表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は攻略対象の愛から逃れられない  作者: 葵川 真衣


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/60

55.魔法学院に入学


 クロヴィスの双眸が苦しげに翳った。


「すまない、シャルロット……」

「いえ……」


 シャルロットは驚きで胸が大きく音を立てていた。



 王宮に帰ってからも、シャルロットはぼんやりとしていた。

 夕食中、エドゥアールが怪訝そうにした。


「どうした?」

「いえ。なんでもありません」

 

 クロヴィスはシャルロットのことを好きと言っていたが、どういう意味なのか。

 ゲームではクロヴィスに忌まれ殺された。恋されるなんてありえない。それを思えば、人として好きになってもらえているというのも、考えにくい。


 親友の妹として、婚約していた相手として、社交辞令みたいな言葉なのか。

 惨殺されたことを思えば信じられないほどの大きな進歩だった。

 



◇◇◇◇◇




 春になり、エドゥアール、レオンス、クロヴィスの三人の攻略対象は魔法学院に入学した。

 シャルロットと同い年のユーグは、王宮で指輪の使用方法を調べたり、勉強をしたり、家に帰ったとき食事をしたりして、一緒に過ごしている。


「シャルロット様、いよいよ殿下と正式に婚約となりますね……。おめでとうございます」

「はい……」


 おめでたいことだとはシャルロットは思えない。期せずしてゲームの状況と同じとなってしまった。

 今度王宮で開催される舞踏会にて、婚約発表される予定だ。

 

 夜の催しに出席するのははじめてで、どきどきしていた。二年前、夜会をのぞき見していたのがまるで遠い昔のことのようである。

 溜息をつくシャルロットに、ユーグは首を傾げた。


「ひょっとして……クロヴィス様との婚約続行を望んでいらっしゃったのですか」


 シャルロットはかぶりを振る。


「いえ。あのままでは結婚がかなり早くなってしまいましたから」

「殿下とは、魔法学院卒業後、シャルロット様が二十一歳のとき結婚されるのですね?」

「はい」


 それまでにきっとエドゥアールとも婚約解消となるだろう。

 ユーグは目を伏せる。


「クロヴィス様はひどく落ち込んでいらっしゃいました。殿下との婚約が内々に決まり、レオンス様も沈んでいましたし。シャルロット様が幸せなら、それでよいのですが。正直ぼくもショックを受けました……」


 ユーグは目元を押さえて俯く。


「婚約しても、わたくしは何も変わりませんわ。これからもどうぞよろしくお願いします、ユーグ様」

「こちらこそ」


 ユーグは良い話し相手になってくれていて、大切な友人だった。

 指輪のことをエドゥアール以外ではユーグにしか話しておらず、秘密の共有者であり、指輪の話ができる貴重な相手だった。


 シャルロットは彼といると、他の攻略対象のように胸がざわめくことなく、とても穏やかな時間を過せる。さすがゲームで癒し系キャラだったユーグである。

 断罪イベントに参加していなかった点も安心感がある。


 以前彼からクロヴィスとの婚約を解消したら結婚してほしい、と求婚されたが、それは忘れて友人として仲良くしてほしいと先日言われた。

 魔法学院入学後も、ユーグとの友人関係をぜひ続けていきたい、とシャルロットは強く思っている。

 



 エドゥアールは毎日王宮に戻ってきて、朝食と夕食をシャルロットと一緒にとっていた。

 シャルロットは呆れのようなものを少々感じていた。


「エドゥアール様。いくら魔法学院が近いといっても、毎日王宮に戻られるのは、手間では? せっかく寮がありますのに」


 彼はゲームでは寮生活をしていて豪華な部屋を使っていた。わざわざ王宮に戻るのは面倒だろう。


「シャルロットに会いたいのだ」

「わたくしと会っても何にもなりませんわ?」

「貴様と会うと、俺は和み、幸せな気持ちになれる」


 さらりとエドゥアールはそう口にする。

 嬉しいけれど、自分は悪役令嬢だ。

 いずれ真逆の言葉を投げつけられるかもしれなかった。

 表情を曇らせると、彼はどうしたのかと首を捻った。


「? シャルロット、何か心配なことでもあるのか?」


 エドゥアールは尊大なところもあるが、結構人の心の機微に敏感である。


「俺に話せ。解決してやるぞ」


 酔ったとき、彼に乙女ゲーについて話してしまったが、呆れられてしまったし信じてもらえる内容ではないし、二度と誰にも話す気はない。


「……婚約発表がありますから、緊張しているのですわ」


 実際、舞踏会で婚約が発表されることも気がかりだった。


「そうか。挨拶など疲れるだろうが大丈夫だ、俺が対処する。心配ない。それよりダンスは踊れるか?」

「少しだけでしたら」


 舞踏は家で習わされていた。足を踏まない程度には踊れる。


「なら舞踏会の日、俺とダンスをしよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ