泥中の華、怨嗟渦巻き沈んでいく ②
あんたの生きる希望って娘だったの?
「華蓮…。」
涼宮は優しい母親の顔で鏡の中の娘に話し掛ける。勿論、返答は有りはしない。
「あんたの生きる希望って娘だったの?もう死んでるのに?」
十返は嘲笑する。そして…。可哀想に…。だったら…こうしてあげる。と云い、掌を合わせた。
鏡の中…。華蓮は水槽に放り込まれた。その両の足には重りのある枷が巻かれている。華蓮の肉体は九相図を再現するかの様にユルリと朽ちていった…。溺死した華蓮の遺体は水中で放置され腐敗していく。肉体の細菌に依りガスが発生し、華蓮の遺体が膨張していった。顔から腐敗が始まり、角膜が濁り、手足の皮膚が剥がれ落ちた。頭の髪の毛が自然に抜け落ち、頭蓋骨が一部露出していく。
涼宮は…。
その幻覚に嗚咽した。
そんな涼宮を視た十返は嗤う。
「大切なモノを壊されていくのを魅せつけられて心が折れたら…。その影の骸骨に総て奪われるわよ…。」
違う…。涼宮は呟いた。
「其処にいるのは華蓮じゃない。あの子は…。いつも私の心の中にいる…。ねぇ。そうでしょ?【華蓮】。」
涼宮は【咎】の名を呼んだ。
すると涼宮の周囲に五輪の蓮の華が咲き誇ったのだった。




