが気になる。
「なあ、ルル」隣でヒョコヒョコ動くツインテールを指で弾いたりしながら話しかける。
「なんだ?」負けじと髪を動かすルルが見上げてくる。
「あの剥げた草地はどうにもならんよな」一応聞いてみる。
「そうだな、早く生える様にしてるけど一週間はかかるんじゃないかな」そんなに早いのか。
先見隊だろう一団はあっさり撃退できたが、数千で包囲されたら持つのだろうか?アンデッド故に浄化されたら私やルルは消えるのだろうか!そういえば教会の秘事として、浄化は教わった事が無いな、まあ、仕方のない事だ。
危険な相手が来たら殺したく無いなどと言ってはいられない、私はそんなに手段が無いんだから。
「どうしたリーフムーン」ルルは慕ってくれるが、私のせいで死んでしまった、ルルの頭を撫でながらいまだに後悔の念は拭えない。
「いや、先が心配でな」つい心うちが漏れる、まったく私は何をしているのやら。
「オレをアンデッドにしたから叱られるってか?、リーフムーンは気にすんな、オレに任しとけ」ルルは撫でる手を掴みブンブン左右に振り回す。
そういえばフロラに報告しないといけなかったな、どうしたものか。
あ、リーンさんが見えます、あんな場所ありましたっけ?リーンさーん
懐かしい響きが私の頭の中に入ってくる、………どうしようか、辺りにあの戦車は無いんだがフロラは何処だ?
「どうしたリーフムーン?」キョロキョロと辺りを探す私にルルが声をかける。
「いや、フロラが帰って来たみたいなんだが、いなくてな」
「そうなのか、オレも探すぞ」と、ルルは目をつむりゴーレムの視界を使いだした。
「なんだ?上からリーフムーンを見る視界がある、上だぞリーフムーン」ルルの指摘に私達は物見矢倉から見上げるというなんとも間抜けな事をする事になった。




