要塞都市東京
要は国の上層部の人間が自分達を護る為に築いたシェルターだった。
国家は国家が国家として機能している内に、東京千代田区を中心として半径5Kmに円を描くかの様に巨大な壁を作り、その内側に最高の技術の粋を結集し【要塞都市東京】を創り上げた。
【要塞都市東京】聴こえは良いが…。要は国の上層部の人間が自分達を護る為に築いたシェルターだった。然し、その思惑は外れる事となる。そもそも上層部にいる魑魅魍魎共の心の闇にKARMAウィルスが感染しない訳が無かった…。ある者は欲獣に、ある者は虚人に、ある者は醒める事の無い夢の中へ。そして…。ある者はペイシェントとなった。
異能力【咎】を持った四人の権力者は要塞都市東京を東西南北に分け、其々が統治する事によって均衡を保っている。四つに別れた東京に境界線は特には無かったが独特の空気で分断はされている。
人間は貪欲である。変わり果てた世界でも生きていく為、様々な趣向を凝らしていた。その一つがギルドと呼ばれるモノだ。所謂、商人や手工業者が結成した同業者組合である。ゲームやアニメで見られたモノが現実世界でも存在する様になっていた。
月執は東街区の更に東にある廃墟を拠点としていた。ある日の事。月執は狩猟した欲獣の素材を服に加工してもらう為に東街区のギルドへと訪れていた。
その最中…。
月執は、とある噂を聴いてしまう。
【どの様な願い事も叶えてくれる祭典が開催される。】と云う噂だった。