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過ぎ去りし日と現状①


 生きていたいと願っただけ。


 「夢?」


 月執つきとり明日花あすかは寝惚け眼で、ゆるりと立ち上がった。月執にとっては久方振りに見る夢である。ソレは昨日の出来事の様にも、遠き日の出来事の様にも思えた。あぁ。あの後、どうしたんだっけ?。と月執は呟くと過去の日の映像を脳内に浮かべるのだった。


 怪物との戦闘に勝利した月執は家の中へと戻っていった。そして一階のリビングにいた両親を観て、首を傾げる。


 「パパ?ママ?」


 月執の瞳に映ったのは、虚ろな眼でよだれを垂れ流し、言葉に成らない呻き声を発する両親だった。声を掛けても肉体に触れても、微塵も、反応は無い。


 【虚人うつびと


 後に、そう名付けられたKARMAウィルスの症状の一つ。生きながらにして屍となる症状であった。この症状の最も恐ろしいのは、【死ぬ事が出来無い。】と云う事。


 虚人は基本的に食事も必要無ければ、水分すらも必要としない。徘徊する個体もいれば、身動き一つしない個体もいる。人を襲う事は無いのだが病原菌の媒体となっている個体が多い。


 「あぁ。そうそう。確か私は両親を…。」


 その時だった。光化学スモッグで覆われた空に警報が鳴り響く。


 【東京東街区。数匹の爬虫類型【欲獣よくじゅう】が接近中との事。近隣住民の方は避難して下さい。繰り返します…。】


 「あぁ。アレ美味いんだよな…。」


 月執は欠伸をしながら、そう云った。


 【欲獣よくじゅう


 KARMAウィルスに感染した人間の症状の一つ。人間の形状を失い、内に秘めていた欲望を具現化した様な怪物へと変異する症状。

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