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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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閑話 私は囚人フルフロラ

「あの、フルフロラ様ここから逃げませんので?」タマさんは焦った様にキョロキョロと警戒を顕にしています。


「別に明日でいいじゃないですか」暗い場所でウロウロしてたら見つかりやすいですからね。


「はあ…」


「一緒に寝ましょう」私は簡易ベッドに横になり、ポンポンと隣を叩きます。


 タマさんが穴だらけの薄着を脱ぎます、真っ白で艶のある毛並み、私がお手入れしました。


「私はどうしたらよいでしょうか?」私はポンポンと早く寝るように催促します。


「失礼します」タマさんが背中を向けて横になります、まずは、後ろから両手をそれぞれの手で触ります。


 掌を触ると、モッチリしていてサラリとしています、ベッドにしたい感触ですね、タマさんは慣れないのか、くすぐったそうにしています、ナーレさんみたいですね。


 さて、お腹の辺りはと、はぅ短く柔らかな体毛がサラサラで、なんというか、もう、なんでしょうか。


「あ、あの、フルフロラ様」タマさんは身悶えさせながら声を漏らします。


「どうしました?」

「私こういった事は初めてでして」

「少しモフモフするだけですよ、楽にして下さい」

「あの…、はい…」


 サワサワモフモフしていますとタマさんはナーレさんの様に敏感に反応します、ふふふ、私はテクニシャンですからね、いつかはリーンさんもピクンピクンさせますよ。


 タマさんも慣れてきたのか大人しくなります、サワリサワリと背中の毛並みも楽しみます。


 静かな夜ですね、私は満足してタマさんを解放します。


「私こんなに撫でてもらったのは、初めてです」タマさんはぐでっと私に寄りかかって身を任せます。


「私は、国はどうなるのでしょうか?」

「解りませんね、タマさんだけなら一緒に来ますか?リーンさん、私の初めてのお友達の所へ」逃げるなら簡単ですね。


「国が私を必要としていないならそうしたいですね」偉い人は大変ですね。


「そう言えばフルフロラ様」


「なんです?」


「アンデッドはどうやって産まれるのでしょう?」


 何と無くで発せられたその言葉に空気が凍り付いた、いつもにこやかなフルフロラが無表情に固まる、無言の沈黙が長く続いたが、何も言葉が出てこない。


 ミチュアは失言したと後悔し、凍り付いたまま動けない、長い、長い沈黙だけが続く。


 永遠に感じられる沈黙に、ミチュアは恐怖する、チラリとフルフロラの顔を見たが、人形の様に能面である、目の光が消え、何を見ているかも解らない。


 ミチュアは、自害すべきだろうかとも思う、話したばかりだが、穏和なイメージしか無いフルフロラをここまでにさせる事を聞いてしまった。


 自分を苦しめていた拷問官を真っ二つにしたフルフロラを見たときよりも恐ろしさがある、フルフロラをそんなふうにしてしまった自分をもう一度断尾させたいとまで思った。


「タマさん…」死刑宣告の様にフルフロラの声が聞こえた。


「すみません、私のただの好奇心です、ご容赦下さい、そのような秘事だとは知らず申し訳ごさいませんでした」なんだかすごい謝られましたね。


「いえ、なんて言いますか」


「もう二度と聞くような事はとはございません、お許し下さいフルフロラ様」まあ、なんだかあれですね、リーンさんがとりあえず私の髪を撫でるのが解る気がします。


 私は怯えるタマさんを撫で撫でしながら、言います。


「実はですね、簡単にアンデッドはできるんですね」私は黙ってしまった理由をポツリと語ります。


「ただ、それを知るとまあ、狙われると言いますか、良くないんです、私はどうでもいいと思いますが、ね、知らない方がいいんですよ」


「はい、はい」タマさんはプルプルと震えています、私としたことが、怖がらせてしまいました。


 プルプルしているタマさんを撫でながら思います、リーンさんには聞かれなかったですが、死体に長時間回復の魔力を与え続けるだけなんですよね、まあ、自らアンデッドになるには回復し続けながら死ぬんですが。


 知れ渡ったらろくな事にはならないのは、私でもわかりますがね。


「ごめんなさい、ごめんなさい」とタマさんが子供みたいに謝り続けます。


「こちらこそ黙ってしまってごめんなさい、怖かったですよね?」こうして、プルプルしているタマさんを撫でながら日が変わっていきました。


 お友達を増やしたかったですが、これだけ怖がらせたら無理そうですね。


 私は、タマさんを撫でながら失敗したなぁと思いました。


 酷い目にあってましたからねぇ、どうしましょうか…


「そうだ、タマさんお肉食べます?」まだあるんですよね、燻製。


「え?はあ…」キュルっとタマさんがお腹をならします、私はソロリと恥ずかしがるタマさんを座らせて、お肉をスライスして、ほねさんに焙ってもらいます。


「あ、あの…」


「さあ、どうぞです」軽く焙って柔らかくなったお肉をタマさんにあげます。


 少し躊躇ってましたが、キュルキュルと体は正直みたいで、あっというまにペロリと最後の一枚まで食べました、お口にあってよかったです。


「ありがとうございました」お腹が落ち着いたのが良かったのかタマさんの声が明るくなりました。


「いえいえ、明日から頑張りましょうね」蜘蛛さん達が欲しそうに覗いてましたが、流石に我慢したみたいです、えらいですね。


「お願いします」とか細い声がタマさんからこぼれ、寝息に変わりました、隣に座る私の肩に真っ白な毛並みのタマさんの頭が寄りかかり、猫耳がピクピクと動きます。


 さて、明日からは国盗りですか、大変ですね、何処までやってもタマさんは怒りませんかね、いっそリーンさんも呼んで完全にやっちゃいましょうかね?


 お楽しみだろうと皆近づかなかった牢からいつまでもソイツが帰ってこないと翌日の昼過ぎに騒ぎになった、牢からは捕らえた偽物の女王と新参が居なくなり、血の染みた跡だけが残っていた。

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