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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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土使い襲撃編3

「どうした?」私はグルダンに状況を聞く。


「なんてったらいいか…ガキがいきなり砦から見える所に現れやして」頭を掻きながらグルダンは言う。


「行ってみよう」私は、子供が現れたと言う方向の土壁を乗り越え、少年を見付ける。


「隊長あいつでさ」

「ああ」

 グルダンが追い付いて来た。


「視た所一般人の様だが、いきなり現れたとなると」もう、近隣の砦には情報が着いているだろうし、それにしては速い、名を上げるために乗り込んで来たにしてはアンデッドの軍に、いや、リザードマンの群れに対してでも一人は無いだろう。


「隊長、どうしやす?俺が行きやしょうか…」

「一人で来ているとは限らん、囲まれても知らんぞ」

「せめて止めて下さいよ」

「私は、部下の提案を無視しない様にしたい」

「すいやせん、囲まれたら逃げ切れそうに無いんで止めやす」

「そうか、どういう風に現れたかわかるか?アンデッドの召喚の様に魔方陣から出現したとか」

「それが、地面から生える様に見えやしたね」

「生える様にか…まあ、行ってみるかな」


 私は、いつもの様に筋力に魔力を重ね一キロほどの距離を人ではあり得ない速度で駆ける。


 アンデッドになってか、フロラに混じったからか、魔力の増加にあわせて身体の無理が効く様になり、長時間駆ける事ができる様になった。


 まあ、これはこれで駆ける度に地面が抉れるのであまりよろしくなさそうではあるか。


 少年に近づいてきたので速度を落とし、十メートルほどの距離にふわりと着地した。


 少年は少し小柄で手足も細く、悪く言えば華奢で幼く見える。


 動き易そうなシャツにパンツ、マントを肩に掛けるが長すぎるのか裾が地に付いている。


 私に驚いたのか、大きな薄水色の目が見開いている。


 髪はあまり手入れしていないのかボサボサで肩まで無造作に伸びている。


「何者だ、街への帰りはあちらだぞ」私は少年の後ろの彼方を指指す。


 声をかけると少年はハッとなり、「お前がプルミエを占拠した奴か、どんな奴かと思ったら女じゃねぇか、今から攻め落としてオレの手柄にしてやる」口上を述べる。


 なんと言うか練習していたのか、やや繋ぎに違和感を感じるがまあ、どうでもよさそうだ。


「そうか、私はリーフムーンと言う、そちらは?」名を聞いてみる。


「オレは、アジールルだ、いい勝負をしよう」なんだか嬉しそうに答える。


 アジールルはそう言うや、魔力を解放した。


 辺りの地面が不自然に隆起し、無骨な人形(ヒトガタ)をしたゴーレムを呼び出す。


「おぉ」と思わず声を出し、跳んで下がる、ゴーレムはアジールルを中心に左右均等に翼を広げる様に湧き出す。


「さあ、砦ごと潰してやる」アジールルは、百に近いゴーレムを使役し、迫る…


「なあ、もう少し近づいてから召喚した方がいいのでは?」質量の為、ゴーレムは遅い、人が小走りで追い抜くのは簡単であろう。


「五月蝿い、絶望に打ち菱がれて待っていろ」地団駄を踏みながらアジールルは土の塊を投射してくる。


「わかったわかった」と言いながら、それを避け、私は砦に戻る。


「グルダン、戻ったぞ」ゴーレムを見て若干放心していたグルダンの肩を叩く。


「隊長、ヤバいっすよ」

「どうしてだ?」

「あんな高位土使いなら砦の土壁なんか武器ですぜ」

「一応私が魔力で補強してるが?」

「隊長があれだけのゴーレムを作れるほどなら大丈夫でしょうが…」

「無理だな」

「逃げやしょう」

「駄目だな」

「はあ…」


 グルダンは頭を抱える。


「さて、どうしたものか…」と私はアンデッド達に指示を出す。


「盾は前に、リザードマンはその後ろだゴーレムを受け止めろ、遊撃隊は足を潰して時間を稼げ、魔法隊は砦から放て」フロラの残したアンデッドは、盾ゾンビ、リザードマンゾンビ、魔法スケルトン、鎌ゾンビ…


 あんな重量級にいつまで持つか…


 グルダンの話では、砦も素材にされかねない、私が出せるのはゾンビドッグのみ、無理やりゴーレムを支配しようにも数体が精々、あの数では厳しい、基より効果があるか疑わしい。


「さて、厄介だな」どうしたものかと、迫るゴーレムを眺める。


「あのガキがどれだけか知りやせんが、あの数でいつまで持つか、魔力が尽きるまで粘れば撤退するでしょう」グルダンは思いの外冷静に見ている。


「アジールルだそうだ、あいつ」

「隊長、そこまで迫ったんなら始末して下さいよ」

「ふむ…まさか子供がここまでの者とは思わなくてな、ちなみに、礫も放ってきたぞ」

「なんで召喚しながら他に攻撃できるんですかい、規格外でしょう」

「さあ?グルダン捕らえられたら躾られるか?」

「なんでさらに難しいことしようとしてるんですかい」

「戦力になるかと」

「うちらかなり不利なんですぜ、捕らえたらって算段はあるんですかい?」

「無いな…」


 機会があれば勧誘しようと私が思っていると。


「隊長…」グルダンがなにやら言いたげにしている。


 ふむ、考えを読まれるのはあまり面白く無いな、フロラは凄いな。


「さて、そろそろ一戦交えるか」と、私はいつぞやのトゲメイスを二本異空間から取り出し、グルダンに一本渡す。


「あれ?隊長いつから持ってたんで…」グルダンは不思議そうにしているが無視して間近に迫るゴーレムを見据える。


「隊長?これどうしたんで、隊長ー」しつこい奴だな。


「もっと欲しかったったか?ほれ」と、もう一本取り出しグルダンの足下に投げる、ドッと鈍い音が聞こえる。


「隊長いつからフルフロラさんみたいなことを…」

「フロラがやるのを見てやってみたらできた」


 フロラではないが、ドャァと思いながら答える。


「隊長も規格外でしたね」なにやらグルダンは自己完結した様にトゲメイス二本目を拾いベルトの背側に固定する。


「まあ、死なない様にな」

「隊長とヤルまで死にやせんよ」

「それじゃあもう機会は来ないな」

「あ…」

 格好つけたかったであろうグルダンをヘコませて、砦を守る円陣へ私は向かった。


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