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死刑囚 片山 リョウ ①
一つだけ嘘を吐いた。
一つだけ嘘を吐いた。たったソレだけの事で僕は死刑宣告を受けたのである。ソレでも僕は真実を明かす事はない。コレは彼女への愛の証なのだから…。
僕には幼馴染みがいる。彼女の名前は湯田遊。同い年の二十二歳だ。家が隣同士と云う事、親同士も幼馴染みと云う事。だから僕達は当然の様に幼い頃から一緒にいた。彼女の性格は僕とは真逆で、自由奔放な性格である。好きな事を好きな時にし、思い付いたら直ぐ様に行動に移す。無邪気で純粋な子供の様な、そんな彼女に僕が惹かれていったのは自然の流れだったのだろう。
特に彼女の水晶の様に濁りの無い無色透明に艶々と輝く瞳が好きだった。だが僕達が大学へと進学した頃から、彼女の瞳は少しずつ光を失っていく事になるのだった。
彼女は幼い頃から美しかった。大学に進学する年齢にもなれば、彼女は妖艶な雰囲気を纏う様にもなる。でも彼女の本質には変わりがなかったのだった。自由奔放。彼女は遊びに誘われれば、興味を持ったのなら男女問わずに受け入れていた。
ソレこそが過ちの始まりとなる。




