ディストピアへ堕り立った大罪人④
言葉じゃなく肉体で理解出来たか?
【ノー・サプライゼズ】
畳み掛ける様に言葉は音となる。
瞬時に姫川は呼吸を止めた。
姫川の廻りに、一酸化炭素が収束していく。一酸化炭素とは炭素や有機物が酸素不足の状態で不完全燃焼した際に発生するの有毒ガス。無色・無臭・可燃性。比重は空気とほぼ同じで、酸素の約200〜250倍以上も血液中のヘモグロビンと結合しやすく、吸入すると急性中毒(頭痛・目眩・最悪の場合は死)を引き起こす危険な物質である。
その無色の有毒ガスは純白の人型となり、姫川の首を絞めていく。絞めては緩め、緩めては絞めた。
「息を止めても無駄。酸素を渇望させる様に其奴は行動する。だけど…。まだ殺してやらない…。」
パチンと月執は指を鳴らした。月執が発症させた【咎】の能力が消えていく。
「言葉じゃなく肉体で理解出来たか?」
「…。」
「御前じゃ私には勝てないよ。」
巫山戯るな。ボソッと言葉を漏らし、姫川は周囲を見渡すと…。とある決断をした。
【ディストピア】
【咎】の名が闘技場に木霊すると、観戦していた者達の大半が虚ろな眼をし、千鳥足で闘技場へと乱入してきた。
「貴様を殺す様に命じた。いくら貴様でも数の暴力には敵わない…。況してや、感傷に浸る程のメンタルなのだから、無関係の観客を殺す事は出来ない…。ソレに何人かは【咎】を持っている…。咎人の攻撃なら貴方だって耐えられない。」
「感傷に浸る?何の事?」
月執は不思議そうに姫川を視た。
強がるな。ソレも嘘か?この虚言者が…。と姫川は劈く聲で叫ぶ。
まぁ。良いけど…。と月執は呟き…。
【カンニバル・コー】と続けた。




