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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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土使い襲撃編5

「隊長ー、なんすかあの陣形」


「……しらん」


 ゴーレムが二列で直進してくる。


 陣の後方正面にアジールルが見える。


「あんなの回り込んだら」

「手薄にするとゴーレムに雪崩れ込まれるな」


「囲んで潰したら」

「恐らくだがあいつは一定数まで使役できるのだろう、新しく呼ばれる」


「どうしやしょう」

「あいつが召喚できなくなるまで壊すしか無いな…」


 ハァとグルダンのため息が聞こえたが気にせず、迫るゴーレムを見据える。


「魔法隊と遊撃隊は陣に進入してきたゴーレムを中心に狙え」指示を飛ばし、もう接触する陣の先頭をみる。


「た、隊長…」

「おいおい」忘れて久しい冷や汗が流れる様な気がする。


 ゴーレムの振り上げた腕が叩きつけられると、一撃で盾もろともに腕が千切れている。


 リザードマンが組み付くが、後方二体目のゴーレムが直ぐにサポートする、組伏せられぬ様に後ろに連結し、リザードマンを押し返す。


 横からも手を出すが、質量もあり動きを止めるに至らない、残り二方はゴーレムが居る。


「押し返せ」言うのは簡単だが、体長二メートル程のリザードマンサイズの土塊が数十も順繰りに迫るのは絶望的に見える。


「グルダンは下がれ、捕まったら磨り潰されるぞ」

「隊長はどうするんで?」

「壊して消耗させてみるさ」

「……気いつけて」

「ああ…」


 組み合う連中は無視して、三体目の脳天にトゲメイスを降り下ろす。


 ドゴッと砕け、沈黙する、直ぐ隣のゴーレムにも横凪ぎに一撃、上半身が地に落ち砕ける。


 アジールルをチラリと見ると、何やら楽しそうに二体追加し、陣に組み込んでいる。


「やれやれ」とボヤき私は力任せにゴーレムを砕く、三体、四体…砕くにつれて嫌な予感がする。

 五体、六体…ふとトゲメイスを見ると、あきらかに歪んできた。


 七体、八体…バキンとトゲメイスは折れる。


「さて、どうしたものか…」残った持ち手を投げ棄て、新しいトゲメイスを異空間から取り出す。


 アジールルはポコポコと破壊されたゴーレムを呼び出して並べている。


 ゴーレム達は何やら私を包囲し始め、やや遠巻きに囲み始めた。


「フロラの時もそうだが私は攻められてばかりだな…」


 ボヤいて居るとアジールルが包囲の一角から現れた。


「リーフムーン、オレの物になれ」アジールルはいい放つ。


 唖然として聞いていると、いつの間にかグルダンが現れ、言葉を返す。


「ふざけんな、隊長は俺が貰うんだ」


 こんな時に何を言うんだコイツは…


「五月蝿い」アジールルが言うやグルダンの足下が消失し数メートル落下した。


「ずりぃぞ、出しやがれ」などと騒いでいる、殺意は無い様だ。


「リーフムーン、オレの物になれ…」アジールルは繰り返し宣言する。


「私の身体が目的か?肉欲を満たしたいだけなら街で娼婦でも買えばいいだろう」


 怒らせるかもしれないが、的を外れた事を投げてみる。


「か、身体?……」アジールルはしばし考え、赤面して騒ぎ出す、「ち、違う、お前を部下にしたいんだ」動揺の為か、上擦った声を出している。


「隊長を部下にしてナニやらすんだぁ」五月蝿い奴がしっかり聞いていたのか穴底から騒ぐ…


 お前、アジールルが埋めたり、潰したらどうするつもりだ、気いつけてとか言いながらお前は捕虜に成り下がってるんだぞ…


 あまりグルダンに意識を向けると殺されかねないので、私は身体も視線もアジールルに向けたままに、「断る、私にはもう主人がいるんでな部下にはならない」拒否を示す。


「駄目なのか?…ズッ…」アジールルから急に子供らしい言葉が鼻をすすりながら出た。


「ああ…」と返事を返すと…


「なんでオレばっかり思い通りにいかねぇんだ」初恋に似たアジールルの他者への感情が無下にされ、ボソボソと暗い感情を吐き出し始める。


「親はグズだし、姉ちゃんは売られたし、兵士にはなれないし、……………」

「なんでオレばっかりなんだよ…」


「ふむ、不味いな」周りのゴーレム達の形が時折歪む…


「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……」今までに無い感情の変動の為かアジールルが目に見えて狼狽していく。


「なあ、アジールル」

「なんだ…ハァ…ハァ…」よく見れば鼻血が垂れて足下にポツリポツリと赤い跡を残している。


「私と勝負をしないか?お前が勝ったら部下になろう」

「ホントか?」ピタリとゴーレム達が安定する。


「ああ、私が勝ったら」

「おう、オレの命で払う」いや、そうじゃ無いんだが…と思うや、ゴーレム達が地に溶け消え、私とアジールルを囲む様に円形の壁が現れる。


「ふむ、見事だな」身体が破損しない程度で壁を殴るがヒビすら入らない。

「そうだろ、一騎討ちとか憧れてたんだ」嬉しそうなアジールルだが、目眩でもしたのかフラフラしている様に見える。


「調子が悪そうだな、明日にでもするか?」一応提案はしてみる。

「気にすんな、まだいける」どうやら危ない状況だと自分で理解している様だ。


「勝敗はどうするんだリーフムーン」ウキウキとした雰囲気でアジールルが聞いてくる。

「そうだな…正直子供に手を上げたく無い」

「何言ってんだ甘い奴だな…」子供に言われてしまった…


「お前とゴーレムで私を動けない様に捕らえたら勝ち、お前が限界で力尽きたら負けでどうだ?」

「オレが有利過ぎないか?」

「それでいいんだな?」

「まあ、リーフムーンが良いならいいさ」

「では始めよう…」


 私はふわりとアジールルから距離を取った。


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