人を喰らう死体と火中の蛾 ②
【異形なる防火服】
炎は三つの領域を持つ。白鷺が持つ【咎】が放出している炎も例外では無い。
外炎と呼ばれるのが、一番外側の領域である。酸素との接触が十分である為、酸化反応が迅速に進行し熱を発生する。炎の中で最も高温であり温度は約1400℃。
外炎の内側は内炎と呼ばれる領域で、外側の外炎で酸素が消費されており内炎部では酸素の供給が不十分となる。酸化反応は余り進行せず温度は若干低くなり約500°C。
炎の中心部は炎心と呼ばれる領域で、酸素が殆ど供給されておらず、温度は低くなり約400°C。この炎心部分に白鷺は居る。
では何故、白鷺がその温度で生存しているのか…。ソレこそが…。白鷺が発症した【咎】の真の能力である。
【異形なる防火服】
防火服は三層構造の造りになっており、外側が耐炎、耐熱性繊維。中層が透湿防水層。内側が難燃性繊維。一般的には約1000℃〜1200℃の高温に短時間耐えられる様に設計されている。具体的に云うならば、1200℃の炎に30秒以上耐えられる造りとなっているのだが…。
白鷺の【咎】により発症した防火服は四層構造になっていた。一番外側は、今は亡き白鷺の祖父母の血と肉と皮膚で構成されている。【白鷺真】を命懸けで護り抜いた祖父母の遺体こそが【モス・イントゥ・フレイム】の根幹を成しているのである。
陽炎の向こう側…。
輪郭を歪めた白鷺が…。
ユックリと灰谷の方へ歩みを進めた。




