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この世界は別の世界の地獄である。
水中にいるのだろうか?
純白の世界で眼が醒めた。此処には何も無い。何かが有るとするのなら、見渡す限りが【無】であった。不思議な感覚が、この肉体を囲っている。上も下も右も左も何もかもが純白の光景なのだから、落下している感覚が有り浮遊している感覚も有った。水中にいるのだろうか…。酷く懐かしくもあるから羊水の中なのだろうか…。
脳は簡単に騙されると聞いた事がある。要は脳が錯覚をしているのだ。死んでいるのか生きているのかさえ解らなくなった。もし…。此処が箱の中だとしたのなら【シュレディンガーの猫】みたいな状態なのではと考えて、少し可笑しくなる。
水中で膝を抱える。記憶が在った。生きてきた事を示す記憶だ。然し、死んだと云う記憶も有る。いや…。確かに死んだ筈だ。確かな痛みも覚えてる。
ともすれば此処は天国なのだろうか?
ソレとも…此処は地獄なのだろうか?
生きていた時に罪を犯した。違う。生きていたからこそ数え切れない程の罪を犯してきた。生きる事は何かしらを奪う事。もし生まれ変わりがあるとするのなら…。幾度、此の世界へと産み堕とされてきたのだろう…。
思考が停止する。
聞き覚えのある聲が響いた。
【パラレル・ユニバース】




