31/78
死刑囚 涼宮 凛音 ②
貴方は私の総て…。
華蓮が十三歳になる頃、私は二十七歳となっていた。再婚はしなかった。私自身が恋愛に時間を割く事に嫌悪感があったし、何より残りの人生は華蓮の幸福の為にあると考えていたからである。
華蓮は名の通りに華やかで美しい女性へと成長していった。中学一年生とは思えない程に落ち着いていたし、教養もあった。華蓮が笑顔になれば私も笑顔になる。華蓮が幸せを感じていれば私も幸せを感じる事が出来る。
貴方は私の総て…。
…。
…。
…。
だった…。
そう。過去形だ。華蓮は或る日を境に家に帰らなくなった。勿論、警察に捜索願いを提出したし、私自身も行方を探した。華蓮が家に帰らなくなった理由は思い浮かばなかったし、華蓮の交友関係に話を聞いてみても誰一人として思い当たる節は無かったのだった。何の進展も無く時間だけが過ぎていった…。
華蓮が行方不明となり四週間後…。変わり果てた姿で見つかった。近隣にある広大な敷地の公園の池に浮かんでいたのが発見されたのだ…。




