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死刑囚 片山 リョウ ④


 貴方は…。


 一つだけ嘘を吐いた。

 

 「僕がやりました。」


 現場にあった凶器と思われるモノを鞄にいれ、警察署へと自首をしに行った。他に良い方法もあったのかも知れないが、この方法が単純で簡易的だと思ったからだ。後は余計な事は口にせずに、機械的な相槌を打つだけ…。結果、僕は死刑囚となった。疑問に思う事は多々あったのだが…。判決に至る迄に然程、時間は要さなかった。


 僕の行いが【間違い】である事は理解してはいた。だけど総ては彼女を護るためである。狭い密室で様々な考えが巡り、巡っては考えてる事を繰り返していた。


 一年と少し程、経った頃。

 ソレは唐突に降り掛かった。


 ジャーナリストが僕を訪ねてきたのである。そのジャーナリストは僕の眼の前に数々の資料を置いた。


 「貴方はスケープ・ゴートにされていたんですよ。此の資料を読めば理解出来ると思います。」


 厭な予感が膨れていく。微かに震える手で資料を掴み、僕は眼を通していった。


 どうやら彼女は、ある男性と快楽を満たす為に過剰な迄の加虐行為を繰り返し十数人を殺害したとの詳細が書かれていた。ある男性は国の上層部の人間の子息との事だ。アチラも実の子を護る為に必死だったと云う理由だろう。ソコでていの良い僕がスケープ・ゴートとして選ばれたのだ…。


 最後の資料に添付された写真には、彼女と男性の間に産まれたばかりの子供の姿があった。子供を抱える彼女と、その彼女を背後から抱き抱える男。


 幸せそうな家族の写真だった…。


 眩い光とともに頭が真っ白となる。


 僕の内で様々な感情が膨張し…。

 はじけて消えた…。


 片山リョウ。

 二十二歳。男性。

 後に【知識】と思われる咎を発症。

 咎名【所在無き風船】

 ステージⅢ

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