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死刑囚 白鷺 真 ②


 すると肉体から揺ら揺らと立ち込めていた煙は魂なのだろうか?


 次の日の明け方近くに眼が覚めた。四時頃だったとは思う。両親は一旦、家に帰るとの事で親戚の数人が祖父母が寝ている木の箱の傍らで線香を焚いていた様だった。祖父母が寝ている和室には線香の残り香が漂っている。四時頃には親戚は眠りに付いていたのであろう。祖父母が寝ている和室には誰もいなかったのである。


 大好きだった祖父母の顔を一目でも見ようと私は木の箱へと近付いていく。見つかったら怒られるのではないかと、音を立てない様にユックリと、木の箱に付いている小窓に手を掛けた。


 キィキィと…。

 静寂の空間に小さな音が産まれる。


 やがて蓋は開き…。

 私はソロリと覗き込む。


 祖父母の面影すら無い、焼けただれた顔があった。皮膚が剥がれている箇所。水膨れのある箇所。白くなっている箇所。焦げて黒くなった箇所。肉が露わになっていて薄い桃色も視える。綺麗だった。美しいと思った。無意識に肉体は震え、脊髄に快楽の感情が駆け巡る。


 【あぁ。そうか…。綺麗な多色の炎に包まれれば、肉体は多色の綺麗な色に染まるのだろう。そして…眠りに付き天国に行けるのだ…。】


 と云う事は…。


 綺麗な炎の色を視たくて、けたマッチの炎が祖父母を天国へといざなったのだろう。すると肉体から揺ら揺らと立ち込めていた煙は魂なのだろうか?煙は空へと拡散して視えなくなったのだから…。

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