不死者と異端者 ①
人を殺したい訳ではないんです。
「あの…。棄権してもらえませんか?私、人を殺したくないんです…。お願いします。お願いします…。」
と、渋澤円は先言後礼に最敬礼をした。襤褸襤褸の衣服。痩せ細った体躯。艶を失った黒髪。ソレでも月執に向ける眼差しに虚偽は無かった。月執は問う。
「貴方も人を殺してきたから生き残ったんだよね?どうゆう事?」
「私、何もしてません…。拘置所では怖くて怖くて隠れていただけです。外に出てからも人目に付かない様に身を潜めて生きてきました。なので人を殺した訳ではありません…。」
そう云った渋澤は瞬間的に悲しい表情になった。愛していた母親の顔が浮かんだのだろう…。そして…怯えた表情で月執を見た。
「ん?」
月執は、そんな渋澤を視る。
『どうゆう事?嘘吐いてない…。』
渋澤は伏し目がちに答える。
「私の【咎】の所為だと思います…。周りの人が死んでいくんです…。けれど、私の意思で、そうしている訳ではありません。無意識に常に能力が発動しているみたいで…。本当なんです。人を殺したい訳ではないんです。信じて下さい。お願いします。お願いします…。」
月執は慈しむ様に、また問うた。
「解った。信じる。何とかしてあげるから…。良かったら貴方に何があったのか聞かせてくれる?」
「はい。私は…。」




