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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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閑話 リーフムーンは眠らない2

 さて、今回はルルを背負いながら夜道を駆ける、「リーフムーン、速すぎ…」良く聞こえないがルルが私を掴む手に力が入っている。


 後ろは随分と静かになったが、無事に村へ到着した。


 ルルは疲れたのか、ハアハアと荒い呼吸をしているが、まあ大丈夫だろう、ツインテールが片方取れてしまっているので私のハンカチにしている布を裂いてリボンにする。


「さて、兄さんを探すか」ルルの足がまだガクガクしているので、手を引いてテクテクと村へ入る。


 何故だろう、兄さん達の家の前に生首が、兄さんの頭が晒し首の様に置かれている。


「リーフムーン、首だ、警戒しないと」ルルは辺りをキョロキョロ見回したり、周囲の離れた所にゴーレムを作り出し、視界を確保している。


「なあ、ルル…」

「リーフムーン油断するな、まだ家の中にいるかもしれない」

「あれが兄さんなんだが…」

「な、よくもリーフムーンの家族を」ポコポコと数体のゴーレムが周囲に現れる。


「いや、兄さんもアンデッドだから、もうな最初から首は離れてたんだ」

「ん?」ルルの困惑にゴーレム達も一斉に振り返る。


 流石に威圧感が違う、見たところ、戦った最後の四体レベルのゴーレムクラスが十数体、異様に滑らかで人間臭い動きをすると、不気味ですらある。


「ちょっと拾ってくるからルルはゴーレムを収めてくれ」

「解った」


 消えていくゴーレムを後ろに私は兄さんの頭をむんずと掴む、「り、リーン帰ってたのか」なにやら有りそうな兄さんを片手で掴んだままルルの方に向かう。


「その子は?」喋る生首にルルが逃げる様に私の影に隠れる、まあ右手に生首を掴んでいるから左手を持って隠れる形だ。

「ルルだ」とりあえず襲撃者だとは言わないでおく。

「そうか、リーンの兄のカルムだルルだったか、拾われたのか?怯えているみたいだが」生首のせいだろうがルルが暴走したら不味いと、適当に合わしておく。

「まあ、な、ここにルルの姉がいないか探しに来たんだ、以前売られたらしい」目的は伝えておく。


「そうか、辛かったな、キャナとあ…に調べて貰う」

「アルエはどうしたんだ兄さん?」なにやら言いにくそうにしている兄さんの頭を見る。


「さっき怒らせて頭だけ外に出された…」バツが悪そうに兄さんは言う。


「まあ、私が頼んでくるから兄さんは反省してればいいんじゃない?」なんだか肩透かしを食らった気分で兄さんの頭をどこに置こうか迷う。


「リーフムーン、なんで頭と普通に話せるんだ?」

「慣れたからだ、正直アンデッドどうしで再会したからその方がショックだったよ」

「そうだな」生首が同意する。


「そうか……姉ちゃんは生きてるかな」 ポツリと呟くルルに私と兄さんは暗い気持ちになる。


「とりあえず兄さんを置いて……」私が良さそうな場所を探していると。

「オレがなんとかするよ」と、ルルがゴーレムを作る、体型はグルダンに近く、頭が無いな、置くのかそこに…


「ゴーレムを作れるのか、その年で、すごいな」カルムも素直に称賛している。


「そうなのか?照れるな、あ、リーフムーン、そこに」嬉しそうなルルだが、やはりそこなのか…


 置いてみる、「うおっ」と兄さんが驚き、頭が落ちない様に土が頭を覆う、ピッチリしたフードの様に頭を固定する。


「多分行けそうかな、カルム、動けるか?」ルルがなぜかカルムに動く様に言うんだ?


「いや、身体は中に…ん?」ゴーレムが動く、腰を捻ったり、屈伸運動をしたり、新しい身体を馴染ませている様な動きをする。


「お、成功した、多分好きに動けるぞ」ルルはなんだか満足気にしている。


「ルル、まさか操作を兄さんに?」解ってはいるが聞いてしまう。


「リーン、すごいぞ、懐かしい首が繋がってたときみたいだ、少し動いてくる、ルル、ありがとう、感謝する」兄さんは、よほど嬉しいのかスキップ混じりに深夜の村を徘徊し始めた。


「なあ、ルル…」

「なんだ、リーフムーン」嬉しげなルルに言いづらいのだが…


「あのリアルな身体は、なんというか全裸に見えるんだが…」ほどほどに締まった筋肉質なボディラインに、精巧な四肢、局部はツルリとしているが、暗がりでみたら完全に言い訳できないだろう。

「大丈夫だって、多分」ルルは目をそらした。


「……まあ、多分大丈夫か」私は気楽にいこうと決めたんだ、気にしないでおこう。


「姉ちゃんいるかな」ルルはそんな事よりもと手を引いてくる。


「解った解った」と家に向かうと、遠くで、「ギャー」と聞こえた気がした。


 コンコンとノックをする、「誰だ」とキャナの声が聞こえる。


「リーフムーンだ、入っても良いか?」

「帰ったか、いいぞ、ゴタついてるがな」


 失礼する、と家に入ると、縛り付けられた兄さんの身体がバタバタしている、今にも椅子ごと倒れそうだ。


 アルエは柱にでも縛るつもりか、縄を持っている。


「リーフムーン、カルム押さえるの手伝う」アルエがバタバタしている首なしをどう押さえようか困っている。


 とりあえず椅子を蹴り倒し転がしておく。


「リーフムーン、お帰り、その子は?」やっと落ち着いたかとキャナがルルに視線を移す。


「リーフムーン、浮気か」アルエも取り押さえるのは諦めこちらにくる。


「ルルだ、この子の姉がいないか探してるんだが調べて貰えないか?」ルルが掴んだ手にキュッと力を入れる。


「解った、ルルの姉だな」キャナが頷くと、「すまない、本名はアジールルだ」私は思い出し訂正を入れる。


「そういえば表に兄さんの頭があったんだが、アルエと喧嘩したとか言っていたがどうしたんだ?」暴れる首なしの原因が解っている手前、仲裁も考えておこうと聞いてみる。


「私はアジールルを知るものが居ないか聞いてくる」キャナは逃げる様にでて行く。


「カルムに抱いて貰えない…」アルエが話し始める。

「今日は、休んでるカルムに裸で抱きついたら、止めろ言われた」もう、泣きそうな声になってきた。

「ふむ、で頭を外に?」

「そう、身体は縛った、後で無理やりするつもりだった」

「それは、後で問題にならないか?」

「だって、カルムが……」アルエはうつむいてしまう。

「そうだな…」私はそういう時のアドバイスは持ち合わせていないからなあ…

「アルエでよかったか」ルルがまだ警戒しているような雰囲気で話し始める、ダークエルフは初めて見るのだろう。

「そうだ、アジールルだったか」アルエは聞いていたようだ。

「オレの事はルルと呼んでくれ、リーフムーンに名前を付けて貰ったんだ」そんなふうに言われたら恥ずかしいんだが。


「解った、ルル、なんだ?」

「ありがとう、アルエは前から今日みたいに強引に迫ってたのか?」

「強引?私はいつも本気だ、カルムが好き」

「それだと逃げられないか?」ルルの問いにアルエがハッとなり固まる。

「うん、カルムは前より離れてる気がする」

「だよな、アルエはいきなり迫るからカルムの兄ちゃんが引いちゃうんだよ」ルルがなんだか慣れてきたのかいつもの感じになってきた。

「どうしたらいい、どうしたらカルムが私を抱いてくれる」アルエがなんだか以前より変わった気がする。


「そうだな、姉ちゃんが言ってたんだが最初は手を握ったり、肩を触ったりして自分を相手に意識させるんだ」アルエがバタバタと走りだし、メモを取り始める、チラリと覗いたが、エルフの文字らしく読めなかった。


「大切なのは距離感だ、相手に嫌がられない距離で自分をアピールするんだ、嫌われて無いならだんだん向こうも近づいてくる」アルエはフンフンと興奮しながら頷く。


「そうだな、肩と肩が触っても離れないぐらい意識させたら初めて好きと言うんだ」

「そこまで近いのに言うのか?」私は思わず口を出した。

「それが大切なんだ、姉ちゃんいわく、疑惑を確信に変えてやるらしい」

「おお…」唸るほど納得した、相手を落とすのか、自分の感情を抑えるんだな。

「ふむふむ、ルル、質問」

「なんだ?」

「いつ裸になればいい」私は頭を抱える。

「アルエ、裸は自分でなったら駄目だ、裸にして貰うんだ」


 見事な切り返しだが、ルルの姉ちゃんは何者なんだろうか?


「脱がして貰う方が嬉しくないか?」

「確かに、カルムに脱がされたい」私は、なんだか重くなった足取りで部屋の隅に逃げる事にした。


 私がおかしいのだろうか?話しを聞いていると騙している気分になってくる、まあルルが打ち解けてくれたと思えばまあいいか。


 バタバタと蠢く首なしを眺めながらキャナの帰りを待っていると。


「帰った、リーフムーン、アジールル、いたぞ」やや乱暴にドアを開けてキャナは私くらいの年齢の女性を連れてきた。


「アジールル」透き通った声にルルがビクッと私の後ろに入る。


「リーフムーン、姉ちゃん生きてた」泣きそうにしがみついているので、そっと引き剥がし、「たっぷり泣いてこい」と背中を押し、姉の前につれていく。


「姉ちゃん」「アジールル」二人の感動の再開に邪魔するまいとすれ違い様に、「後で話しをしたいので眠いだろうが時間をくれ」と姉に言い、家を出る。


 さて、どうしようか私はあてもなくフラフラと歩く、あの頭独立ゴーレムは見たく無いなと思いながら歩いていると、素振りの音が聞こえる。


「イール」私は素振りをするイールを見つけ、声をかける。


「……」剣を置き、嬉しそうに寄ってくるので、「元気そうだな」と頭を撫で、抱きしめる、ルルの相手をする癖でやってしまい、手を回してから駄目だったかな?とイールを見る。


 最初は驚きが強かったのか強張っていたが、背中をトントンと叩いていると落ち着いたのか、身体を預けてくる。


 子供なんだし大丈夫か、と私も肩の力が抜ける。


「ちゃんと素振りをしていた様だな」イールが顔を埋めたままコクコクと頷く。


「少し見てやろう」私が言うと、イールは剣を拾い、構えてみせる。

「よし、来い」私も剣を取りだし半身に構える。


 イールが中段の構えから、しっかりと目を開いたままで迫る。


 ガキンと振り上げようとするイールの剣を叩き落とす。


「ふむ、解ってきたか、もう少し精進したら続きをやろう」イールが痺れる両手を見ながら悔しそうにしている気がする。


「……」なにも言わないが、なんだか私も解ってきた気がする。


「まあ、イール、ゆっくり成長すればいい、私は死なないんだまたやろう」イールは泣いていた、泣き虫だな、昔の私の様だ、抱きしめて慰める。


 イールが死んだら私はルルの様にアンデッドにしてしまうんだろうか?


 悔しさに泣きじゃくるイールを撫でながらなんとなく月を見上げていた、その月は少し欠けていた。


 他人から死を奪う、奪ってしまった手前、ルルの姉に何を話そうかと思うと、私はなんだか逃げ出したくなった、弱気なもんだ、フロラがいないからか?


「眠いなら送ろう」泣き疲れたのかイールがうつらうつらと不安定な動きを始める、私はイールの剣を拾いイールを抱え、うろ覚えの家になんとか送り届けた。


 一度見に行くか、ルルの所へ戻る事にした。


「お帰り、リーフムーン」ルルが泣き腫らした顔のままで私に声をかける、姉はこちらも涙の後が残る顔で、ぎこちなく会釈をしてくる。


 私は少し思ったが、二人に同席させて貰う事にした、キャナとアルエはなんだか居心地が悪そうだが、いまだに蠢く首なしを隅に移動して少しでも騒がない様に縛りあげている。


「少し、話したい、ルルからどこまで聞いた?」

「あらかた聞きましたリーフムーン様」透き通った声がよく通る、対面してみると、ルルに似て目が大きい、薄い水色の瞳が私のしでかした事を見据えている様に感じる。


「そうか、なら」私はなんと言えばよいか、わからない、殴って貰ったらどんなに楽だろうか。

「アジールルに、ルルに再開させていただきありがとうございます」礼を言われた。

「しかし私はルルを殺して」キャナとアルエがピクリと反応する。


「リーフムーン様は亡くなっていたカルム様に再開されてどう思いました?」透き通った声が私に浸透する、ルルがさりげなく私の手を握る。

「嬉しかったな、再開できて」素直に返す。

「私も再開を喜びこそすれ、リーフムーン様に思う事はありません」

「だが、私は仇では」

「ルルの言うとおり繊細なお方ですね」姉もスルリと移動して私の手を取る。


「私とルルは感謝しかありません、奴隷生活の辛い日々も今日報われました、リーフムーン様ありがとうございました」二人は手を優しく撫でてくる、ルルの距離感は姉譲りだなと場違いに考えてしまう。


「解った、だが私も思う所があるのは無くならない、何かあったら協力させてくれ」と、二人に言う、しかしまだ手を離してくれない、どうしたら良いやら。


「リーフムーン、ルルはアンデッドなのか?」キャナが聞いてくる。

「よくわからんが、ルルが事切れたのは確かだ、最後まで抱いていたからな、冷たくなって、間違いなく死んだ」まだ離れない二人に鉛を飲み込む気分だが、言わない訳にはいかない。


「そうか、リーフムーン、悲しむ者いないなら、思わなくてもいいと私は思う」キャナも私の肩に手を置く。


「アルエ、そろそろ許して欲しいんだが」独立生首が流石のタイミングで入ってくる、三人はスッと手を離して…ルルは違う意味でまた握ってくる。


「………」悲鳴が上がらなかったのは良かったが、アルエが意識を失い、キャナが剣を抜く、ルルの姉は目を隠しながら指の隙間から生々しいゴーレムの身体を見ている。


 私はルルが掴んでいない手でトゲメイスを振りかぶり、無言で破壊した、頭を避けたのは一度見ていて耐性が少しあったからだろう。


「私は砦に戻る」もう放置しておこうと私は出入口へ向かう、ルルの手が離れない。


「ここで姉と暮らさないのか?」ルルに聞いてみる。

「オレはリーフムーンと行く、もう姉ちゃんには言ってある」姉を見ると、コクリと頷く。

「ルルをお願いします、リーフムーン様」

「解った、時々はつれて帰る」本当はルルに自由にして欲しいんだがな。

「姉ちゃん、アルエは任せた」

「解ったはルル、任せて」次に来たときアルエはどうなっているんだろうかと、少なからず気になった。


 こうして、一夜の全裸カルム事件の犯人がバレないまま私とルルは朝日が登り始める中、砦へと駆けるのだった。

 アルエ様こうですよ、私がチョコレート色の皮膚に自分の指を滑らせる。


 初めての感覚なのか、ピクリピクリと反応が初々しい、リーフムーン様は慣れてらっしゃるのか、反応らしいものはありませんでした。


 手のひらを刺激するとアルエ様はヒッと手を逃がします、力に逆らわず追いかけ、指を絡めます、そう、逃がしてはいけません、指の間も刺激が強いからか、アルエ様の手が強ばります。


 すかさず、反対の手で手の甲を一撫で、弛む手のひらを包む様に挟み込み、前腕まで滑らせる。


 アルエ様が少し紅潮されてきました、抵抗が減ったので、手のひらや前腕の内側を肘の内側まで擽る様に撫でていきます。


 腕を絡めて手のひらを指でサワサワと擽るとまたピクリと反応されます。


 残る手で上腕に触れると、あ、逃げてしまわれました、そうですね、次は上腕から背中の………



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