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悪役令嬢は攻略対象の愛から逃れられない  作者: 葵川 真衣


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22/60

22.次の婚約は


 太古の昔は獣化した王侯貴族もいたが、千年以上みられなくなった特異体質だ。

 

 先祖返りした彼を気味悪く思った王妃により、エドゥアールは獣化した六歳から一年間、地下洞窟に閉じ込められた。

 だが王妃と、三歳年上の兄王子が亡くなったため、七歳のとき地下から出され、王太子となったのである。


「やはり知っているのか……!?」


 エドゥアールはシャルロットの肩を掴み、鬼の形相となる。

 シャルロットは至極慌て、すっとぼけた。


「知っているって、何をでしょう?」

「今、獣化と言っただろう」

「太古の昔、獣化した王侯貴族がいらっしゃったと本で読んだことがあって。それならば人間が狼に変身することもありえ、願いの叶う指輪もあると思ったのですわ」


 エドゥアールはシャルロットから手を離した。


「……獣化も架空の話だ。実際にあったわけではない……」


 彼自身、獣化できるのに。

 しかしエドゥアールは縁起が悪いと言われ、地下に閉じ込められた。

 それが幼かった彼の心を深く傷つけた。獣化することを恥だと彼は思っている。


 ゲームでそうだったし、今エドゥアールの双眸に、幼少時に受けた傷が色濃く広がるのを垣間見た。

 シャルロットは気の毒に感じた。


「……確かに架空の物語かもしれませんわね。獣化できるって、すごい能力ですもの。願いの叶う指輪と同じように、きっと天からの祝福です」


 ゲームのヒロインはエドゥアールの獣化については特に語っていなかった。だがシャルロットは彼の心の傷が気になった。少しでも癒えればいいのだが。

 彼は虚を衝かれたようにシャルロットを見つめた。


「……天からの祝福……?」


 シャルロットは頷く。


「はい。素晴らしい力ですし、わたくし獣化の能力が欲しいです」


 そうすれば、もし断罪されても変身して逃げ切れる。非常に優れた能力だ。


「人間が獣に変ずるなど、薄気味悪くはないか?」

「この世界には魔法が存在しているんです。人が獣になることが何だというんですの?」


 シャルロットが本心を告げれば、彼はふっと笑った。


「貴様は変わった娘だな。なぜ願いの叶う指輪を探している。大貴族の令嬢で美貌も持ち合わせているのに。何を望む?」

「わたくし、幸せになりたいのですわ」


 悲惨な目に遭わないように、平穏を手に入れたかった。

 彼は頬を緩める。


「幸せに、か。別に指輪がなくても叶うだろう」


 ゲームみたいにならないよう備えているが、指輪があれば保険になると思うのだ。


「俺が貴様を幸せにしてやってもいいぞ。ラヴォワ家の令嬢である貴様は妃候補の筆頭に挙がっているしな」

「え?」


 独り言つ彼に、シャルロットは首を傾げる。


「このあと、俺は再度地方に視察に行くことになっている。今日のところは帰っていい。俺が戻るまで待っていろ」

 

 帰っていいという言葉に、シャルロットはほっとした。

 立ち上がってお辞儀する。


「では失礼いたします、エドゥアール様」

「ああ」


 処罰されることなく、無事にすんでよかった。

 と、シャルロットは安堵したのだが──。

 

 

 

 それからすぐ、クロヴィス・デュティユーとの婚約が決まり、シャルロットは卒倒した。


(なぜ悪役令嬢を惨殺した殺人鬼と……!?)

 

 魔法学院を卒業したあとに結婚の運びとなるらしいが、それまでにクロヴィスに殺されるかもしれない。

 ゲームでの王太子の婚約より危険なのではないか。

 

 縁談を断ってほしいと父に嘆願した。


「デュティユー侯爵家は名家で資産家だ。クロヴィス君はレオンスの友人で人柄も確かだし、見目も良い。ぜひにと強く望まれているし断れん。おまえはなぜそんなことを言う」


 ゲームで無惨に殺されたからだ。しかし説明できない。


 結局婚約が決まり、ばたっと倒れて寝込んだシャルロットの元に、レオンスがやってきた。


「シャルロット」

「お兄様……」


 寝台脇の椅子に座り、兄はシャルロットを見つめる。


「クロヴィスとの結婚が嫌で、臥せってしまったのか」


 そうである。

 けれどクロヴィスはレオンスの友人だ。事実を伝えられない。


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