大改築プルミエ砦編1
「リーフムーンなんか来たぞ」自分の力量を計るためルルが、正確にはゴーレムが斥候として、数キロ離れた場所を監視している、ゴーレムの視覚を使うルルが報告してくる。
「ふむ、なかなか早く来たな」ルルがアンデッドになった翌日、フロラと別れ五日、この速さは偵察レベルで二十人ほどだろうかと、私は予想する。
「何人くらいいる?」ルルに確認すると、「百はいそうだ、馬に乗ったのが十くらいいる」予想外に多いな。
それはそうか、リザードマンを圧倒したアンデッドの群れだ、まともな奴らなら危険視して、確実に勝てる数くらい用意するだろう。
「なあ、ルル」
「どうしたリーフムーン」
「できるだけ殺さずに追い返したいんだがどう思う?」と、聞いてから殺した相手に何を言ってるんだと自分を殴りたくなった。
「そうだな…」気にせず考えてくれて良かったと私は胸を撫で下ろした。
「攻めるのを諦めさせたらいけるんじゃないかな?」
「手足を切り飛ばすのか?確かに三割ほどやれば撤退するだろうが」
「リーフムーンは雑だなぁ」
「そうなのか…」思わず膝から崩れてしまう。
「嬢ちゃん思っても本人にそんな事いったら、ほら隊長も元気出してくださいよ」グルダンも思ってる様だ。
「ごめんな、リーフムーン、オレつい」ルルもへこんでしまった、もう、敵は目前だ後にしよう。
「それはおいておこう」私は切り替え、ルルの頭を撫でる。
「で、嬢ちゃんどうするんで?」
「武器とか食糧を奪えば帰るしか無いんじゃないかな、オレならまあ、今は要らなそうだけど飯が無くなったらこまるしな」なるほど。
「つまり、交戦した相手の武器を奪い、兵糧も奪うと」
「確かにこの使い捨ての砦なら死に物狂いで取りにはこねえか」
「これなら殺さずに、追い返せて、あわよくば時間も稼げると、ルルはすごいな」頭を撫でると嬉しいのか、その手を掴んでくる、ツインテールがあわせてヒョコヒョコと動く。
なんだろうか、私は、手足を千切るという発想しか無いなんて、いや、止めよう私はこの程度の人間…ではないな、アンデッドか、もっとしっかりしないと。
「では、相手が布陣する前に強襲を掛けよう」私はゾンビドッグを二十匹ほど召喚し、二つに分け、強襲させようと配置させる。
「リーフムーンは動物呼べるのか、他にもいるのか?」ルルの問に、こいつらだけだと答えようとしたとき違和感を感じた。
「ふむ、一度全部出してみるか」一旦砦に戻り、私は戦力を確認してみる。
鳥と言えばいいのか、人面鳥のゾンビが百近く現れた、続いて大きな鳥のスケルトン三メートルほどか、さらに全長五メートルはあらんゾンビタランチュラ、三メートルほどの猪ゾンビが出てきた。
「たくさんいるんだなあ」無邪気なルルに対して私は考えていた。
「フロラが森で何かしたのかな」思い当たる節はそれしかない。
「なんか隊長もう魔物使いですね」グルダンが何か言っているが無視する。
「飛行するゾンビは今回使えそうだな」鳥ゾンビ達を三手目に起用することにした。
「お前らは、砦に接近されたら呼ぼう」大型の三体はどこか寂しそうに帰った。
「ルルはもし接近されたらゴーレムで組み付いて武器を奪ってくれ」
「わかったリーフムーン」
「こんな砦千でも落ちないっすよ隊長」まあ、私も攻めたく無いな、疲弊しない戦力が武器を兵糧を奪いながら守備を固めつつ、犬と鳥が襲撃してくる、雑兵はひたすらに弱らされ放置される、隊長はたまったもんじゃないだろうな。
「まあ、今回はお帰りいただこう、できればゴーレムまで見せたく無いからな」理想は犬と鳥で追い散らせればいいが。
「そうか、今のオレなら千は出せると思ったけど」
「は?」
「嬢ちゃん?」
「昨日の最初に出した弱いのなら万はいけるぞ、しかも疲れないから、いつまでも出せそうだ」もう私に勝ち目がなさそうなんだが、その場で再生可能なゴーレムが千体などどうしようも無い、ギィとグルダンを見る、グルダンも無言でこちらを見る。
「なんだ?」私はルルの頭をポンポンと撫でる。
「負けそうなら頼む」
「わかった」
「なんかこの砦が伝説の魔王の城に見えてきたんですが」私もそう思うよ。
一団が視界に入った辺りで第一ゾンビドッグに右側面を襲わせ、意識が向いた瞬間に左側面も向かわせる、武器を落とさせる様に襲わせ、鳥ゾンビ達に奪わせる。
弓など準備する前に取り落とし、打つ前に奪った、威嚇するゾンビドッグに、バチンバチンと鳥ゾンビも辺りを舞いながらそれにあわせる。
馬が怯え、雑兵も逃げていった、荷駄も放置して襲撃者達はいなくなった。
「リーフムーン、人間って弱いな」
「そうだな」奇襲くらい警戒しないのかと、私は肩透かしをくらった気分だ。
「二人とも魔王みたいな事言わんでくだせい」そう言われてもだな、最低限の警戒も無かったから仕方ないだろう。
散らばった武器や荷駄を回収し、私達は初勝利を得た、これで往復も考え十日は大丈夫だろう。
お互いに死者無しで乗りきれたなと、私は満足したが、少し物足りなさがあったのは否めなかった。




