表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/96

不死者と異端者 ④


 この世界では生きていられる。


 月執は渋澤の肩に手を当て云った。


 「な、何で?」

 渋澤は月執を視て涙を流す。

 渋澤の【咎】【HUGs】の能力は無意識に発動し、月執の肉体を生温かい光が包んでいく。


 「私には何の【才能】も無かった。と云うよりも…。ある一つの【才能】が完全に欠落していた…。」


 月執は自嘲気味に嗤う。


 「私には漠然としていたけど夢があった。私の想像が産み出した世界を表現する事。何でも良かった…。音楽でも小説でも漫画でも動画でも…。でもね…。【努力する能力】が欠落していた私と【努力が出来る人】との差は、時が過ぎると開いていった…。」


 月執は手を視る。


 「夢を掴もうとしても手の平から零れ落ちていったの…。小さい頃は天から与えられた能力で何でも出来ると思ってた。そして…そんな想いを抱いた儘に、肉体だけが成長した。夢だけが膨らんでいくけど…ただ膨らむだけ…。夢は夢なんだと思い知った…。」


 月執は空を視る。


 「そんな私を周囲の人達は【怠慢】だと云った。努力しなかったから叶わなかったと遠回しに云う。悔しかった。得体の知れない【怒りの感情】に飲み込まれ、気付くと【鬱病の症状】が出た。繰り返す【暴飲暴食】、身体はソレに慣れて…。そんな私は周囲と距離を置くようになった。子供の儘の私を置いて周囲の人間は大人になっていった。【羨ましかったし、妬ましかった。】ソレでもね…。【努力する事が出来なかったの。】」


 月執は渋澤を視る。


 「ソレでも…夢だけは膨らんだ。【欲望】もそうだった…。私は楽して稼げると本気で思っていた。【欲を強く願えば願う程に真実が私を責め立てた。】悪循環の始まり…。誰かに認められたかったのか…。私は【嘘】を吐いていった。承認欲求が高くなっていたとも思う。【私は幸せ】なんだと嘘を吐いた。嘘を一つ吐くと、その嘘を隠す為に、また嘘を吐く。そんな私に嫌気がさして…。私はナイフで幾度も自分を傷付けた。【自傷行為に快感】を覚えた。私は悲劇のヒロインを演じていたんだろうね。そんな私はその後も【生まれ持った能力】だけで成功すると本気で信じていた。【傲慢】だったな…。」


 ソレでも…。そう云いかけた月執は…。


 「そんな私でも…。この世界では生きていられる。」 


 と云った。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ