土使い襲撃編2
「さて、これからの事だが…」リーフムーンは皆の食事が終わったあたりで話を始める。
「それぞれどうするんだ?」
「私らは潰された集落の皆を集めて国へ避難するつもりだ」
「そうか、キャッセとマルシェはリュシオルを連れて避難」
「まあ、仕方ない、戦争にならない様にしないといけないからな」
「リュシ坊は真面目だな」
「五月蝿い」
いつものやり取りになってきたなと、リーフムーンは思う。
「グルダンは帰るのか?」
「嫌っすよ、隊長についていきやす」
「そうか」
そろそろ死ぬかもしれんぞ…とリーフムーンは思うが、黙っていた。
「フロラはどうするんだ?」
「そうですねー、モフモフの国を見てみようと思ってますね、どんな感じか知りませんし、こちらはリーンさんに任せたら大丈夫そうですから」
「まあ、ひと月程度ならやり方次第で…グルダンは持たないかもしれんが」
「隊長ー、なんでそんな俺ばっかり…」
「飲まず食わずで平気なら大丈夫だが」
「無理っすね、昨日のトカゲはまあ旨かったですが人間は食いたく無いっすよ」
「昨日の」「トカゲ?」「グルダン貴様何を食わせた」獣人二人とリュシオルが声をあげる。
「あの串焼きとスープだよ、フルフロラさんがリザードマン食うって」
「私も食べてみたがなかなかだったな、今朝の朝食もだがグルダンは料理が得意なのか?」
「まあ、一時期凝ってたんで」
「美味しかったですよ、またトカゲさん狩ります?」
何やら獣人二人とリュシオルが青ざめてみえるが、リーフムーンは気にしない事にした。
「フロラ、今度にしよう」
「そうですね」
「はぁ、助かりやす隊長」
「いや、旨かったんだが…」
「美味かったですが…」
「貴様らは……」
思う所はある様だったが、三人は黙った。
「では、東の獣人国へ向かうのがフロラ、キャッセ、マルシェ、リュシオル、残りは防衛か…」リーフムーンはチラリと獣人二人を見て、「リュシオルが死なない様に戦争を回避してくれ」と告げる。
「解っている」「解ってます」二人は頷く。
「フロラも気をつけてな」
此方フルフロラ、リーンさんがかっこよく会議を進めます、私、心配された事無いのに、あぁリーンさんがお友達になってくれて幸せです。
思えば今まで無かったですね、思考まで繋がった関係なんて…リーンさんは嫌じゃ無いんでしょうか、私なんかの頭の中を共有して、私が命を奪ったのに…
復讐したく無いんでしょうか、私なんか…私…「はぇ」
「ふむ、少しフロラと相談してくる、準備は任せる砦の物は好きに使ってくれ」リーフムーンはフルフロラの肩を抱き、連れて行く。
「フロラ、話をしよう」リーフムーンはフルフロラにあてがった部屋に入り、扉を閉める。
ギィギィと耳に触る音の後に、「はい」とフルフロラが呟く。
「フロラが思っている様な事を私は思わ無い」
「ホントです?」私はリーンさんの気持ちが解らないのに…
「もちろんだ」
「……」どうしたらいいでしょう?
「わからん、気に入らないなら私を消してくれ」ジッとフルフロラをリーフムーンは見つめる。
「嫌です」嫌に決まってます。
ガシッと抱き付かれ、リーフムーンは数日前の様にフルフロラの髪を優しく撫でる。
「フロラはどう思うか解らないが、私は深い繋がりを感じて喜ばしいと思っている」
「私がリーンさんを殺してアンデッドにしたのに?」
「ああ、今までに無く満ち足りた感情がある」
「私の事気持ち悪く無いです?」何百年も存在してるのに…
「ああ、これからは私が朽ちるまで共に居よう」
「リーンさん…」
「嫌か…?」
「リーンさんが消えたくなるまで一緒がいいです」
「そうか、フロラ、私はフロラと繋がっているんだまあ、なんだ上手く言えないが、家族とでも思ってくれ」
「家族です…?」
「嫌か?」
今までに無く、ふわりとフルフロラが抱きしめる。
「リーンさん」よろしくお願いします。
「よろしくフロラ」リーフムーンは一度は引き千切った髪を優しく撫でる…
不確かだった物が確かな物になる感じが二人を包んでいた。
フルフロラです、家族…私の記憶には無いですが、幸せな響きです。
リーンさんと家族……私は楽しく過ごすためにいろいろしてきましたが、なんでしょう、今までに無い物を感じます。
足りない物が見つかった感じです、「私もそう思う」リーンさんもですか。
はぁ、リーンさんに会えて良かったです、何年続くかわかりませんが私は今の感情を大事にします。
「あむっ」いきなり頭を抱きしめるリーンさん、どうしました?「すまない」今日は積極的ですね、しばらくお別れですもんね、私も寂しいです。
そこへ、「隊長ー、フルフロラさん、準備が終わったみたいで…」グルダンが扉を開ける。
「解った、フロラ行けるか?」
「ふしゃー」良い雰囲気になんで来るんですー。
「あ、ええと…すいやせん」空気を読んで謝るグルダンであった。
私は、怒り心頭なフロラをなだめ、キャッセ、マルシェ、リュシオルと共に送り出した。
感情は薄れているが、フロラが離れるにつれ、子供の頃に感じた寂しさを思い出していた。
近くに居ないだけで気になる…、兄さんが居なくなった時に似ていると思った。
フロラが旅立って三日ほどか…攻めて来るにしろ半月はあるだろうがどうなるやら…
プラチナに変化した一部の前髪をずらし眺めて居ると…
「隊長ー」と、グルダンが報告に来た。




