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メチャクチャな状況を生き延びて

「だーかーらーなんでこうなるのぉぉ!?」

 現状、魔法使い二名がラスボスクラスの魔物の群れに包囲されている。

 お分かりだろうか? 魔法使いとは打たれ弱い職業だがここはゲームではない。一撃もらえばそれで人生が終わる。教会で生き返る? 蘇生魔法? そんなものがある訳ないだろう。

 ここにいるのは〝ひのきのぼう〟で殴られたら普通に痛いと反応を返す人間だ。どれだけ攻撃力の低い装備で殴られてもダメージポップアップが〝0〟ばっかりのおかしなキャラではないのだ。

「ていうか僕の法機つえ折れたんですけどぉぉ!! 君ねえ分かってる!? 魔法使いの法機壊したら魔法って使えなくなるんだよ!?」

「あ、はい、分かってます。さっきこけたときに私の法機ペンダントにヒビが入って落ちたときに壊れましたから」

「――――――――――――――」

 沈黙どころか絶句だ。

 見た目普通の十八歳と十五、六歳。対するは神話の化け物クラス。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あ、やば、未来決まった。これ生き延びてもミナに締められる」

 長年の相棒、ミナ。分けあって別行動しているがあいつは神各級の化物を実力だけで捻じ伏せた。

 恐らくいまここにいる魔物がいきなり合体しても勝てる訳がないほどに怖い。

 あの人は人間だけど人間じゃない。人間は素手で野生動物に勝てない。ましてや魔物に勝てる道理はない。

「……うん、そうだねえ、まずは君を縛ろうか。君を餌にして僕は逃げる、かんぺごほっ!?」

「…………、」

「なんで殴っちゃうのかな? 君が僕に仕掛けてこなければなにもなかったのに」

 折れた杖をくっつけて治癒の魔法で修復する。繋ぎ目から光が漏れ、完全に元通りになる。

「ま、やってみよっかなぁ……フェンリル相手にするよりは楽そうだし」

 彼は杖を女の子に押し付け、法機なしで魔法を発動する。すべてが射撃系、用途は近づかれる前に片っ端から片付けるのではなく。

「とりあえず、ここ、干乾びた下水道あったよねぇ!」

 破片や衝撃が飛んでこないギリギリに魔法を撃ち込んで道路であったものを爆砕。

 マンホールごと吹き飛ばして悪臭が漏れるが、彼は構わず飛び込んで火炎を放ってゴキブリとネズミを追い払う。

「ほら早く来る!」

「は、はい!」

 女の子は飛び込むと同時に悪臭に嫌な顔をするが、命がかかっているとなると文句までは言わないようだ。

「とりあえずこれなら小型種しか入ってこられないだろうから先行って!」

「え、あの法機は?」

「要らないよ。それに知ってる? 他の魔法使いの法機でも持ち主が許可するか死ぬかすると使えるんだ、先に何かいたら水で押し流して、後ろは僕が灰にするから」

「は、灰?」

「君らみたいにエレメントグリッドの制限なんてないもんでね」

 いきなり飛び込んできた魔物――犬に鴉を合わせたようなもの――に向けて腕を向け、青く燃える火焔を放つ。僅かな火焔、それでも触れた端から焼き尽くしてさらさらと崩れ落ちる灰にしてしまう。

「さてさて……君のエレメント……通常魔法は何がある? こんな時だから生き延びたかったら隠さずに言え」

「水の汎用と射撃と壁と治癒です」

「他の属性は? まさか水属性だけ?」

「……はい」

「よくそれで生きてこれたね……」

 呆れるどころか寒心する少なさだ。よりレベルの高い逆属性と当たったら間違いなく死ぬ。

 しかし水属性は意外と防げる属性が多い……使い方次第で。そのため多数の属性を相手に防戦を行うことはできる。

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