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第2話 新ドラゴン誕生

さーてエイプリルフールも終わった中、エイプリルフールのような小説を書いております(笑)


本当にノリと勢いだけで書いているので何かあったらご指摘ください!

2233年11月1日。


日本防衛庁


「なんですと!? それは本当ですか隊長!」


どんより曇った空の下、自衛隊のとある基地内で伊藤光一(いとうこういち)は声を上げた。


「隊長、我々の活動が再開されるって本当ですか?」


隊長と呼ばれれた男性、古田賢介(ふるたけんすけ)は光一の問いに頷き、説明を始めた。


「うむ。どうやら上層部の方でもこの部隊が活動していないのは不安なようでな、形だけでも活動を再開してほしいとのことだ」


この部隊の名は特別部隊ジパングガーディアンズ、通称ZGである。警察や自衛隊の力だけでは解決できない事態に出動する日本国の最後の希望とも言える部隊だ。

この部隊は人間とロボットが二人一組のコンビを組み、お互いパートナーとして共に行動することで利便性を高め、様々な状況を打破することで知られている。

そんな強力な部隊であるZGと言えど、昨年のダークシャドーとの総力戦のために隊員と専属ロボットのほとんどを失い、残ったのはここにいる二名……隊長の賢介と隊員唯一の生き残りである光一だけであった。


「とはいえ、今や残っているのは我々だけだ。そこで上からの配慮で他の隊の人員を何人かこちらによこしてくれることになったらしい」


「なるほど、確かに形だけ……ですな。しかし、隊員の数はそれで誤魔化せても配属されるロボットまでは……」


「それも心配は無用…………とは言えないが、新しいロボットも一体、正式な新隊員と共に来ることになった」


「……正式な新隊員?」


光一はその単語に大きく反応した。

それに賢介は笑みを浮かべ続けた。


「そうだ、本来ならすぐにでもこちらに配属される予定だったのだが、現にZGは正常に活動できる状態ではなかったために今まで待たされていた隊員だ」


そこで賢介は言葉を切って、部屋の入口のドアの方を見やった。

入りたまえ、と賢介が言うとドアが開かれ、一人の女性がやってきた。


「彼女が?」


「そうだ、彼女が本日から我々ZGの一員となる」


鷹野瞳(たかのひとみ)です、よろしくお願いします」


彼女はそう名乗り、二人に向け敬礼をした。

茶髪のショートボブに大きく澄んだ目、全体的に優しい印象を受けるが、凛として力強さを感じさせる女性だった。


「ちなみに、女性キャラの容姿をちゃんと解説するのはそういう小説を色々と読んできたかららしいぞッ!」


「……光一、何を言っているんだ?」


突然人差し指をピンと立て、誰に向けてかわからない説明をし出した光一に賢介がつっこむ。


「あ……お、お気になさらず! えー……コホン。では鷹野瞳クン、よろしく頼むよ!」


言い終えて光一は賢介の方を見る。

賢介はその眼差しで何が言いたいかを理解し口を開いた。


「では次に我が隊のロボットを紹介しよう。バイゴック、エスパルト、来い」


賢介の呼びかけに応じて、実は最初からいたのだが微動だにせず待機していた二体のロボットが三人の前までやって来た。


「よう、あんたが新入りの鷹野瞳さんか。俺はBF-08バイゴックだ、よろしくな!」


「はじめましテ、鷹野瞳サン。私はCS-07エスパルトと申しまス」


バイゴックと名乗ったロボットは、例えるなら相撲取りのような強靭な体躯をしていた。

熊をイメージして造られたロボットであるためかメインカラーは茶色で、両手には『バイゴックロー』という鉤爪型の武器が仕込まれている。


エスパルトは西洋の甲冑そのもののような見た目をしていて、右腕にフィフスフィストという五種類の機能がある特殊な武器を装備している。


「この二人もまたZGのメンバーだ。バイゴックは光一の、エスパルトは私のパートナーロボットだ」


「それで隊長、瞳クンのパートナーとなるロボットは?」


「うむ、それなんだが……尾羽博士の方が製造に手間取っているらしくてな、到着が遅れているのだ。だが、本日中には完成させてこちらに来るとのことなんだが……」


賢介はそう言いつつ時計を見た。

現在の時刻はちょうど午前11時にさしかかったところだ。それに賢介はあの博士ならば大丈夫だろうという確信を持って続けた。


「まあ今日中に届くことは間違いないだろう。我々もあっと驚くようなロボットを造っているとのことだから、気長に待ってやろうじゃないか」



////////////////////



ここは日本のどこかにある周りを山々に囲まれた場所。

鬱蒼とした森の中に、ひっそりと尾羽研究所は存在している。


何を隠そう、この尾羽研究所こそがあのメタルドラゴンを生み出した科学者、尾羽四十郎(おばねしじゅうろう)博士の研究所なのだ。

何故このような山奥にひっそりと存在しているのかというと、この研究所の存在は国家機密であり、そしてダークシャドーなどの敵の目を欺くためでもあった。もしもの時は視覚効果バリアを張り、研究所を見えなくしてしまうこともできる。

集められたスタッフもエリート揃いで、最新の科学力の全てを結集させた、国家機密にして国家最高の研究所なのだ。

尾羽博士は国の密命を受け、様々なロボットを作り出してきた。

それがメタルドラゴンをはじめとするZGのロボット達である。

しかしそのロボット達も『地獄の大晦日』のダークシャドーとの決戦でバイゴックとエスパルト以外は皆破壊されてしまった。




その中で今、新たなる機械仕掛の勇者が誕生しようとしていた。


表には製造室と書かれたプレートがかけられてある。

その中で、研究員の白衣に身を包んだ白髪で無精髭を生やした初老の男性がロボット製造の作業を行っていた。

この人物こそが尾羽四十郎博士である。


「おい博士よ〜、まだ俺の身体は完成しないのか? はえーとこ動き回りたくてしょうがねんだがよ」


尾羽博士に向けて、頭部と上半身だけのロボットが文句を言う。

このロボット、見た目はほぼメタルドラゴンと瓜二つであるが、全身のカラーリングがメタルドラゴンの銀色と違い真紅の装甲であった。


「もう少し待っててくれ」


尾羽博士はそう言うが、特に急ぐ様子もなく半ば聞き流している形で作業を進めている。

そうなるのも、この質問をされるのはもう十三回目だからだった。

それに赤いロボットは業を煮やした。


「あのな……あんたにとっての『もう少し』ってのは一時間以上かかるもんなのか? 俺にとってはせいぜい五分ぐらいを『もう少し』って呼ぶんだ。それ以上かかるってんなら正確に何時間何分何秒かかるか教えやがれってんだよジジイッ!!」


「あ〜もう、やかましいわッ! もう少しと言ったらもう少しじゃ! 忍耐強く待たんかい!!」


「俺はガマンが苦手なのッ! つーか、こんな性格なのはロボットなんだから作ったあんたの責任だろうが! 責めんなら自分を責めやがれ!!」


「うう……そう言われると反論できんが……」


途端に尾羽博士はしんみりとして言う。


「わしはの、メタルドラゴンとの差別化をはかるためにそういう性格にしたんじゃ。見た目も中身も同じだったら思い出して泣けてくるからの……」


「だったらよ、なんで見た目を同じにした?」


「それはの……まあ簡単なことじゃよ。ただ単に設計図を一から書くのが面倒くさかったんで……」


「てめー、それでも天才科学者か!?」


「仕方ないんじゃよ! ワシだってもっと時間かければ色々考えられたのに、政府の方で急かしてくるんだもん!!」


「いい歳こいて『もん』はやめろ気持ちわりいッ! ……ああもう、わかったよ。もう少し待っててやるから、俺の身体ちゃんと完成させてくれよ?」


「なーに、心配はいらんて。お前とケンカしながらも作業の九割は終わった。あとはここをこうすれば…………」


そう言いつつ、尾羽博士は完成した『両足』をロボットに取り付けた。


「よし完成じゃ! ほれ動かしてみるといい」


博士に言われ、赤いロボットはつけられたばかりの両足を動かしてみる。


「おお〜……ちゃんと動くぜ、博士!」


「よーしよし! では立つのだ、ネオメタルドラゴン!」


「ネ、ネオメタル……? なんだよそりゃあ」


「お前の名前じゃよ。新しいメタルドラゴンだからネオメタルドラゴン……だめかの?」


「いや、悪くはねえが……」


ネオメタルドラゴンと呼ばれた彼は俯きながらしばらく黙り込み、やがて言った。


「最初のネオ以外を全部兄さんの名前から取るっていうのはな……それこそ兄さんのこと思い出して悲しくなるんじゃねえのか?」


「ほほう……それだけの気遣いができるとは上出来じゃな。よし、それならば別の名前を考えねば……」


尾羽博士は目をつぶり、考えを巡らせた。


「……そうじゃな。ドラゴンであることは残しておきたいから、その赤い色からとって『レッドドラゴン』というのはどうじゃろ?」


「レッドドラゴンか……いいな、なかなか気に入ったぜ!」


ネオメタルドラゴン改めレッドドラゴンは満足した様子で立ち上がった。


「このレッドドラゴン、名誉の戦死を遂げた兄メタルドラゴンに代わって日本の平和を守ってやるぜ!!」


力強く宣言するレッドドラゴン。

新たなる正義のロボットの誕生の瞬間であった。


……と、その時!


ヴィーン! ヴィーン! ヴィーン!


部屋の床から赤い回転灯がせり上がって出現し、非常事態を告げるサイレンが鳴り響いた。


「何事じゃ!?」


尾羽博士が驚いて叫ぶと、小型のテレビに飛行機の羽がついたようなロボットが博士の前に飛んできて、映像を映し出した。


「むむ! これは……」


「どうした博士! 何が映ってんだ!!」


モニターには町中で機関銃を発砲しながら歩く兵隊型のロボット達が映っていた。

どうやら人を無差別に襲っているようで、次々と機関銃によって殺されていく人々の姿も見えた。


「こいつらは!? ……まさか……」


尾羽博士はそのロボット達に見覚えがあるようで、信じられないという感じに目を白黒させた。


「博士、こいつらのこと何か知ってるのか?」


「ああ……しかしそんなまさか…………いや! 今そんなことはどうでもいい、とにかく出撃じゃレッドドラゴン!」


「はあ!? い、いきなり言われてもよォ、こっちはまだ完成したばっかだぜ? まだ自分自身にどんな能力があるのかもわかってねーのに……」


「大丈夫じゃ! お前は実質上は自分の機能の全てを理解しておる! だから心配せんで実戦で慣れるべしじゃあ!!」


そう言って尾羽博士はレッドの背中を強引に押して部屋の外まで連れて行った。


そんなこんなでたどり着いたのは研究所の屋上。

空は青く澄み渡り、大小形もさまざまな白い雲がいくつも漂っている。


「さてレッドドラゴンよ、お前には空を飛ぶための翼がある。わかっているな?」


「ああ! わかるぜ……なんだか知らねえが、勝手に頭の中に情報が溢れてくる……これならやれる、やれるぞッ!」


「よしよし、それでこそわしのロボット! さあゆけレッドドラゴンよ、今こそ世界を救う時! 今がその時じゃ!!」


尾羽博士は何故か空の彼方を指差して言った。

しかしもうレッドもそれを止めることはなく、それどころか完全にノリノリになっていた。


「ッシャア! じゃあ行ってくるぜ!!」


レッドドラゴンは腰を深く落とし、青空を見上げ叫んだ。


「ドラゴンウイング!!」


その言葉にレッドドラゴンの背中の翼が大きく広がり、翼の下部にあるブースターも唸りを上げた。


「ゆくぜ〜! レッドドラゴン、初陣だぜッ!!」


ドラゴォォォォォォォォォォォォ!!


轟音と共にレッドドラゴンは一面の青空に向けて飛び立った。

その姿もだんだん小さくなっていき、レッドドラゴンの機体の赤が空の青に吸い込まれていった。

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