死刑囚 如月 睦月 ②
脳には三種類の生物がいる。
それ以降、死生観について考える時間が増えた。形而上学的な思考。形が無く精神的で【思考の中】にしか存在しないモノ。形而下学的な思考。形が有り物質的で【眼に見える】モノ。何方でも良かった。ただ自分が納得出来る答えが欲しかったのである。
脳内で思考は蠢く。
生とは何だ?
死とは何だ?
己とは?
他者との違いは?
存在すると云う事は?
己とは肉体なのか?
ソレとも精神なのか?
生きている状態とは?
死んでいる状態とは?
すうっと。自分の掌に、とある感覚があった。温もりだった。あの擽ったい温度だった。
生とは温もりを持つ事。死とは温もりが無くなる事。己とは記録。他者との違いは記録の容量差。存在すると云う事は眼に視えると云う事。己とは肉体か?否。肉体では無い…。己とは精神…。魂と云われているモノ。魂とは記録だ。生きている状態とは温もりを持つモノが、個としての記録を持つ事。死んでいる状態とは温もりを失い個としての記録を失う事。
遠からずも近しいのだろうが、ソレは答えとなるのだろうか…。
記録とは記憶だ。
ソレは脳に関係している。
そして…。
脳には三種類の生物がいるのだ。
脳幹。爬虫類の脳と云われる。体温、呼気、ホルモン調節と云う生きる為の基本的な働きをする。
大脳辺縁系。馬の脳と云われ、喜怒哀楽の感情を司る部分。
大脳皮質。人の脳と云われる。五感【視る。聴く。触る。味わう。匂いを嗅ぐ】。運動、言語、記憶、思考等の高度な機能を持つ。
そして…。
脳とは電気信号で動いている…。




