泥中の華、怨嗟渦巻き沈んでいく ①
ソレがあんたの生きる希望。
十返はブツブツと何やら独り言の様なモノを呟いていた。それはまるで視えない何者かに語り掛けている様にも視える。ソレに対し涼宮は冷たい瞳で十返を視ていた。
涼宮は十返に云う。
「やっと華蓮に報告出来る。」
「何を?」
十返は生気を失った瞳で返した。
「貴方で最後なのよ。娘を殺した子供達を育てた親。子供達には罪は無い。だったら育てた親に罪があるって事でしょ?」
「あぁ。あの事件の犯人…。あんただったの?まぁ。私には関係の無い事だけど…。」
「関係が無い?何言ってるの?」
「だって、そうでしょ?私が貴方の娘を殺したんじゃないし。あんたの娘を殺した息子だって私が愛した人の子供でも無かったし…。知らない間に孕まされたのよ。何方かと云えば私は被害者…。ソレにあんたの娘だって成仏出来たわよ。もう息子は死んでるし…。」
十返はケラケラと嗤う。
「貴方…。真逆…。」
「そう。私が殺しといたから…。だって彼奴、人でなしの父親にソックリだったし…。何よりも私の人生を壊したから…。」
「貴方の方こそ人でなしよ…。」
「あんただって人殺しでしょ?何を正統化しようとしてるの?まぁ。良いわ…。私の邪魔するなら死んでよ。」
空気が凍り付く。
【グラッジ】
十返は怨嗟の念を唱えた。十返の半径五メートルに漆黒の闇が拡散していく。涼宮の両足に襤褸襤褸の骸骨の腕が絡み付いた。
「私の【咎】【グラッジ】は相手の生きる希望を引き摺り出す…。ほら視て…。」
十返は襤褸襤褸の骸骨を指し示す。
「その骸骨…。キラキラした鏡の様なモノ持ってるでしょ?ソレがあんたの生きる希望。その鏡を覗いてみたら解るわよ。」
涼宮は鏡を覗き込む…。
其処には笑顔の娘が映し出されていた。




