表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/96

不死者と異端者 ②


 死ねないんです。私…。


 渋澤は過去を語った。過ぎ去りし日の記憶を言語化し、月執に聞かせた。誰でも良かったのかも知れない。ただ心の奥底にある【何か】を解き放ちたかったのだろう。


 父親が亡くなった事。ソレを切っ掛けに母親が若年性の認知症になった事。生活が困窮していった事。無理心中しようとして自分だけが生き残った事。


 「母親の首を絞めました。そして…後を追う為に私は自分の首筋にカッターを押し当て、引きました。温かい血が噴き出たんです…。でも…死ねなかった…。」


 渋澤は泣き崩れる。その様子を視ていた月執は優しく声を掛けた。


 「そう。辛かったね。」

 月執は言葉を一度区切った。それからユックリと渋澤に近付いていく。そして…。貴方の【咎】の能力を教えてくれる?と続けた。


 渋澤の瞳が揺れ動いた。


 「私の能力は…。【HUGs】」

 月執が近付く度に渋澤は後退していく。


 「私の半径二メートルに近付いた人の生命力を吸い取るみたいなんです。だから…。私に近付く人は…。あ、あと…。」


 渋澤は涙を浮かべる。


 「併存疾患もある様で…。死ねないんです。私…。」


 月執は言葉を聞きながらも渋澤へと寄り添う様に近付いていく。


 「お願いします。近付かないで下さい。もう誰も殺したくないんです…。」


 「私なら大丈夫だから…。」

 月執は柔らかく微笑み…。


 「それよりも…。本当は…。母親の後を追う時…。死ねなかったんじゃなくて…。死にたくなかったんじゃないの?」


 と渋澤に訊いた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ