婚約者が他の女の胸にネックレスを当てていたので浮気だと思いました
学園からの帰り道。
アンネは、婚約者が他の女の子と買い物をしているのを見た。
貴金属店でネックレスを選び、
その女の子の胸元に当てている。
――楽しそうに。
⸻
翌日。
学園のカフェテラスで、アンネとユーリは向かい合って座っていた。
「これって、浮気かしら」
アンネはぽつりと呟く。
「本人に聞けば? 浮気してたのかって」
ユーリはあっさり言う。
アンネは手を振った。
「誤魔化されたり、嘘言われたり……信じられないじゃない」
「見間違いじゃないの? あなた達って、人も羨む仲だし」
「私もそう思ってたんだけど……自信がなくなって」
そのとき、ユーリが顔を上げた。
「ちょうどいいところに来たわよ。ほら、彼氏」
「え、ちょっと、ユーリ! まだ心の準備が――」
アンネが止める間もなく、ユーリは手を振る。
「へい、ジョナス!」
⸻
ジョナスが友人と別れ、こちらに歩いてくる。
「アンネ、ユーリ、こんにちは。元気?」
「アンネが元気ないんだって。話聞いてあげて。私は席外すわ」
そう言って、ユーリはさっさと立ち去った。
残されたジョナスは、目を瞬かせる。
「……アンネ、どうしたの?」
アンネは少しだけ迷ってから、口を開いた。
「昨日……女の子と買い物してたの、見たの」
「え?」
ジョナスは驚いた顔をする。
「昨日は部活で遅かったから、君が出歩く時間に買い物なんて――見間違いじゃない?」
アンネは首を振る。
「嘘よ。何回も確認したもの。ネックレス、選んでた」
ジョナスは一瞬言葉に詰まり、それから視線を逸らした。
「……部活の顧問と仲間が証言してくれる。僕じゃない……って言いたいところだけど」
小さく息を吐く。
「サプライズで、付き合った日の記念日にネックレスを買いに行ってたんだ。ごめん」
⸻
アンネは、ぱっと顔を上げた。
そして――そのまま、泣き出した。
「……私は、サプライズ嫌い」
「うん。もうしない」
「私、不安だったの。あなたが浮気したんじゃないかって」
涙が止まらない。
「ごめん。誤解させて」
アンネは首を振る。
「他の女の子と選んだプレゼントなんて、いらない」
「妹に付き合ってもらってただけなんだ。本当にごめん」
「……泣きたくないのに、涙が止まらない」
「大丈夫。落ち着くまで、そばにいるから」
⸻
ジョナスは、そっとアンネの手を取る。
アンネは一度だけためらって――
それでも、離さなかった。
現在、連載中です。ぜひ見に来てください。
乙女ゲームのバッドエンド絵師、ゲーム世界に転生する 〜バッドエンドしかない世界で、運命を捨てる〜




