ポンコツ無双のイチニイ様
「見つけたぞ。あれが敵の根城だな」
崖上から敵の根城を発見したサン兄様はスマホを取り出しニイ様へ根城の所在地を伝える。
「よーし…大将の捕縛は俺に任せろ。ヨン、敵軍の足止めを頼めるか」
「ふふ…誰に言ってるんですか。お任せくださいニイ様」
ヨン兄様は矛を担ぎ白い歯を見せる。そしてそれぞれ行動を開始しあっという間に敵軍を制圧し、敵の総大将および幹部達を拘束し根城のサーバー室へと放り込んだ。
全てが終わったあと大きなバッグと自慢の剣を携えてイチ兄様が遅れて戦場へと到着。
「すまない。遅れてしまったな。戦況は?」
「すでに制圧は完了したぜ、イチ兄」
イチ兄様に聞かれてニイ様が崖下の根城を顎で示す。
「あとはお任せしますよイチ兄様」
「おいしい所残しといたんだから今回ばかりは何か残して来てくれよ」
ヨン兄様とサン兄様が少し呆れたように言う。
「すまないな。では行って来るとしよう」
イチ兄様はバッグを担ぎ直し崖下の根城へ向かい降りていく。
そして敵幹部達がすし詰め状態になっているサーバー室へとやって来た。
「敵の総大将殿はどちらかな?」
「ワシだ!」
すし詰めの最前列に座らされた恰幅の良い禿頭の男が名乗り出た。
敗残の将でありながらその太々しい態度に逆転の一手があるようにも見えた。
「閣下…誠に残念ではありますが貴殿が助かる道は残されてはおりません」
あくまでも丁寧な言葉で死の宣告を言い渡すイチ兄様。しかし禿頭は余裕な態度を崩さない。
「ワシを殺すとこのサーバーに保存されたワシの秘密や我が軍の機密情報にもアクセス出来なくなるぞ? ここには全てのデータが揃っておる。そうなると王国にとっても損失であろう?」
「なに…? それは困ったな…」
イチ兄様の言葉に交渉の余地ありと判断しニヤリと笑う禿頭。
「ではここのデータと引き換えにワシを含めたここにおる者達の命の保障をしてもらおう。その上でワシを王国の将軍として迎え入れて…」
そこまで聞いてイチ兄様は大きなため息をつく。
「はあ〜…そうかあ…今回ばっかりは何かを残そうと思って来たんだが…そんな話を聞いたらな〜んにも残せなくなってしまったなぁ…」
そう言うとイチ兄様はバッグを置き剣を鞘から抜き出す。数多の敵の血を吸って来たその剣はサーバー室の光を反射しギラリと鋭く冷たく輝く。
交渉して取り入れると思い込んでいた禿頭は当然驚愕する。
「ま…待て! サーバーのデータは! 機密情報は欲しくは無いのか!?」
「ここにはそちらの全てのデータが揃っているんだろう? そのデータが他国に漏れる事の方が王国にとっての損失。ならば全て無に帰さねばならない。敵幹部さん…こんな口の軽い禿頭の下についてしまった自分達の不運を恨んでくれ」
「待て! 待ってくれ! せめて! せめてワシだけでも! ワシの命だけでも…!」
禿頭の必死の命乞いもイチ兄様には届かず。
振り下ろされた剣は迷いなく禿頭の体を両断し、そして残った敵幹部達も次々と確実にイチ兄様の剣に血を献上していく。
根城から外へ出るとイチ兄様指を鳴らす。その刹那根城のサーバー室に置いたバッグに詰め込まれた魔法弾が大爆発を起こし総大将、幹部の遺体もろとも根城が吹き飛んだ。
イチ兄様は文字通り何も残すことなく全てを葬り去った。
それを崖上で見ていた残すり三人の兄弟達。
「結局最後は爆発オチかよ」とニイ様。
「不謹慎ですよニイ様」とヨン兄様。
「ま、でもイチ兄様はこうでなくちゃな」とサン兄様。
さすが期待を裏切らないポンコツ無双のイチ兄様の活躍であった。




