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ぞんびうぉーず  作者: みかづき
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土使い襲撃編1

 さて、早朝に私が砦に戻るとキャッセが出迎える。


「リーフムーン速かったな、土煙が見えたと思ったらもうだ」

「走り方にコツがある、キャッセは寝てないのか?顔色と言うか毛艶がなんだか…」

「ああ、ちょっとな、走り方のコツは聞きたいな、どうやって馬より速くなるんだ?」


 キャッセが食い付いてきたので、教えてみる。


「魔力を筋力に合わせるんだ」

「……正気か?」

「普通に使っているが?」

「ああ、アンデッドの技術か、普通の人はそんな使い方したら筋肉が裂けて骨が見えるまで開くぞ、昔バカが必殺技を試したいとか言いやってしまいしばらく立てなくなっていたな」


 私は普通に使っていたんだが…と言うのは無粋か、「そうか」と返しておく。


「寝るんなら変わるぞ」とキャッセに言うと、片方が千切れた猫耳をピクピクさせ、「いや、見張りはお前らのアンデッドで十分だと思ってる、ただ……な」言う。


 昨日の今日で眠れる訳が無いかと、少し反省する。


「そうだな、昨日はた……いや、止そうか、早く忘れられる様にな」

「ああ……」


 キャッセと別れ、中に入るとリュシオルが目の回りに真っ黒な隈を作り、砦内を徘徊している。


「リュシオル、寝てないのか」と、声をかける。


「リーフムーン…」と、リュシオルは睨んでくる。


「寝られる訳が無いだろう、アンデッドに囲まれて、ベッドの横に立つんだぞ、しかもリザードマンゾンビが、解るのか?仲間が目の前でリザードマンに喰われた奴が寝てる横に喰った奴に立たれる気持ちが」


 自分は、殺した本人に抱き付かれるんだが…


「しかも、砦中アンデッドアンデッドアンデッド…そんな環境で寝てる奴が居るわけ無いだろう」


 そこへ、「あ、隊長ーお帰りですかい、ふぁ…村のが寝心地良かったすね、リュシ坊も居たのか、相変わらずビビりだねえ」欠伸をしながらグルダンがやって来てリュシオルの顔を見て何やら思い出した様にニヤニヤしている。


「五月蝿い、お前は何も考えて無いから寝られるんだ」

「そうかもな」


「隊長ひでぇっすよ、リュシ坊はいい加減口の聞き方を覚えろよ、だからこんな僻地に…」

「黙れ、お前もだろうが」

「ふむ、リュシオルは捕虜だから見張りは当たり前だろう、キャッセとマルシェみたいに扱われ無いだけでまともな待遇だ」

「いや隊長、俺が言うのはアレですが拘束ぐらいするもんじゃ…」

「いや、私は面倒だから逃げて欲しかったんだが…」

「お前ら、捕虜の前でそんな話をするな」

「リュシ坊に言われちまった」

「そうだな」

「だいたい今頃逃げたら間者扱いで拷問されるだろうが、このまま死んだ者として身を隠すしか道が無いだけだ」

「なるほど」

「リュシ坊よく考えてんなぁ」

「お前らが雑なんだ」


 追い詰められて居た時が嘘の様に元気になったなと、私は思い、リュシオルの頭をポンポンと撫でる様に叩く。


「へ…」リュシオルが毒気を抜かれた様な声を出す。


「何をするリーフムーン」

「いや、元気になったもんだと思ってな」

「子供扱いするな」

「いいじゃねぇかリュシ坊、隊長、俺は?」

「朝食の準備だな」

「ブッ…」リュシオルが笑いを噛み殺せず吹いた。

「隊長ーそりゃ無いっすよ…」


 肩を落としながらグルダンが食糧庫へ向かう。


「まあ、リュシオルは好きにしたらいいさ」まだ少し唖然としているリュシオルを放置して私は砦内を歩く。


 さて、フロラはまだ寝てるのか…と、目の前の扉がギィと開きフロラが出てきた。

 怒って居るか?と思っていると、こちらを見て嬉しそうに満面の笑みを見せる。


「あ、リーンさんお帰りなさい」素早く抱き付いてきたのをリーフムーンはポンポンと頭を撫でながら迎える。


「ただいまフロラ、兄さん達は元気そうだったぞ」

「そうですか」とフルフロラは頭をグリグリとマーキングするかの様に擦りつける。




 此方フルフロラ、リーンさんが帰って来ました!寂しかったですよー、さあ今度はリーンさんと一緒に寝ましょう、今夜は寝かせませんよー




「あぅ」ビシッとフルフロラの額にチョップが入る。


「ふざけて無いで直ぐに朝食だぞ、グルダンに用意させているからマルシェに声を掛けておいてくれ、私はキャッセを呼んでくる」


「はぁい」フルフロラは出てきた部屋に戻る。


「……?」リーフムーンが怪訝そうにしていると、マルシェが出てきた。


「お、おはようございますリーフムーン」毛艶はいいのだが、何やら疲労しているような声をしている。


「ああ、マルシェおはよう」短く挨拶を交わし、マルシェは歩いて行った。


「マルシェはどうしたんだ?」続けて出てきたフルフロラに問う。


「へ?約束通りにモフモフしてたんですが」

「そうか、ほどほどにな」

「もちろんです、今度はキャッセさんに逃げられ無い様にテクニックを磨きます」

「まあ、なんだ、ほどほどにな」


 キャッセの様子はそういう事か、と納得しつつリーフムーンは呼びに行く事にした。


 キャッセに声を掛け、二人で簡易キッチンのある食事部屋に行くと皆が集まっていた。



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