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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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土使い襲撃編6

 リーフムーンのプラチナの混じった髪を目で追いかける。


「クソ…ズッ…」アジールルは鼻血をすすりながら嘆息を吐き、砕かれたゴーレムを補充する。


 リーフムーンが武器とプラチナ混じりの髪を振るえば一体砕かれる。


「どんな力してんだ、四体に絞ってこれかよ」クフンと鼻血を鼻の奥から吐き出し、アジールルはもう拭うのは諦める。


 リーフムーンが跳べば、作り上げた壁をを無視して飛び出せそうだ。


「落ちろ」と土塊を投射してもリーフムーンに叩き落とされる。


 コイツなら、コイツが部下になればなんだってできる…


 オレがリーフムーンより強ければ…


 一瞬の視界の暗転……


「む…」ゴーレムの動きが変わる…


 鋭い動きでゴーレムが掴んでくる、その土の腕を砕く、その隙に背後から抱き付く様にしがみ付いてくる。


 ミシリと嫌な音がリーフムーンの肋骨から伝わり他の骨に響く…無視して鎧ごと拘束を脱ぎ去る。


 脱ぎ捨てた鎧はぐしゃりと潰れた、もう着られそうになさそうだ。


「リーフムーン骨が折れたんじゃないか?もう次は逃げられないぞ」アジールルはだらだらと鼻血を流し、足元もおぼつかないながらも、敗北を認める気はなさそうだ。


 限界か…リーフムーンはアジールルを見てまもなく意識を失うだろうと見ていた。


「ほらリーフムーン、次いくぞ」アジールルは満身創痍ながらも楽しそうに攻め手を続ける。


 今までに無く機敏に動くゴーレム達が四方から迫る、頭を砕くが武器を掴み、そのまま再生を始める。


「なに?」焦るリーフムーンだが 、その武器を支点に飛び越え武器は手放す事で囲みから脱する。


 アジールルは血涙で赤く染まる視界の中で自分の優位を確信していた。


 半ば意識をゴーレムに一体化する事であり得ない動きをゴーレムにさせる事ができた。


 今まで考えた事もない深いゴーレムの支配、四体分の視界に四体分の操作に負担はかなり有るが、ゴーレム操作の自由さが違う、自分はもう動けないが手足の様に四体のゴーレムが思い通りに動く。


 アジールルは地に膝と頭を付け、身動き一つしていない。


 視界も四体分使える。


 アジールルは頭を地に付け何も見えていない。


 ふわりと意識が一瞬飛ぶが、まだいける…


「………ル…、もう止…ろ」リーフムーンが何か言っているが、よく聞こえない。


 掴め、囲め、今だ、意識が朦朧とする中でゴーレムから見えるリーフムーンに意識を向ける。


「ア………ル…ぬぞ」何か言っている、リーフムーンか?


「………ルル」リーフムーン、オレを手伝ってくれ…


 ゴーレムの視界が一つしか無い…他は砕かれたのか?


 最後のゴーレムがリーフムーンを見付ける、オレを抱き起こしているリーフムーンを…


 何してんだよリーフムーン、オレはここに…


 ゴーレムが膝から崩れる…


「リー…フ…ムーン…オレ…を…」オレが声を出すと意識が身体に帰る…


 真っ暗で耳も遠い、よく解らない…


「………ルル、しっかりしろ」リーフムーンに抱かれている、オレは負けたようだ。


「負……け…た……のか?」リーフムーンに癒されている様だが、それは違う、怪我一つリーフムーンはオレに与えなかった。


 魔力が無いんだ、ついでに目が見えない、もう姉ちゃんの顔が見られない……


 頬を血涙が流れている。

「リー……フ…ムー……ン、姉……ちゃ…んを…助…け…るの…を、てつ…だ…て…くれ」アジールルは負けた癖にと思いながら自分のやりたい事をリーフムーンに願う。


 プツリプツリと無くなる感覚にアジールルの恐怖心が呼び覚まされる、目からは血涙が一筋流れる、恐怖心も頬を伝う涙の感覚も突然プツリと切れた…


「最初からそう言え、馬鹿が…」リーフムーンは事切れたアジールルを背中から抱えながら座り込み、子供を死なせてしまった罪悪感に潰されたかの如く動けないでいる。


 先ほどと変わり、静けさが辺りを満たしている。

 なんで私は子供を殺しているんだ?


 なんで私は勝負などと言ったんだ?


 なんで私は付き合いでも部下になってやらなかったんだ?


 なんで私は…いつも先を考え無いんだ?


 なんで私は…………死んでも変わらないんだ?


 だんだんと冷たくなるアジールルの身体がリーフムーンにのし掛かる…


 無駄な事だが私はまだ幼いアジールルの身体を…亡骸を抱きしめる事しかできない。


 無駄な事ではあるが回復の魔力は垂れ流している。


 イールに偉そうに講釈をたれたが、私はもっと酷いな…


 ボサボサなアジールルの頭に額を付け、無力感を感じる。


 カクンと人形の様にアジールルの首が力無く項垂れる。


 己の無力感とは別に嬉しそうなアジールルを思い出す。


 フロラには悪いが適当に負けて部下にでもなれば良かっただろうか…


 なんでオレだけ思い通りにならねえんだ…とアジールルは言っていたが、私も思い通りにならなかったな…まあ、言葉を交わす相手はもう物言わぬ身体ではあるが…


「少しだけ休もうか」私はアジールルの身体をこちらに向け抱きしめる、ボサボサの髪を撫で、整えながらザワつく感覚を抑えるため目を瞑る。


 そういえば、私もフロラにこうされたんだったかな……数日前の事がずいぶんと懐かしく感じられた。

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